とうきょう子育てスイッチ 子育てキャッチアップ

生涯の「子育て仲間」をつくるお手伝い。NPO法人新座子育てネットワークの「なかまほいく」

お互いの子供を少しの間だけ見守りあう「預け合い」。こうしたお互いさまの助け合いは、地域の子育て力を再生します。「なかまほいく」は、育て世代のお母さん同士を結びつけ、お母さんの育児力を引き出し、子供の成長を引き出すといいます。 詳しくお話を伺いました。


NPO法人新座子育てネットワーク代表理事 坂本純子さん
NPO法人新座子育てネットワーク代表理事 坂本純子さん

NPO法人新座子育てネットワーク代表理事、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会副理事長。厚生労働省児童虐待防止対策協議会メンバーをはじめ、地域の子育てに関係する公職を歴任。2008年には本団体が内閣府「子供と家族を応援する日本 功労者表彰」を受賞している。プライベートでは成人した息子さんのお母さんでもある。


なかまほいく担当 晴山園世さん
なかまほいく担当 晴山園世さん

NPO法人新座子育てネットワーク所属。「なかまほいく」担当。プライベートでは成人した2人の娘さんのお母さんでもある。

まず「なかまほいく」とは?

・0~3歳の子供とその親が対象。定員は10組程度。
・週に1回、全10回の活動を同じメンバーで行う。
・最初の数回は親子で一緒に過ごし、その後、親は2つのグループに分かれる。片方のグループが子供を見守り、もう片方のグループは親たちがリフレッシュの時間を過ごす。10回目は親子一緒に活動を振り返る。
・参加費は6,000円程度(開催場所によって異なる)。
・毎回、「なかまほいく」のスタッフが2名ほどサポートする。

専門家と子育て世代が助け合うしくみを開発

「なかまほいく」を立ち上げるきっかけは何でしたか?

坂本さん:16~17年前は、今みたいにファミリーサポートや一時預かり、託児ボランティアというものはなかったんですよ。でも、仲良しのママ同士が子供をちょっと預け合うということはできていました。90年代~2000年代は、子育てサークルがどんどん立ち上がって、はじめは個人宅に集まっていたものが、のちのち公民館などを借りてお母さんたちが独自に活動を始めた時期でした。
私たちが現在、子育て支援センターを運営しているなかで、お母さんたちのニーズで多いのが「ちょっとの間でいいから預けたい」というものです。だから、少し前の世代がやっていたように、今の子育て世代が助け合うしくみを作りました。開発にあたっては児童発達心理などいろいろな専門家に助言してもらいました。


なかまほいく
最初の数回は「親子いっしょ」。みんなで活動します。

お母さんの潜在力が目覚める。

今のお母さんは、人とのつながりを持つことが苦手なのでしょうか?

晴山さん:子育て支援センターに来ているお母さんたちを見ていると、子供とセットになってポツ、ポツ、といる場合が多いですよね。子供がおもちゃを取ろうとすると「それはダメよ」と相手のお母さんに遠慮しながら子供を見ている。空間は解放されているのだけど、お母さん同士の交流がむつかしいのかもしれません。

坂本さん:「いい天気ですね~」から入って、関係性をつめていくという昔の近所づきあいがなくなってきたから、お手本を見ていないんですね。でも関係性をみんなで子育てしながら育む「なかまほいく」のプログラムを体験することで、多くのお母さんが育児力とともに共感力や社会性をぐんと身につけられます。今まで小さな子供を託す、託されるという機会がなかっただけなのですよね。「なかまほいく」の全10回、みんなと力を合わせて子育てすることで連帯感も育まれます。

「なかまほいく」を体験したお母さんはどうなりますか?

晴山さん:「なかまほいく」の会場では、誰が誰の子?って分からないくらいみんなで一緒に子供たちを見守っています。小さい子のお母さんは大きい子をみて、少し先が想像できますし、大きい子のお母さんは、少し前のことを思い出して懐かしく思ったりしています。そして、二人目を生んでもいいかなって思い始めるみたいですよ。スタッフは、全体を見守り、声をかけたりします。お母さんたちはまわりのお母さんたちの様子を見て、自然に抱っこのタイミングや遊び方を覚えたり、「子供は、一人ひとり違うんだ、あやし方にもいろいろな方法があったり、楽しみ方もそれぞれなんだ」と身体で学んでいきます。子育て力の幅が広がるので、自分の子供がよりかわいく思えてくるようですよ。

子供たちにも変化がありますか?

坂本さん:子供たちは目覚ましく成長します。親達のあたたかい関係の中で見守られることで「共育ち(ともそだち)」と言われる集団の中での成長が促されますので、家庭で母子でいるより成長のスピードが早いようです。
晴山さん:そうですね。あるお母さんは「預けるといつもは泣くのに、ここでは泣かない」と驚いていました。タマゴが先かニワトリが先か、みたいな話で、お母さんが安定すると子供も安定します。お母さんが心を開いているお友達のママということが、育児スキルが高くなくても人の子供を預かれる理由なのです。


なかまほいく
慣れてきたら「預け合い」。自分の子供と一緒に見守ります。

子供に「ダメ、ダメ」と言ってしまい、子育てが楽しいという感覚があまりないのですが…。

坂本さん:本来子育ては、喜びだらけのはずなんですけれど「子育てを間違っちゃいけない」というプレッシャーから喜ぶポイントを獲得できていないんでしょうね。そういうとき「なかまほいく」のスタッフや周りのお母さんたちから「かっわいいいぃい~!」って手放しで感激している姿があると、「私も手放しで喜んでいいんだ」と思えるのではないでしょうか。

晴山さん:スタッフは子供たちに「危ないからやめなさい」とは言わず、ケガをしないように見守るように心がけているので、お母さんたちもそこから学んでいるかもしれませんね。

経験から自然と学ぶインキュベーション

「なかまほいく」は、「ママ育て」なのでしょうか?

坂本さん:インキュベーション(孵化)なんです。お母さんと子供の中に眠っている成長や能力の入った卵を孵化させる孵卵器のような事業だと思います。みんな力を持っています。その卵をあたためて、パカッと殻を割ってあげると、活動を通して、気づかない間に成長しています。事細かに「こうして、ああして!」と指示されなくても、自然に乗り越えていきます。


なかまほいく
リフレッシュのグループは、手芸をしたり、おしゃべりをしたり、時には、自分たちで企画もします。このときは情報誌の制作。

子育ての仲間を2、3人もっておくことは大事

「なかまほいく」のプログラムが終わったあとも、お母さん同士で集まることがあるんですね。

春山さん:子育て中は、孤立しがちです。孤立すると精神的にもよくないですね。ご主人の転勤などで周りに頼る人がいないお母さんも多いです。だから「うちの子、よその子、みんなの子」という感覚で、「なかまほいく」がお母さんたちにとって、自然にコミュニティを作ることができる呼び水になってくれるといいですね。実際、この時期に母親同士が友達になると、ずっと友達でいられるんですよ、財産ですよね。

今後も「なかまほいく」を広めていきたいとお考えですか?

坂本さん:そうですね、すでに1500人ほどの親子が参加し、全国37地域に広まっていますが、東京都内にはまだ少ないです。例えば、保育園入所で親が牽制し合うなんてナンセンスですよね(笑)。子育て世代が一枚岩になるのに「なかまほいく」の共助の子育ての体験はおすすめです。地域の行政にどんどん「なかまほいく」を取り入れてもらいたいですね。今後は企業にも協賛してもらって「○○○(会社名)のなかまほいく」と冠事業もできればと考えています。そして、いつの日か「なかまほいく」の普及度が地域の子育て力の指標になればいいですね。


なかまほいく
NPO法人新座子育てネットワークは、NPO法人でも育休を取っている人がいる、お母さんに優しい体制。

 

「なかまほいく」実施ニュース
2011年に埼玉県内にて「なかまほいく」事業を立ち上げ、現在多くの地域で開催している。
東京都内では、2014年東京都子育て応援ファンドモデル事業に認定。
武蔵野市や練馬区などでモデル事業がスタートし、現在、都内では、3地域で実施。

「なかまほいく」に参加したい方、事業として取り入れたい方は
https://sites.google.com/a/ccn01.mygbiz.com/nakamahoiku/
NPO法人新座子育てネットワーク
http://www.ccn.niiza-ksdt.com/