とうきょう子育てスイッチ 子育てキャッチアップ

産後のママをサポートする宿泊型施設
【武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町】

武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町

全国で初めてスタートした「武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町」。連日空き部屋がないほどの高い利用率だそうです。設立の経緯と現状を世田谷区子ども・若者部子ども家庭課の今井悦子さんと、センター長の萩原玲子先生にお話しを伺いました。

虐待防止の二次予防施設としての位置付け

武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町は、なぜ作られたのですか?

今井さん:世田谷区の重点課題の一つである「虐待のないまち世田谷をめざして」。虐待二次予防施設として世田谷区の委託事業と武蔵野大学の自主事業とをあわせて、2008年3月にスタートさせたのが「武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町」です。

虐待防止を、「予防(一次予防)」、「早期発見・早期対応(二次予防)」、「再発防止(三次予防)」という三段階の仕組みに構築しており、「武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町」は虐待二次予防、育児不安進行予防のための施設にあたります。

設立の背景を教えてください。

今井さん:設立の背景は、厚生労働省の「社会保障審議会児童部会~児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会~第2次報告」の、児童虐待に関する相談の増加と乳幼児初期に重症例が発生しやすいという報告でした。「さんさんサポート事業」からも、子供への関わり方や、母親の体調不良や気分の不調の声が寄せられており、「母親学級」からも、里帰り予定者が多い、夫の帰宅が遅く協力が期待できない、産後に手伝ってくれる方がいないなどの声がありました。

※「さんさんサポート事業」とは、産前・産後支援事業・一次予防の特徴的事業です。産前から産後、子供が1歳になるまでの間の育児への不安や負担が生じやすい時期に子育て支援ヘルパーを派遣し、家事、育児補助を行うことにより、負担の軽減や子育ての安定化を図っています。内容は、家事援助(食事作り、買い物、掃除など)、育児補助(おむつ交換、だっこ、あやしなど)。子供1人につき3回まで無料で利用できます。

※利用券を妊娠届け提出時に配布しています。

全国初のため、法的整備が必要だった

オープンに当たって、大変だったことは?

今井さん:産後ケアセンターの設立は、全国初の事業です。医療機関ではないため、根拠法令がありませんでした。国や東京都に確認しながらの整備を行ったとのことです。具体的には以下のようにクリアしました。

  1. 事業の仕組み:児童福祉法に規定される「子育て短期支援事業」に準ずる事業
  2. 建築基準法:「児童福祉施設」に準ずる施設
  3. 消防法:「旅館、ホテル、宿泊所等」
  4. 旅館業法届け出
  5. 勤務する助産師全員の助産所開業届出

また、この地域が準工業地帯であったため、このような大きさの施設を建築することができたということです。

武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町 センター長の萩原玲子先生から

武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町 センター長の萩原玲子先生

センターの周知はどのように行っていますか?

萩原先生:センターが周知された事にはいくつかの要因があります。1つめとして芸能人が韓国で出産後に産後院の使用で、日本にその様な施設が無いかという事から取材、報道がありました。2つめとしては、母子健康手帳配布時に『産後ケア事業』の案内・広報をしている事。3つめとしては、利用したお母さん達の口コミによるもの等です。

オープン後に、有名人が海外で産後院を利用したという報道が流れたこともきっかけとなり、武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町がマスコミに取り上げられ、周知が進んだという感じもあります。母子手帳と一緒に産後ケアセンターの案内を渡していることと、ママの口コミによる周知も大きいようです。利用は新聞報道、インターネットからのアクセスが多く、他県からの利用もあります。

センターの役目は、どのようなものがありますか?

萩原先生:出産の入院期間が短くなっていることもあり、出産時の入院日数が短い方の方が、出産での回復の遅れや子供の世話ができない事での不安も強く、産後ケアの必要性が高いように感じます。身体を休める、必要な育児技術が練習できる 産後に必要な食事がとれるといった事で、産後ケアセンターに宿泊しているうちに、みるみる体調も体力も回復されていくママも少なくありません。利用者から「優しく手当を受けると、子や夫にも優しくなれる」「短時間なのに、何日かぶりによく眠れた」「みんなと少し違っているけれど、それでもいいと思えた」という声があがってきています。

申込先は、子ども家庭支援センターとのことですが。

萩原先生:世田谷区民の場合は、妊娠8カ月から申請して登録することができます。産後、最寄りの子ども家庭支援センター(区内5カ所)に直接電話して申し込む形になります。 子ども家庭支援センターとは、情報共有を行っています。申し込みも子ども家庭支援センター経由になっているため、継続して関わりが必要な親子の情報を把握することができ、必要に応じて継続支援につなげています。

武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町
センター長 萩原玲子先生

  • 武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町 室内・後送
    広いベッドで、添い寝もできる。
  • 武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町 多目的室
    手遊びをとおしてスキンシップ、タッチングなど子育ての伝承に繋がるよう、保育士が子供との遊びや関わり方を伝える講座も開催。
  • 武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町 食堂
    食堂で一緒に食べることで、情報交換やつながりもできる。

「武蔵野大学附属産後ケアセンター桜新町」の概要

目的: 産後の心身共に不安定な時期に、母子ショートステイ(6泊7日まで)や、母子デイケア(7日まで)を実施し、育児不安の解消や児童虐待の予防を目指す
対象: 生後4カ月未満の母子で、親族などから充分なケアを受けられず育児不安や体調不良などがあるもの
内容: 助産師(24時間常駐)による母子の身体ケアや育児相談、育児技術の伝達、臨床心理士によるカウンセリング(週2日・予約制)などを実施
料金: ョートステイ(宿泊)6400円(1泊2日。3食+夜食、初日は朝食なし)、デイケア(日帰り通所。2食+夜食、朝食なし)2060円
※世田谷区民の場合。非課税世帯には減免措置あり。世田谷区民以外でも利用できる(料金は別途)
運営: 世田谷区子ども・若者部子ども家庭課から、武蔵野大学に委託
URL: http://www.musashino-u.ac.jp/sa_ca/