とうきょう子育てスイッチ 子育てキャッチアップ

ママ主体のイベントで地域とつながり、ママたちの力が発揮できる場を広げる NPO法人チルドリンさん

NPO法人チルドリン 代表理事 蒲生美智代さん
NPO法人チルドリン 代表理事 蒲生美智代さん


行政や企業向けのシステム開発、データベースの導入に携わる。結婚、出産を経て2003年株式会社リバティ・ハートを設立。会社のCSRとして2007年チルドリンを設立、ママまつりなど企業や行政との事業を展開。2009年NPO団体となり、活動が10年目を迎えた2017年春「チルドリンアカデミー」を開講。プライベートでは成人した娘の母。


育児は専門職 ママたちが自分でいられる場を創りたい

チルドリンを立ち上げるまでのことを教えてください

蒲生さん: 私は男女雇用機会均等法ができた年に商社に派遣され、システム開発や、行政や企業にデータベースを導入する仕事をしていました。海外からデータベースを日本に導入するにあたっての翻訳や、導入先にコーディネーターとして赴くなど、いろいろな場所で働きました。その頃、私のまわりにいた働く女性は、結婚や出産をあきらめて仕事に邁進する人がほとんど。その中、私は結婚、出産を経て、自分の働き方を考えた時に「これからくるパソコン時代に向けて起業しよう」と考え、2003年にシステム関係のマーケティング会社を設立し、会社のCSRの一環としてチルドリンを立ち上げました。自分が子どもを産んで感じた「育児は子どもを育てる専門職」であること、その大事な仕事をしているママたちを応援する活動にしたいと思いました。最初は子育て中のママが自分の時間を楽しめる場としてアトリエ*チルドリンをスタートし、講師も参加者も子育て中のママという子連れで参加できるワークショップを開きました。そこからママたちが動きだしてママまつりなどのイベントにつながりました。


76平米の室内遊び場
ママまつりの様子 (写真提供:NPO法人チルドリン)

76平米の室内遊び場
ママまつりの様子 (写真提供:NPO法人チルドリン)


全国30か所、10万人来場のママまつり 地域の人とつながる場に

ママまつりをはじめ、国や自治体や企業と組んで地域創生事業など幅広い活動をされていますね。

蒲生さん: ママまつりは、チルドリンが立ち上がった年からはじまり、昨年2016年は公式で30か所、 10万人の方に来場いただけるイベントになりました。ママまつりを開催するきっかけは、ママたちの産後うつの解消のためです。キャリアを重ねてきた友人達が出産、育児に入ると、自分の努力で解決できた仕事とは正反対の思うようにいかない子育てに四苦八苦し、頑張れば頑張るほど産後うつになる姿を見てきました。また、ママになったとたん、サービスを受ける側にまわることに違和感を持つ人も多くいます。ママまつりでは、育児中のママたちが自分の得意なこと、好きなことでブースを構え、1日店長になります。例えばハンドメイド作品を販売したり、アロマセラピーのワークショップを行うことで、お客様から「ありがとう」と感謝の言葉をいただき、自分の存在意義や居場所を見つけるきっかけになっています。

ママまつりの参加者や出店者が自分の地元でも開催したいと、年々全国各地に広がってきました。公式開催以外にも、地域単位の小さなイベントとしても数多く開催されています。ママまつりを開催したい方向けに説明会を行っていますが、そこで必ず「子どもの目線」を忘れないことをお話ししています。当たり前のことなのですが、ママであることは子どもがいることです。子どものいる生活を大事にしながら、ご自身の好きなことをお伝えできる場、そして開催する場所、地域とのつながりも持ってほしいと思っています。実はママまつりは、地元のママたちと地域の人達がつながる練習の場でもあります。ママたちが各地で毎年ママまつりを開催することで、ママたちと地域の人たちが気持ちよく出会い、地震や自然災害など有事の時に、手をつなげる関係が築くことにつながって欲しいと願っています。


ママたちの手で森林保全のための間伐材利用や自然エネルギーの活用を広める

チルドリンカフェやのチルドリン電力のことを教えてください。

蒲生さん: チルドリンカフェは、間伐材利用をすすめる林野庁と企業、自治体などと組んで、千葉の柏の葉、大阪の大阪ATC、そして昨年10月に日本橋室町にオープンしました。チルドリンカフェは、内装に間伐材の吉野杉をふんだんに活用し、木のおもちゃや間伐材から作ったオリジナルの物を使っています。カフェの企画から運営を全て地域のママたちが行い、カフェごとに特色があります。元々は日本の森を守っていこうとママたちに国産材についての講習会を開き、実際に吉野杉の産地での見学とフィールドワークを行うなどして、フォレストママという名称を広めていました。その活動を林野庁が応援してくださり、チルドリンカフェの形になりました。カフェ内を漂う木の香りに、日本の豊かな森の中にいるような雰囲気を感じ、親子や地域の方などが癒される場所になりました。子ども達や未来にできることを考えると、日本の自然に目が向きました。東日本大震災後、電力エネルギーについてママたちも身近に感じることが増え、経済産業省と協力してエネルギーについて考え、学ぶ「エネママカフェ」を開催し、電力の7割が家庭で使用されていると知りました。家庭の電力を再生可能エネルギーにシフトしたいと、再生可能エネルギー事業を行っている企業と協力し4月から「チルドリン電力」を始めることにしました。小さな一歩ですが、家庭から日本の未来を変えていきたいと思います。


チルドリンカフェ本部@日本橋室町
取材場所となったチルドリンカフェ本部@日本橋室町。床には全て吉野杉の間伐材を使用。内装はすべて国産材で、木の香りたっぷりのおもちゃも用意され、親子の集まりなどにスペースの貸し出しも行っている


チルドリンアカデミーでママたちの学びを応援

これからの展開や想いを教えてください。

蒲生さん: 毎日いろいろなことがありますが、できるだけ遠くの景色を見て物事を考えてきました。そうして団体も10年目を迎えることができました。これからは10年間の活動で得た知識を「チルドリンアカデミー」という形でママたちに伝えていこうと思います。活動を長く広く続けていくには「感謝の気持ち」を決して忘れないこと。きっとどんなことにも通じると思うのですが、活動は相手があってこそ、感謝からはじまります。ママまつりやチルドリンカフェは、地域の連携や来てくれた方、準備を一緒にした方、家族の協力などがあってこその活動です。一緒に活動する方には「永く活動を続けて、一緒に同じ景色を見に行きましょう」と話しています。これからもママたちの力を地域に活かし、地域を豊かにする活動を進めていきたいと思います。


チルドリンの活動理念 「これはチルドリンの活動理念です。それぞれの地域が循環し、また、地域地域が連携して、日本全体がこのようなサイクルの国になればよいですね」(蒲生さん)(画像提供:NPO法人チルドリン)


HP: http://www.child-rin.com/

チルドリン電力:https://www.child-rin.com/lab/power/