とうきょう子育てスイッチ 共育者インタビュー

Wa-Life Labo代表(わらいふラボ) 北方 真起さん

プロフィール
北方 真起さん

北方 真起(きたかた まき)
Wa-Life Labo(わらいふラボ)代表、社会教育クリエイター。東京都出身。幼稚園・小学校教員免許を取得後、商社にて商品企画を担当。2011年よりベビーマッサージや子育て講座など保護者のための講座を開始。2013年、女性就業支援の会社代表に就任、日本初の保護者による保護者のための自転車安全利用啓発活動を開始。2016年に子育て期の家族の笑顔のために、子育て・教育、自転車の安全利用啓発、女性や保護者目線をいかしたまちづくりを支援する団体Wa-Life Labo(わらいふラボ)を立ち上げた。子育て・自転車まちづくりの自治体委員などを担当。2児の母。


「子育て・教育」「自転車安全利用啓発」「まちづくり・ユニバーサルデザイン」を通じて、家族が笑顔で暮らせる社会づくりを目指すWa-Life labo(以下わらいふラボ)代表北方真起さんにお話をうかがいました。

社会問題としての自転車安全対策に、「安全を守り伝えるのは親だからこそ」とママ目線で取り組む

-発足の経緯を教えてください。
北方さん幼稚園・小学校教員免許を持っていたこともあり、専業主婦として育児中も、子供が好きなことと資格を活かして社会とつながりたいと思ったのがきっかけです。最初はベビーマッサージの資格をとり、多くのお母さん方に教えながら一歩を踏み出しました。その後、埼玉県で女性支援を行う企業の「ママ社長」に公募で選ばれ、事業のひとつとして、当時社会問題になっていた自転車の安全対策に取り組むプロジェクトを立ち上げました。自分が子供乗せ自転車での転倒事故を経験したことがあり、保護者目線で身近な問題としてとらえつつ、数々の啓発プロジェクトや講座を通じて約3000人近くの親子に安全な自転車利用の方法を伝えてきました。そして2016年3月、個人事業主として独立し、わらいふラボを発足させました。


自転車は、加害者にもなりうる乗り物だという認識を持ってほしい

-わらいふラボの活動を教えてください。
北方さんわらいふとは「笑顔あふれる人生」を意味しており、事業は親子のコミュニケーション講座や受験サポートを行う「教育・子育て」と「自転車安全利用啓発」を中心としています。どちらも、親子で安全で楽しい生活を送るための活動としてとらえて、わらいふラボはコミュニケーションできる「場作り」、知恵や経験の「語り部」の役割を果たしています。


さいたま市子育てパパママ自転車アシストプロジェクト
さいたま市子育てパパママ自転車アシストプロジェクト(出典:わらいふラボ)


-子供乗せ自転車安全利用講座は、前例のない取り組みですね。
北方さん:子供乗せ自転車というと、「親子=弱者=事故の被害者」のイメージが強いのですが、電動自転車は時速10-24km程の速いスピードが出ますし、たとえ普通の自転車であっても、常に加害者となる可能性の高い乗り物だという認識を、利用者には持っていただきたいです。自転車は子供から大人まで生活に欠かせない存在となっていますが、その「選び方」「乗り方」「ルール」などは学ぶ機会がほとんどありません。親になり子どもを持つと、子供を自転車に乗せることも、子ども自身が自転車に乗ることも出てきます。日々の暮らしの中で子供に「自転車のルール」「思いやりの心」「自転車のケア」を伝えられるのは私達、親しかいないということを講座を通してお伝えしています。
昨年は「Family Safety Project」として宇都宮大学都市計画研究室と協力し、30組の親子対象の講座・調査を実施したり、自転車製造メーカーと協働して自転車安全教室を開催してきました。自治体や幼稚園での自転車安全講習会でも、数多く講師を務めさせていただきました。あまり注目されていない分野でしたので、ママ社長時代は地元の自転車屋さんに聞き取りをしたり、自転車製造メーカーの代表電話に電話をして話を聞いてもらったり、と体当たりでプロジェクトを進めてきました。同じく「迷ったらやってみよう」という姿勢で、今後も活動を広げていきたいです。


Family Safety Project

東京大学にて行われた「Family Safety Project」(出典:わらいふラボ)


-交通安全に関する委員会にも参加されていますね。
北方さん:自転車の安全啓発は道路作りや町づくりにつながるので、子供達のための安全な設計についての意見を聴きたい、というお申し出が増えてきました。区や国土交通省で意見を申し上げる機会を得て、ユニバーサルデザインを念頭に置いた町づくりを提案しています。自治体の方の中には子供乗せ自転車に乗ったことのない方がたくさんおられるため、従来の町づくりにおいては、子供乗せ自転車利用者数は多いものの埋もれた存在になっていました。私がママ目線で自転車の安全を訴えてきたことで、道路や駐輪場の建設に取り入れてくださる自治体が増えてきて嬉しいです。


単なる移動手段としてではなく、安全教育の場としての親子自転車

-自転車の安全な乗り方のポイントを教えてください。
北方さん:警視庁のまとめによると、保護者11人に1人の割合で同乗していた幼児を負傷させた経験があり、大半が転倒事故、かつ頭部の負傷が半数近くを占めています。そこで、講座では「自転車安全利用五則※」をお伝えしています。さらに子供乗せ自転車については、①「子供を乗せ下ろしする時と駐停車時に注意」、②「方向転換時の転倒が多い」、③「サドルはかかとを地面につけられる高さ」、④「ヘルメット着用の徹底」を強調しています。特にヘルメットは、初めて子供を自転車に乗せるその日から「これはあなたの大事な頭を守るものだから、 自転車に乗る時は、必ずかぶろうね!」と説明をして、親子の約束にすることをお勧めしています。
もうひとつお伝えしたいことは、親子で自転車に乗っている時間は単なる移動時間ではなく、子供への安全教育の場だということです。子供は親の真似をしますし、親の言ったことを覚えています。一人乗り自転車に乗る前に安全教育をしておけば、事故に遭う確率は減らせます。


北方さん

取材に応じる北方さん


すべての人にバリアフリーな町づくりを。そしてもっと多くの保護者の方々に、自転車安全対策の重要性を伝えたい

-今後の展望を聞かせてください。
北方さん:自転車安全利用啓発から始まった活動ですが、今後は乳幼児連れ、妊婦、高齢者、体の不自由な方など誰もが安全・安心・快適に暮らせる社会づくり、街のバリアフリー化に協力していきたいです。
そして子育て全般で協力しあえる仲間を作っていくのも目標です。
また、もっとたくさんの保護者の方々に自転車安全対策を伝える仕組みを工夫したい、とも考えています。講座や講演でだけでなくチラシやパンフレット、親子のための自転車に関する書籍などにも積極的に取り組みたいと考えています。そして、全国の保護者の方々に「親だからこそ子供の安全を守り、 教育できる」というメッセージを伝えていきたいと思っています。


Wa-Life Labo:http://walifelabo.com/
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※警視庁自転車安全利用五則:
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/index.htm