とうきょう子育てスイッチ 子育てキャッチアップ

毎日届く「きずなメール」で妊娠期からの孤育て予防を
きずなメール・プロジェクト

男女協働・子ども家庭支援センター課長 鈴木秀洋さん
NPO法人きずなメール・プロジェクト 代表理事・大島由起雄さんとコンテンツ担当・松本ゆかりさん

核家族や共働き家庭が増えた今、身近に頼れる人がいないまま、親になる不安や子育ての悩みを一人で抱えこんでしまうママたちがいます。そんなママたちを妊娠期から継続的に支援するのが、NPO法人きずなメール・プロジェクトの取り組み。ご夫婦で活動に取り組む代表理事・大島由起雄さんとコンテンツ担当・松本ゆかりさんにお話を伺いました。

始まりは、妊娠中に出会った1冊の本

「きずなメール」を始めたきっかけは?

松本さん:第一子を妊娠していた2003年に、アメリカ在住の友人が贈ってくれた1冊の本との出会いが始まりでした。その本『The Pregnancy journal』には、毎日の胎児の成長とお母さんへのメッセージが書かれていました。
当時の私は、親になる不安と喜びが入り交じった心境でしたが、夫には具体的に何も伝えられないもどかしさを感じる日々。そんなときにこの本と出会い、「本であっても、いちばん自分の妊娠生活を見守ってくれている」という安心感を得られたんです。
産後も『The Pregnancy journal』に出会った感激が忘れられず、アメリカの友人に翻訳を頼み、日本語版の制作に着手。2006年に永岡書店から『はじめての妊娠・出産 安心マタニティブック』を出版することができました。
日本語版を制作しているときから、大島と二人で“毎日のメッセージ”と“携帯メール”の親和性について話題にしていました。ちょうどそのころ、大島は出版社からIT企業に転職したこともあり、メール配信の可能性を考えるようになっていったんです。

社会に役立つプロジェクトと確信し、NPO設立

NPO設立の経緯を教えてください。

大島さん:2人でデイリーマタニティメールのアイデアをふくらませていく中で、“ソーシャルビジネス(社会的企業)”という考え方に出会いました。私たち夫婦はそれまで自分勝手に生きてきたけど、子供たちが生まれたら、「50年後の日本も、いい日本であってほしい」「社会に役立つ働き方がしたい」という思いが強くなったんですね。プランは絶対いいものだと確信していましたから、勤務する会社で事業化できないのであれば、自分たちが独立して実現しよう!と。そうして、2010年に社会企業プロジェクト「きずなメール・プロジェクト」をスタートさせました。

「きずなメール」の事業化で苦労したことは?

松本さん:きずなメールは、「広告で成り立つ媒体にはしたくない」かつ「全国に届けたい」という思いがありました。そこでたどりついたのが、産院や自治体のメールサービスとして使ってもらうという方法です。
そうはいっても営業経験ゼロからのスタートです。面識のない産院に電話しまくりましたが、受付から先生までつないでもらえるケースはまれ。もちろん会ってくださり、システムを導入してくださった産院もありましたが、その確率はかなり低かったです。

大島さん:さすがにこのやり方は無鉄砲すぎると気づき、「だれかの知恵を借りなくては…」ということに…。そこで、社会的事業への経営支援を行っているNPO法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(以下、SVP東京)の投資・協働先に応募しました。
到底無理だと思っていたのですが、なんとか採択され、協働が始まってからは、まさに真剣勝負でした。
まずは自治体営業に必要な企画書の書き方から学び、SVP東京のネットワーク力も借りつつ営業に奔走し、必死でした。

松本さん:2013年4月、最初にメール配信を導入してくださったのが、宮城県女川町と東京都文京区でした。東日本大震災当時、被災地では妊産婦への情報手段がなく、支援が不十分だった反省があります。きずなメールは、災害時は妊産婦への緊急連絡手段としても利用できる点が、注目されました。

ミッションは、ママたちが孤独から脱するお手伝い

自治体とはどのように連携しているのですか?

松本さん:産婦人科医、小児科医、管理栄養士等の専門家と一緒に制作した基本原稿はどの導入先も共通。そこに各自治体・医療機関のオリジナル情報を付け加えるイメージです。そのオリジナル情報も、できるだけ親しみやすい文体ですべて私たちが書き起こしています。また、デイリーメールとは別に、イベント的な情報も告知できるメールを一斉送信しています。

「きずなメール」が目指すものは?

松本さん:妊婦さんや子育て中のママが“孤”から脱するきっかけに、きずなメールがなることを願っています。“孤”から脱するの意味は2つあります。1つは、これを読んで「私一人じゃないんだ」と思えること。もう1つは、メールの自治体情報が外に出るアクションにつながるということです。
さらに今後は地域の声も盛り込んでいって、「地域があなたを応援しているよ」というメッセージも伝えていきたいと考えています。

 

利用者の声(お便りを一部抜粋)

 

(きずなメールが)毎回届くのが楽しみで、励みになりました♫
何より助かったのは、夫にも登録してもらって、子供の成長や親が気をつけるべきことなどを共有できたこと!
夫も届くとうれしそうに話してくれたり、こうしなきゃ!と一生懸命子供に関わってくれていました٩(ˊᗜˋ*)و
私だけがわかっていてもうまく伝わらないし、きっと「なんでわかってくれないの!」とイライラしてしまっていたかもしれません…
きずなメールのおかげで夫と二人三脚で子育てすることができて感謝しています☆

 

きずなメールとは…

妊娠期間は出産予定日を登録、産後は赤ちゃんの誕生日を登録することで、胎児や子供の発育に合わせてタイムリーな内容のメッセージ(胎児・子供の発育、健康アドバイス、子育てアドバイスなど)が届きます。
いずれも、協働先(自治体・医療機関)のオリジナルメールサービスとして発信されます。

NPO法人きずなメール・プロジェクト 代表理事・大島由起雄さんとコンテンツ担当・松本ゆかりさん