とうきょう子育てスイッチ 子育てキャッチアップ

現役時代に培った能力を、子育て支援に活用!
子育て・まちづくり支援プロデューサー

男女協働・子ども家庭支援センター課長 鈴木秀洋さん
NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事&子育てひろば〈あい・ぽーと〉施設長 恵泉女学園大学大学院平和学研究科教授。学術博士(お茶の水女子大学) 大日向雅美さん

NPO法人あい・ぽーとステーションが2013年に養成を始めた『子育て・まちづくり支援プロデューサー(愛称:まちプロ)』は、定年前後の男性が対象です。すでに養成講座を修了した数十名の男性たちが、現役時代に培った経験やスキルを生かしながら、子育て支援活動を行っています。まちプロ養成の取り組みについて、あい・ぽーとステーション代表理事の大日向雅美さんにお話を伺いました。

キャッチコピーは『団塊世代の男性が、現役時代の名刺で勝負!!』

なぜ、まちプロの養成講座を始めたのですか?

大日向さん:『子育て・まちづくり支援プロデューサー養成講座』を始めたのは2013年ですが、その前の2005年から「子育て・家族支援者」の養成を行っていました。こちらはすでに1500人余りの支援者が誕生していますが、その支援者のほとんどが女性です。受講資格に男女を問わない講座でも、参加してくださるのは女性ばかり。それまで仕事一筋に生きてきた男性にとって、地域は無縁な世界。退職しても、なかなか地域貢献に足を踏み出しづらい状況がありました。
折りしも、当時は団塊の世代が一斉に定年退職を迎える「2007年問題」に続き、継続雇用が終了する「2012年問題」が取り沙汰されていたころでした。
リタイアした団塊世代の男性たちが、家の中で能力をもてあまし、地域に出たとしても、そば打ちや陶器づくりばかりしているというのでは、もったいないと思ったんです。
長年の人生を託した仕事。それを通して築いてきた豊かな発想とスキルと経験、何よりも組織人として生きてきた見識を、地域貢献活動に活かしてほしいと考えたのが、きっかけです。

キャッチコピーの『現役時代の名刺で勝負!!』に込められた思いは?

大日向さん:男性は肩書き人間の方が多く、肩書へのこだわりや妙な名誉心を捨てきれないと、地域では「お荷物人間」と言われかねません。でも、この名刺に込められた30年40年の人生は、とても貴重。お荷物なはずがありません。あえて『現役時代の名刺で勝負!!』という逆転の発想で、その経験とスキルを地域のために使ってほしいと思いました。

受講された男性たちの反応はいかがでしたか?

大日向さん:皆さん、仕事人間でずっときた世代ですから、子育て経験がないに等しい状態。子供がいても、おむつを替えたこともない人が大半です。まっさらだからこそ、子供や子育ての話を聞いても、とてもナイーブに受け止めて、砂地に水が浸み込むように知識を吸収されます。しかも企業人・組織人としての素地があるので、受講後は非常によいハーモニーで地域貢献をしていただいています。
子育て支援の現場では、女性は自分の子育て経験を基準にし、男性はマクロ(社会的視野)で見る傾向があります。どちらのアプローチも必要ですね。

命を預かる活動だからこそ、有償が大前提

まちプロの子育て支援は有償活動ですか?

大日向さん:子育て支援は、『地域で命を預かる』ということ。マインドはボランティアですが、とても責任のある活動です。しかも支援者は貴重な時間を使って活動しているわけですから、仲介する私たちは有償を大前提にして行政と掛け合っています。
ただし、まちプロの活動はまだ認知度が低く、その活動内容について十分理解もされていません。オファーはいただくけれど、報酬額にはかなり幅があります。
1時間1000円前後を人数分いただける活動もあれば、何人出向いてもまとめて1日5000円だったり。中には無償の場合も…。でも、どんな活動も大切な意味がありますし、責任をもって行っているので、価値は等しいはずです。そこで、まちプロのメンバー全員と話し合い、『還元方式』というスタイルを編み出しました。
各自が活動先からいただいた報酬を1つの口座(まちプロの口座)に集め、プールします。そこからまず各自交通費実費分を抜く。そして残った金額を活動時間で割って配分するというやり方です。活動時間の集計や支払い振込みの手続きなど、事務作業を伴いますが、それもまちプロのメンバーが担当してくださっています。
子育て支援と言っても、直接子供と触れ合う活動から子育て支援拠点のバックオフィス的な活動まで、幅広くあります。「営業」「経理」「人事」「情報システム」「総務」「企画」「製造・技術」など、ご自分の得意分野を活用できる場が必ずあります。

 

~まちプロに聞きました~

 

浜本 敬さん(67才・まちプロ養成講座Ⅰ期生・まちプロ活動歴3年)

再雇用の退職後から週2回程度、まちプロとして活動しています。それまでも自治会を通して、お祭りや環境整備などの地域活動には関わっていましたが、それだと同世代とのつき合いばかり。まちプロの活動は、エネルギーあふれる子供たちが相手なので、こちらも元気になれるのがいいですね。子供は正直で反応がダイレクトなので、毎回がいかに楽しませるかの真剣勝負。おもしろいですよ。

 

花村勝光さん(66歳・まちプロ養成講座Ⅱ期生・まちプロ活動歴1年半)

私たちの世代は会社に滅私奉公が当り前。自分が子育てをしてこなかったので、自責の念から、退職後は子育て支援をしたいと思っていました。子供たちに読み聞かせる絵本を探したり、手遊びを調べたり、今まで縁のなかった分野での試行錯誤は刺激的です。

 

『子育て・まちづくり支援プロデューサー』事業とは…

NPO法人あい・ぽーとステーションが行政(港区・千代田区等)・企業(住友生命保険相互会社「未来を強くする子育てプロジェクト」)と協働で実施している人材養成事業。養成講座を受講し、『子育て・まちづくり支援プロデューサー』の認定を受けたシニア男性は、チームを組んで子育て支援を軸とした地域活動に取り組む。具体的な活動としては、子育てひろば〈あい・ぽーと〉(港区)に遊びに来る親子にレクリエーションを提供する「まちプロタイム」の企画・実施やフリーマーケットの運営、特別支援が必要なお子さんの居場所づくり(千代田区)など。
『子育て・まちづくり支援プロデューサー養成講座』は、全8回(別途、実習・現場体験あり)で、専門家を講師に招き、子育てに関わる幅広い分野を学ぶ。

NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事&子育てひろば〈あい・ぽーと〉施設長
恵泉女学園大学教授。学術博士(お茶の水女子大学) 大日向雅美さん


  • 子育てひろば「あい・ぽーと」のおもちつきや、フリーマーケットで活躍するまちプロさん。

  • 子育てひろば「あい・ぽーと」に、毎週月曜日~金開催の「まちプロタイム」。まちプロさんによる本の読み聞かせや手遊びに、子供たちは夢中です。現在まちプロさんファンができほど大人気プログラムに!

  • 母の日フラワーアレンジメト を小学生向けの花育講座として、 恵泉園芸フラワースクルとの協働企画で実施 。工作の時間はまちプロさんが担当。