アートを軸にした親子が気軽に集えるこども・親子支援センター「かぞくのアトリエ」

渋谷区こども・親子支援センター かぞくのアトリエ(渋谷区)

石塚由香子さん

渋谷区こども・親子支援センター「かぞくのアトリエ」館長 新堀桂子
かぞくのアトリエを運営する(株)マザーディクショナリーのスタッフとして、2013年のオープン時より運営に携わり、2015年より館長。親子で楽しめる講座やワークショップ、居心地のよいスペース作りを日々スタッフと考えている。

元学童館が、気軽にアートに触れ合えるこども・親子支援センターにリニューアル

「かぞくのアトリエ」のオープンのきっかけを教えてください。

新堀さん:この場所は、長く地元の子供達が通っていた代々木学童館でした。渋谷区内で学童館の見直しがあり一度クローズしました。その後施設の有効利用を、区長はじめ担当課などで検討した結果、親子が集う場として再オープンが決まりました。新しい施設は、子育て期の親子が気軽にアートに触れ合え、親同士が子育て仲間に出会えるオープンな場所をコンセプトにしました。建物が築40年近く経っていたこともあり、内装を中心にリニューアルすることになりました。掲示板に塗料を塗って黒板にしたり、小学生のランドセルを入れていたロッカーにペンキを塗り直して、来館者の荷物入れにしたりなど、元々の内装を活かしながら、今のお母さん達の感覚にあうようリニューアルしていきました。そして2013年8月に渋谷区こども・親子支援センター「かぞくのアトリエ」がオープンしました。

まちとこ
扉を開けるとすぐに目に入る黒板。棚には子育て世代に向けたイベントなどのチラシが置かれている


「かぞくのアトリエ」は、どんな場所ですか?

新堀さん:この施設は、乳幼児から小学生と、その保護者が無料で利用できる場所です。建物は2階建てで地下にプレイルームを備えています。入口近くには「あけびの庭」があり、以前より植えられていたシラカシやドングリ、アケビ、キウイフルーツなどがあります。地下のプレイルームは、天井が高い体育館です。平日の午前中は、未就学児向けの遊具を置き、未就学児の親子が遊び、平日の午後は小学生がドッチボールや卓球、ビリヤードなどで遊んでいます。1階はおやこサロンで、椅子やテーブル、ミルク用のお湯やお母さん向けの実用書などを備えています。飲食可能な場所なので、ランチタイムにお弁当を持ってきたお母さん同士の交流の場としても使われています。

和室もあり、赤ちゃんや小さいお子さん用の木製のおもちゃや絵本を用意しています。 2階は講座での使用がない時は、フリースペースとして開放して、歩き始めたお子さんが好きな手押し車や、おもちゃ、絵本や紙芝居を揃えています。あとでお話しますが、おやこきょうしつの会場にもなります。また、工作などができ、水も使えるアトリエがあります。

赤ちゃんもごろりとできる和室を備える1階のおやこサロン
赤ちゃんもごろりとできる和室を備える1階のおやこサロン


地下にあるプレイルーム
地下にあるプレイルーム。おやこきょうしつで制作された作品も飾ってある


2階に上がる階段の壁
2階に上がる階段の壁。オープニングイベントで写真家が撮影した親子写真がたくさん!


2階のおやこきょうしつ会場
2階のおやこきょうしつ会場。おやこきょうしつがない日はオープンスペースとして親子が集う


お母さん達の自主プログラムを取り入れた「おやこきょうしつ」や幅広いテーマを扱う「アートスクール」を開催

「おやこきょうしつ」について教えてください。

新堀さん:月1回開催(全5回)の「おやこきょうしつ」を、年に2回、前期(4~8月)と後期(10月~翌年2月)で開催しています。 対象者は渋谷区在住でお子さんが0~3歳の親子で、1歳(0~1歳)、2歳(1歳~2歳)、3歳(2歳~3歳)の年齢別のクラスになっています。おかげさまで毎回定員を上回る申し込みをいただいています。「おやこきょうしつ」ではお子さんの年齢に応じた「ものづくり」、「からだあそび」、「おとあそび」、「からだケア」、「食育」などをテーマに講師やアーティストをお呼びしています。講座を受けるだけでなく、お母さん達に能動的に参加いただきたいと、最後の1回は、お母さん達が企画した自主プログラムを行うことにしています。初回から4回目の講座の後に、打ち合わせ時間を設けて、スタッフも相談にのります。お母さん達は、小さいお子さんの育児真っ最中ですが、時間をうまく使っていろんなアイデアを繰り出し、プログラムを作ります。一升パンを用意して、みんなで写真を撮った後、持ち寄ったおかずとパンでランチをしたり、渋谷はるのおがわプレーパークまで足をのばして、スイカ割りや色水遊びを企画した会もありました。

おやこきょうしつの様子(一部)
おやこきょうしつの様子。ミュージシャンを講師に招いての音あそび


かぞくのアトリエの庭で自然あそび(一部)
かぞくのアトリエの庭で自然あそび。春はたんぽぽの茎でシャボン玉飛ばし、秋は落ち葉に触れ合って楽しむ


約半年の間、お互いの子供の成長を見つめながら一緒に活動をすると、お母さん同士で育児を共有する感覚が生まれて、教室が終わった後も、同窓会を開いている方もいます。例えば1歳のクラスの方は、最初はあんよができなかった子が、5回目には歩いているというような、目を見張る成長を一緒に見ることができます。いい関係性を築けている方が多く、スタッフもやりがいを感じています。

おやこきょうしつ
おやこきょうしつでは、「食」も大切なテーマとして各年齢でプログラムに取り入れている


アートスクールは、どんなことをしていますか?

新堀さん:毎週土曜日に開催している「アートスクール」は、親子やお子さん、保護者が参加できる講座です。いろんな分野で活躍しているクリエイターやアーティストを講師に迎えて、子供の感性を刺激したり、子育てを豊かにする知恵など、さまざまなテーマで開催しています。開催月に必ず「食」のテーマは入れています。例えば最近では、乳製品未使用のお菓子作りや入園や進級を控えた子供用の巾着を作る講座、壊れた食器を補修する金継ぎワークショップ、落語入門講座などを行っています。アートスクールは、平日、なかなか親子の時間が取れない共働きの方も来て、親子で楽しんでいる姿も見られます。

おやこきょうしつ


アートスクールの様子
アートスクールの様子。落語を親子で楽しむ会は、会場に笑い声がたくさん響く


みんなで作って食べる参加型「こども食堂」を開く

2016年秋からはじまった「かぞくのアトリエ版・こども食堂」について教えてください。

新堀さん:かぞくのアトリエでは「みんなで作ってみんなで食べる」参加型のこども食堂を月1回開いています。こども食堂は運営会社マザーディクショナリーの自主事業で、たくさんの方のご協力をいただきながら開催しています。食材宅配会社から食材を、多少の傷があって流通に出すのは難しい作家の作品を、児童養護施設、幼稚園などに提供している団体から、食器や器を提供いただいています。調理ボランティアさんが毎回来てくれ、スタッフもこども食堂の時間はボランティアで参加しています。毎回来てくれる小学生の男の子達が、食材を切ったり、テーブルをふいたり、片付けも頑張ってくれていて、とても頼もしいです。食を囲むと自然と子供も大人も笑顔になりますね。毎日忙しいお母さん達のひと時にもなればと思います。

小学生の男の子たちがお手伝い
小学生の男の子たちが積極的にお手伝いに入ってくれる


みんなそろって「いただきます!」
みんなそろって「いただきます!」


今後、取り組みたいことなどを教えてください。

新堀さん:開館から5年目を迎え、親子でのご来館を中心に小学生や、お孫さんと来る祖父母の方、海外の方など年間27,000人が訪れています。近くにあった小学校が数年前に廃校になったことや、子供達が遊べる身近な公園が少ないなど、地域の変化もあり「かぞくのアトリエ」が子供や親子が楽しく遊べる、より地域に根差した場所でありたいです。また、今ある講座やワークショップ、施設もブラッシュアップしていきたいと思います。

写真協力:かぞくのアトリエ(内観一部除く)

HP:kazoku-no-atelier.com/