とうきょう子育てスイッチ 共育者インタビュー

自分が助けられたから、居場所としての「ワラビー」を結成
堀込泰三(ほりこみたいぞう)さん

プロフィール
堀込泰三(ほりこみたいぞう)さん

東京大学大学院を経て大手自動車メーカーでエンジン開発に携わる。2007年長男誕生時に2年間の育休を取得。その後、子供と過ごす大切な時間を増やすため「子育て主夫」に転身。家族でアメリカ生活を送った後、現在は日本で翻訳やライターをしながら2児を育てている。著書に『子育て主夫青春物語:「東大卒」より家族が大事』(言視舎)。8歳と4歳の男の子のパパ。

ブログ「在宅翻訳家の兼業主夫的生活」:
http://taho77.cocolog-nifty.com/blog/

アメリカで体験した「ランチピクニック」

上の子が1歳1カ月のとき、妻の仕事のために育休を取ってアメリカで2年間過ごしました。妻は仕事のため、私が子育て主夫に。スタンフォードの周辺でしたが、ママが仕事を辞めて夫の転勤についてくるというパターンがほとんど。ママたちの中には、「ほんとは日本にいたかった。来たくなかった」というような人もいました。

そこには日本人コミュニティがあり、週1回公園に集まっていました。「ランチピクニック」という集まりで、13時から16時くらいの時間を過ごします。向こうには新宿御苑みたいな大きな公園がいくつもあり、毎週いろいろな公園に遊びに行きました。とてもゆるいコミュニティで幹事さんが「今週は○○公園に集まるよ」とメールを流してくれるんです。

行きたい人だけが集まって、その場で友だちができたら集まりに来なくなる人もいました。日中は子供と二人きりだったから、ママ友でもパパ友でもいいから話し相手が欲しかった。特に用事もなく暇でしたから、毎週子供を連れて参加するようになりました。

ゆるやかな集まりの会を作りたい

日本に戻ってきて2人目の子供が産まれ、「またあの孤独な子育てが始まるのか」と言う気分に。アメリカ在住の時のような、月1回くらいのゆるやかな集まりの会を作りたいと思ったのが、子育てサークル「ワラビー」を作るきっかけです。児童館で仲良くなったママ友とパパ友に声をかけて、サークルを作りました。“ワラビー”というのは動物の名前。メンバーのパパの発案です。

堀込泰三(ほりこみたいぞう)さん

声を掛けると「どういう団体?」「理念とかあるの?」なんて聞いてくる人もいましたが、とにかく誰でも集まれるゆるやかな会を作りたかった。

初めての集まりの場所は、小石川植物園。大々的に広報したわけではないのですが、口コミで30組も集まってびっくりしました。

今は約250人が登録しています。フェイスブックの秘密のグループです。内容にもよりますが、基本的には出欠を取るわけでもなく、「○日の何時にここに集まります」と幹事がフェイスブックに告知するだけ。自分がそうだったから、「1人で子育てをしている人に外出のきっかけを与えたい」。そんな想いからの活動です。

参加のハードルを、いかに下げるか

幹事は毎年3人の交代制。企画する側も、集まってくる側も、「なるべくハードルを低くする」ことを心がけています。出欠を取ると、「ドタキャンすると悪いな」とか「急に来られるようになったけれど、エントリーしてなかったし・・・」となるかも知れませんし。だから「遅刻、早退、ドタキャンOK」と書くことも多いです。

集まってくるメンバーも、なるべく固定メンバーにならないように心がけています。固定メンバーだけがいつも仲良く楽しそうにしていると、ほかの人たちは公園デビューみたいになってドキドキしますよね。そんな雰囲気にならないように、来た人はだれでもウェルカムという空気を大切にしています。

堀込泰三(ほりこみたいぞう)さん

幹事も時には、「都電貸し切り」なんて段取りが必要なイベントをすることもありますが、基本的には、幹事は場所を決めて告知するだけ。「来られる人来てね~」というゆるい集まりを心がけています。

育児サークルでよく聞く話が、幹事役はいつも段取りしてばかりで、参加者は参加するだけという形。そのような形にならないように、参加者が自分から企画するような形になったらいいなと思っています。つい先日、「ワラビーオーケストラ」というグループができました。集まったときに、たまたま「オーケストラをやりたい」と言い出した人がいたのが、きっかけ。楽器を持ち寄って、先日はパパママや独身女性や学生、おじいちゃんおばあちゃんも集まって音を鳴らしました。

「ワラビーサロン」というのも、集まれる部屋があるということでメンバーの1人が立ち上げました。これは、週1回、3~4組が集まって活動しています。

壁を取っ払うお手伝いができたら

作ったのはボクなので、代表はボクの名前になっていますけど、でも代表が何かするわけではありません。気合いの入ったパパママサークルとは一線を画すような、ゆるいサークルです。ボクのモットーは、熱くない人をいかにして集めるかということ。自分が1人目育児の時に心の壁を作っていたからこそ、今度はパパやママが作っている心の壁を取っ払うお手伝いができたらと思っています。孤独を感じたパパやママが、ちょっと出かけようと思ったり、ちょっと話そうと思うきっかけになったらいいですね。

小石川植物園ワラオケ