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企業、行政と連携しながら、母子家庭の母親と子供に対し、トータルな支援を提供するNPO法人リトルワンズ


NPO法人リトルワンズ代表理事 小山訓久さん

東京都渋谷区生まれ。オレゴン大学心理学部卒。アメリカ帰国後、テレビ番組制作、構成作家を経て、現職。海外のひとり親支援団体ボランティア、メディア、広告代理店との事業経験、シングルママからの声を合わせ、2008年ひとり親支援団体リトルワンズを立ち上げる。2010年NPO法人化。東京都杉並区在住。


10年近く前からシングルマザーへの支援を行い、子供の貧困問題の啓発活動を行ってきた団体NPO法人リトルワンズの小山訓久代表に、同団体の強みである企業連携や活動、そして今後の新たな展開についてお話を伺いました。


シングルママ達が本当に求めている支援を、迅速に提供

リトルワンズの活動の経緯を教えてください。

小山さん: 米国留学中に、ボランティアとしてDV被害者支援のNPOに関わったのがこの活動をはじめるきっかけです。その後、日本で仕事を通して、シングルマザーにたくさん取材をする中で、ママ達が求めているものと、行政が提供しようとする内容にギャップが生じていることを知りました。活動開始した2008年は、まだ子供の貧困問題があまり注目されていない時期でしたので、子供の貧困問題を啓発することにも力をいれてきました。同時に、シングルマザーの就労、生活、住居と、トータルにサポートできる体制を整えてきました。このような取り組みは、日本では初めてだと思います。現在、リトルワンズの会員数は全国に1600名程度、年間相談件数は200件を超えました。


リノベーション済みの空き家紹介や、小中学生向けに部活・校外活動支援の奨励金を給付

母子に向けてのトータルな支援を行っておられるとのことですが、具体的な内容を教えてください。

小山さん: 以下4つの柱で支援をすすめています。
ひとつめは、在宅就労支援や就業スキルサポート、カウンセリングなどの自立支援です。住宅に関しては、なかなか家を借りることができないシングルマザーに、リノベーション済みの空き家を紹介するという地域密着型の支援を行っています。オーナーさん達には「孫ができたようだ」と喜んでもらえることもあります。現在までに、100件程度の利用がありました。引っ越しを手伝ったり、家電を提供したり、と住居が決まってからも支援を続けます。
また、「ネウボラ・パッケージ」(※1)という妊娠・出産から6歳くらいまで切れ目なく続ける一括支援として、母子の衣服の提供も行っています。



母子に必要な衣服や日用品が届けられる「ネウボラ・パッケージ」(写真提供:NPO法人リトルワンズ)


ふたつめは、各種公的情報や、キャリアアップ・ファイナンシャルスキルの情報提供などの生活支援です。タイミングよく情報にアクセスできず困っているママ達が多いのが現状です。必要な時に、適切な情報を得られることで、シングルマザーの孤立を回避し、生活をプラスにします。後でご紹介しますが、『ココミナ』というシングルマザー向けのワンストップポータルサイトを2016年10月にオープンしました。
みっつめは、母親のキャリアアップ、そして子供向けの教育情報、機会の提供です。学習支援施設を開放したり、様々なセミナー、ツアーやイベントを通して、文化学習の機会を提供しています。2016年度より、小学生、中学生の初めての部活、校外活動を応援するために、奨励金を給付する「小さな一歩応援プロジェクト」を開始しました。今後は、スポーツ以外に範囲を広げる予定です。最後に、シングルママ・パパ、子供達の交流支援も定期的に行っています。皆、孤立することが多く、悩みをひとりで抱えてしまいがちですが、BBQや季節のイベントを通して、情報交換と相互交流で仲間を作ることができる機会を増やす努力をしています。
このようなイベントの場として、リトルワンズは親子カフェほっくる阿佐ヶ谷を運営しています。親子で安心して食事ができて、地域とのネットワーク作り、情報交換、そして自己実現の場として、毎日様々なイベントが行われています。ママ達が本当に必要とする情報と技術を、ママ達自身の企画による体験型イベントで提供し、キャリアアップや就労支援につなげるというのが特徴です。


様々なイベントを通して、ママ達や地域がつながる親子カフェほっくる阿佐ヶ谷(写真提供:NPO法人リトルワンズ)



季節のイベントを通して仲間づくりや情報提供を行い、相互交流の場となっている(写真提供:NPO法人リトルワンズ)


シングルマザー支援と孤立予防を目指す、ワンストップポータルサイト「ココミナ」

「ココミナ」について教えてください。

小山さん:2016年10月に本格オープンしたのが、ワンストップで支援と孤立予防ができる、シングルマザー向けポータルサイト「ココミナ」(https://sinmama.top/)です。「困った時にすぐに相談できる」ことを目的に、構想8年、完成まで2年を費やし、企業やママ達と一緒に作っていきました。「ココにみんなある」が名前の由来で、「仕事」、「住居」、」「保険」、「サークル活動」などに関わる情報提供・申し込み、先輩ママやスタッフによる「悩み相談」、児童扶養手当の申請時期や支給額シュミレーションができます。今後、「資格取得」「子供の預け先」「買い物」「在宅就労」「無料学習支援」の追加を予定しているほか、協同先自治体の行政施策と手当の周知、ママ同士の相互交流と情報交換の機会も企画しています。

 

活動をするにあたって大切にされていることを教えてください。

小山さん:まず、お母さん方に対してフェアな団体であること。厳しい状況に置かれている方が多いのですが、あくまで自立を目指してのサポートをこころがけています。
次に、企業との連携を大切にすること。企業には、企業の立場や培われた文化やルールがありますので、それらを尊重しながら、無理なく続けられる支援方法を提案しています。リトルワンズでは、企業が参加しやすい仕組み・物流の流れなどを提案することで、多くの協力を継続的に得ています。現在、食品や日用品をダイレクトにママ達に送り届ける仕組みがうまくまわっていますし、企業向け子供の貧困啓発セミナーなどに力を入れることで理解を得やすく、協力範囲がママ達の生活の多岐にわたっています。


NPO同士の連携を模索したい

シングルマザーを取り巻く「トータルサポート」を実現されているわけですが、企業や行政との連携がうまくいっているからこそという面もありますね。つながりを広げていくには次のステップには何が必要でしょうか。今後の展開も教えてください。

小山さん:企業との連携は、1年~1年半といった短期間のプロジェクト単位の協同ならば始めやすいと思います。もっとそういう取り組み方が広がっていいはずです。あえていうと、大企業との連携はもちろん素晴らしいですが、地域に密着した企業とも協力していければ、できることがもっと広がるはずです。
現在、事業の中心は、住居探しと情報提供での支援ですが、これらはすでに形になりましたので、今後は、食の問題解決に着手します。フィンテック(金融とITの融合)を利用した金融サービスも考えています。さらに、これからはNPO同士の連携も欠かせません。リトルワンズには、企業連携の経験がたまってきていますので、他の組織や行政の皆様とシェアできれば、もっと大きな支援の輪が実現できると信じています。


 

※1 ネウボラ・・・・・・フィンランド語。妊娠から出産、子どもが生まれた後も基本的には6歳まで切れ目なくサポートを提供する総合的な支援サービス。

リトルワンズHP:http://www.npolittleones.com/

ココミナ:https://sinmama.top/

親子カフェほっくる阿佐ヶ谷:http://suginamimama.com/top.html