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手作りの温かい食事で子供を支援 
~地域の子供たちは、地域で見守り、地域で育てる! ~要町あさやけ子ども食堂

男女協働・子ども家庭支援センター課長 鈴木秀洋さん
NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク 
理事長 栗林知絵子さん

現在、子供の6人に1人は貧困家庭にあると言われています。家計が苦しくて十分な食事がとれない子。家庭の事情で夕食は一人、コンビニ弁当やインスタントもので済ませてしまう子。心と体を育むはずの「食」が揺らいでいます。こうした状況の中、食の面から子供たちを支援しようと、全国で「子ども食堂」の活動が広がりつつあります。2013年にオープンした「要町あさやけ子ども食堂」は、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークが運営する「子ども食堂」。理事長の、栗林知絵子さんにお話を伺いました。

地域の子供たちは地域で見守り、地域で育てる!

なぜ「子ども食堂」を作られたのですか?

栗林さん:2012年に誕生したNPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークのコンセプトは、「地域の子どもを地域で見守り、地域で育てる」です。その集会に参加された山田さん(「要町あさやけ子ども食堂」店主)が、一人暮らしのご自宅を開放して「子ども食堂をやってみたい」と発言されたのがきっかけでした。

食堂ということで、クリアすべき条件がありますか?

栗林さん:食堂といっても飲食店とは異なります。とはいえ、衛生面などでクリアすべき条件はあります。「要町あさやけ子ども食堂」の場合は、スタッフの1名が「食品衛生責任者」の講習を修了し、シンクを1つ設置して申請しました。そして利用者には必ず名前と連絡先を書いてもらっています。

私たちもそうしましたが、「子ども食堂」を開きたい場所の目星をつけたら、改修などの手をつける前に、保健所に相談するのがおすすめです。まず、場所を保健所の方に見てもらって、必要な条件を確認してから環境を整えるとよいでしょう。

運営費用はどのように捻出していますか?

栗林さん:最初は「子供たちが地域住民と交流し、一緒に食事を作る体験」という枠組みで、「子どもゆめ基金」の助成を受けました。ところが、翌年にこの活動がテレビで紹介されると状況は変わりました。「子ども食堂」に関心を持たれた視察の方がすごく増えて、食堂に来る大人と子供の数が逆転することも、しばしば起こるようになったんです。そうなると、「子供が半数以上のイベントに助成する」という基金の対象条件を満たしません。また、当初は、子供だけで来る小学生がメインでしたが、2年目あたりから乳幼児の親子が多くなってきました。こうした変化を踏まえて、2年目からは助成を受けずに、視察に来た大人にもしっかり300円を払ってもらうというスタイルで運営しています。運営している皆さんはボランティア、食材は寄付なので、かかるのは光熱費程度。現在は参加費300円で十分やっていけます。

※「子どもゆめ基金」とは、国と民間が協力して子供の体験・読書活動などを応援し、子供の健全育成の手助けをする基金です。詳しくは、下記URLを参照してください。
URL:http://yumekikin.niye.go.jp/

どのような子供たちが食事に来ますか?

栗林さん:「子供一人でも来られる食堂ができたよ」と言っても、本当に支援が必要な子供は、地域につながるチャンネルを持たないことが多いのも事実です。「要町あさやけ子供食堂」の場合は、私が12年間関わっているプレーパークがベースにあったので、ここでつながった子供たちを食堂に連れていきました。プレーパークで培った信頼関係があるので、「一緒に食べに行く?」と誘うことができたんです。その後、地域で保育関連の活動をしている方が、ひとり親のママを連れてきてくれました。それがきっかけで、現在は母子家庭の親子もたくさん来てくれるようになりました。

※プレーパークとは、「冒険遊び場」とも呼ばれ、泥遊び、水遊び、火遊び、木登りなど、子供たちの「やってみたい!」気持ちを尊重する遊び場。地域の住民有志やNPOなどによって運営されています。

全国の子ども食堂のネットワーク作り

栗林さん

2015年1月には第1回「子ども食堂サミット」が開催されましたね?

栗林さん:初回のサミットは予想以上の反響でした。「子ども食堂」に関心のある人が、全国から約200人集まりました。その中で「自分たちもやりたいんだ」と手を挙げた人たちが、今、それぞれの「子ども食堂」を始めています。そして、これらの「子ども食堂」を中間支援する場、情報共有できる場として、「子ども食堂ネットワーク」も作りました。ネットワークがあることで、全国から集まる寄付や食材を必要なところに再分配できます。

これから「子ども食堂」を始めたい人へのアドバイスは?

栗林さん:「子ども食堂」を始めるために重要なのは、場所や、広さではありません。「自分たちの住む地域で、問題を抱える子供たちのために何かしたい」と思う人が集まって共に考え、悩む中で、地域に合ったやり方が見つかるはずです。実際に、「子ども食堂」にはさまざまな形態があります。デイサービスを提供している施設を利用した食堂もあれば、お寺を借りたケース、地区会館で行うケースなど。利用する子供たちも、母子家庭の親子だったり、学習支援が必要な中高生だったり、「子ども食堂」ごとに異なります。
対象者も条件もさまざまなので、運営方法も違って当然。「私たちの街でもやりたい!」という思いを共有することが、何よりも大切だと思います。

2015年からは、すでに活動している「子ども食堂」を見学しながら、意見交換ができる機会を作ろうと、「子ども食堂の作り方講座」もスタートしました。また、2016年1月には第2回目のサミットも予定しています。関心のある方はぜひ、ご参加ください。

すべての子供の未来のために、貧困対策は重要

今後の課題・展望は?

栗林さん:どの地域でも、「本当に支援が必要な子供に、支援をどうつなげていくか」という課題はあるけれど、「子ども食堂」の取り組みは始まったばかり。これから周知されていく中で、地域内で声をかけ合っていけたらいいと思います。すでに、シングルマザーの支援団体や自助グループが「子ども食堂」の存在を知ってくれることで、新しいつながりが生まれています。
貧困が親から子に引き継がれる「貧困の連鎖」に歯止めをかけないと、10年後、20年後の日本の財政はもっと圧迫するでしょう。今を生きる子供たちが自立しないで、将来、生活保護を受けることになったら、子供世代全体の税負担はますます増えるはず。そういう視点でも「子ども食堂」のような取り組みが求められていると思います。

 

「子ども食堂」作り方講座や「こども食堂サミット」の開催予定は、HPなどでチェックしてください。

こども食堂サミット
http://kodomoshokudou-network.com/

 

要町あさやけ子ども食堂
オープン日:第1、第3水曜日 17:30~19:00
一食300円
場所:山田さん宅を月2回開放
店主:山田和夫さん
運営:NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク
http://toshimawakuwaku.com/index.html

NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク 
理事長 栗林知絵子さん