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「夜中の緊急時にも、すぐ助ける!」24時間対応の、一時預かり訪問ができたワケ。

NPO法人子育てネットワークピッコロ 小俣みどりさん
NPO法人子育てネットワークピッコロ 小俣みどりさん
子育てネットワーク・ピッコロ(現NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ)を発足し、理事長を務める。NPO法人ホームスタート・ジャパン理事。東京都子供子育て会議委員。前職は保育士。プライベートでは成人した一男一女の母親。


1998年、事務所を持たず、携帯電話1台を片手に地域住民の団体から始まった「子育てネットワーク・ピッコロ」。今困っている親に、すぐ手を差し伸べるという瞬発力のある活動の積み重ねが実績となり、2003年に「NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ」になりました。現在では清瀬市のファミリー・サポート事業の運営やホームビジター派遣事業、赤ちゃんのチカラプロジェクト事業など、地域に密着したさまざまな子育てサービスを展開しています。理事長の小俣さんに、今でも珍しい24時間対応の、一時預かり訪問についてお話をお伺いしました。


NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ
NPO法人子育てネットワーク・ピッコロの現在。事務所と一時預かり保育施設「ピッコロ・ルーム」を構えている。

24時間対応一時預かり訪問の概要

24時間いつでも電話がつながり、原則として利用者宅で行う訪問保育。利用するためには、最初に会員登録をしておく必要があり、登録は「NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ」のコーディネーターが家庭を訪問して行う。清瀬市および近隣地域限定だが、対応できる支援者がいればどこへでも行って保育する。利用は有償。支援者とは訪問保育する人のことで、30.5時間の講習を受け、入会手続きをした人のみがなれる。

詳細はNPO法人子育てネットワーク・ピッコロをご覧ください。
http://www.piccolonet.org/


NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ
「NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ」のさまざまな子育て支援事業のうちの一つ、認可外保育室「ピッコロ・ルーム」の内部。2016年9月から小規模認可施設となり、利用者にとってより預けやすい環境になる(撮影時は2016年5月)。

「すぐ助ける・預かる理由は問わない」の2本柱で始動

「子育てネットワーク・ピッコロ」を設立した経緯を教えてください。

小俣さん:子供を生む前は保育士として働いていたのですが、子育て中は働いていませんでした。そういう時って社会とつながりたいじゃないですか(笑)。清瀬市の男女共同参画センターアイレックの運営委員になって、保育チームに入りました。当時、厚生労働省が子育て支援の一環として全国で保育サービス講習会をやる動きがあって、清瀬市でも女性労働協会と共催で保育サービス講習会を実施しました。その修了生の16人で「子育てネットワーク・ピッコロ」を立ち上げて、7人が事務局になりました。
どういう活動をしようかと話し合いを重ねていくなかで、メンバーの一人は、「産後、誰にも手伝ってもらえなくて、まだ産後の肥立ちが悪い。だからそういう思いをさせたくない」と言っていました。もう一人は、「助けてほしいと思ったときに、支援されるための書類を書いたり、手続きをしたりしなきゃいけなくて、困ったときが困ったときじゃなくなる。助けてほしいときに、すぐ助けてほしかった」と言っていました。
なるほどなぁと共感したので、ピッコロの活動の大きな方針は2つ、「(子育てに困った人が)助けてほしいときに、すぐ助ける」と「預かる理由は問わない」にしました。活動をするにあたって、私たちはまだNPO法人ではなく、住民の集まりだったので、事務所も何もありませんでした。でもメンバーの1人が、当時(1998年)珍しく、携帯電話を持っていたので、その携帯番号をピッコロの番号にして、携帯電話1台で活動を始めました。

一時預かり訪問の理由は「あつあつのラーメンが食べたいから」でもOK

一時預かり訪問の理由は、本当に何でもいいのですか?

小俣さん:「ラーメンが、あつあつのうちに食べたい」でもいいです(笑)。家族でラーメンを食べに行っても、小さな子供がいるとお母さんは一番最後に食べることになるから、冷めてしまいますよね。私は子育て中、ずっと「あつあつのラーメンが食べたい」と思っていたんですよ。かわいい夢でしょう(笑)。家で作って食べるのとは、うれしさが違いますよね。
それから「(子供と一緒ではなく)一人でお風呂にゆっくり入りたい」という要望にも対応します。何年かたって子供の手が離れればできるのに、子育て中はどうしてもやりたいって思うんですよね。


ボタン通しの練習用おもちゃ

ボタン通しの練習用おもちゃ
支援者(講習を受けた訪問保育を行う人)がボランティアで制作してくれたボタン通しの練習用おもちゃ

できることをしていたら、夜間も対応するように

一時預かり訪問の利用者はどのくらいいたのでしょうか?

小俣さん:保育園の先生たちが困っているお母さんたちに紹介してくれて、半年くらいで100件の利用がありました。最初は託児所ができたと思われて、問い合わせが殺到しましたね。

どんなケースがありましたか?

小俣さん:当時、産後の肥立ちが悪いお母さんがいて、小さい子が2人いるから病院にも行けないって。「でも夫に言うと、『おまえたちは獄つぶしだ』と反対されるから内緒で来て、病院に行っている間、見ていてほしい」という依頼もありました。お母さんたちはけっこう支援を求めているのに、夫に反対されている、というのが意外と多くてびっくりしましたね。

夜間の電話にも対応したのですか?

小俣さん:一時預かりの登録が済んでいないお父さんから夜の9時くらいに電話がかかってきて、翌朝からの保育を頼まれたこともあります。登録しないと保育に移れないので、コーディネーターがすぐお宅に行って登録をし、次の日はお父さんが出勤する前の早朝に支援者(訪問保育を行う人)を派遣しました。

泊り込んでの保育もしていたのですか?

小俣さん:最初、泊まり込みの訪問保育は意識していなかったんですよ。でも「母が倒れて病院に泊まりたい。けれど子供は病室に入れないので、自宅で見ていて欲しい」という依頼があった時に、困った時というのは、夜でも起こるし、泊り込んでの保育も本当に必要なことなのだと実感しました。その出来事がきっかけで、夜間の一時預かり訪問にも対応するようになりました。現在でも(別の家庭で)毎週、決まった曜日の夜間に泊まり込みで子供を見ていてほしい、という依頼があるので、お受けしています。


おもちゃ
こちらも支援者が制作したぬいぐるみ。クオリティが高い。

「子供を預かる」以外の支援もある

今は訪問託児のほかにも、たくさんの子育て支援事業をされていますね。例えば2007年には「ホームビジター」派遣事業※1も始まりました。

小俣さん:ピッコロが信頼されるようになると、相談もされるようになってきます。ホームビジターについては、育児経験のあるお母さんがボランティアで、家庭を訪問する事業だと聞いて、「無料で訪問!?日本ではいろいろ難しさがあるな……」と思ったんです(笑)。でも、実際事業が始まると、ビジターさん(子育て経験があり、研修を受けた訪問者)は「支援するのは、お金のためじゃないよね」と言ってくれました。
「子供は好きだけど、子育ての仕方が分からないから、うまくいっていない」という利用者の方は、ビジターさんが訪問することで、自分の思いを話せて、一緒に子育てや家事をして、子育てに自信がついて、笑顔になるんです。その変わった姿を見て、ビジターさんはとてもやりがいを感じるんですね。
この事業では、支援が終わったあとも、支援した人とされた人で友人のように交流が続くんですよ。「子供の成長を一緒に見守ってくれてうれしい」と声があがっています。


ホームビジター派遣事業
ホームビジター派遣事業の様子。ビジターさん(講習を受けた訪問者・右)が家庭を訪問し、母親をサポートする。

今後の展望はありますか?

小俣さん:家庭の問題は変わっていくので、今までのピッコロが培ってきたノウハウを生かして、育児と介護のダブルケア問題などにも対応できるように、「家庭をまるごと支援する子育て介護の相互援助活動」を展開したいと思っています。

 

◆「NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ」事業の一部概要
行政の窓口が空いていない時間でも電話ができる、「NPO法人子育てネットワーク・ピッコロ」の24時間対応のサービス。どの支援を受けるのが適しているのか迷ったら、電話で相談ができます。

・ホームビジター派遣事業※1 子育て経験がある地域の住民が研修を受講し、ホームビジターとして無償で6歳以下の子供のいる家庭を訪問し、サポートを行うもの。

・ファミリー・サポートきよせ 子供を預けたい人、預かりたい人が会員になり、育児の援助を行うもの。清瀬市では利用者は依頼会員、預かる側は30.5時間の研修修了者で提供会員と呼ばれる。病児・病後児保育(依頼会員宅で預かり)・お泊り保育もあり。

◆各サービスの詳細やその他の事業については下記をご覧ください。
http://www.piccolonet.org/