子供の健やかな成長環境を考えたデザインを

NPO法人 キッズデザイン協議会(港区)

NPO法人 キッズデザイン協議会


プロフィール

キッズデザイン協議会
【後列左から2番目】専務理事・福田求道
会員企業から協議会事務局に勤務して4年。二人の子供は成人して独立。子育てに不参可だったことを協議会の業務を通じて痛感し、反省中。


【前列中央】広報・濱田あかね
2011年の出産をきっかけに、2012年より当協議会にてキッズデザイン賞の顕彰事業や広報を担当。現在は、3人の子育て(8・5・3)を通していろいろと学び中。

子供の視点を考慮したデザインを

キッズデザイン協議会立ち上げの経緯を教えてください。

濱田さん:社会の中で使われている仕組みや製品は、大人を中心に設計されています。その大人社会の中で子供も一緒に生活しているわけですが、それが子供の重篤な事故につながることもあります。2006年に起こってしまった、ある子供の死亡事故がきっかけとなり「子供たちが生活する環境を安全・安心に」という思いで、さまざまな分野の企業が集合して社会課題を解決していこうと発足したのがキッズデザイン協議会です。


最初から複数の企業が集まったのでしょうか?

福田さん:そうです。キッズデザインには様々な企業が参画していますが、それも一業種一社ではなく同業の会社であっても会員として参画しています。
濱田さん:あらゆる企業がデータベースを共有して科学的に研究し、次世代を担う子供たちの健やかな成長を促すような製品やサービスの開発を行なっているのです。


ユニバーサルデザインとの違いは何でしょうか?

福田さん:ユニバーサルデザインの視点と同じ点もありますが、異なる点もあります。例えば、子供の液体の誤飲を防ぐために蓋を開けづらくデザインすることなどがそうです。ライターも、今は火がつきにくくデザインされていますね。このような、あえて使いづらくして事故を未然に防ぐことを目的としたデザインもキッズデザインになります。


優れたデザインを社会に広げる顕彰事業「キッズデザイン賞」

キッズデザイン賞について教えてください。

濱田さん:キッズデザインは、3つのデザインミッションを掲げています。一つ目は発足のきっかけにもなった、子どもたちの安全・安心に貢献するデザインです。二つ目は、子どもたちの創造性と未来を切り拓いていくようなワークショップや教育法など。三つ目は、働き方改革や子育てを応援するような社会や企業の仕組みです。

キッズデザイン賞


製品のデザインだけではなく、仕組みやシステムもキッズデザイン賞の対象なんですね。

濱田さん:キッズデザインは、子供たちが社会の中でよりよく生きていけるような環境を、社会全体で作っていく活動です。商品を安全・安心にするだけではなく、子供たちが健やかに育つためにはどのような環境・思考が必要であり、企業として何ができるのか、幅広い視点で考えていくために取り組んでいます。
福田さん:企業や個人が開発した製品やサービスをキッズデザイン賞に応募してもらい、その中から選ばれたすばらしいアイディアを世の中に広げていくことを目標としています。


毎年何点ぐらいの応募があるのでしょうか?

濱田さん:毎年500点ほどの応募があります。すでに世の中に出ている製品・サービス・取り組みに限りますが、企業でも個人でも誰でも応募ができます。応募された作品の内、200〜300点がキッズデザイン賞を受賞します。受賞すると、キッズデザインのマークを使ってキッズデザイン受賞作品としてPRすることができます。

キッズデザイン賞受賞作品の展示会場
キッズデザイン賞受賞作品の展示会場。


キッズデザイン賞受賞作品は、どこで紹介されていますか。

福田さん:Webサイトでも紹介していますが、受賞作品が体験できるワークショップの開催や、受賞作品の販売をデパートなどで行なっています。また企業向けにセミナーを開催して、受賞作品の開発者が講演をすることもあります。

キッズデザイン賞を受賞した、子供向けワークショップの様子。
キッズデザイン賞を受賞した、子供向けワークショップの様子。


これまでの受賞作品で、特に印象に残っている作品はありますか?

福田さん:第11回内閣総理大臣賞(キッズデザイン最優秀賞)を受賞した西武鉄道新型通勤車両40000系です。ベビーカーや車椅子が乗れる専用の車両があり、子連れでの出勤・外出が楽しく、簡単になりました。このような車両を設けると乗車人数は限られてしまいますが、この電車に乗って育った子供たちは将来に渡って西武線沿線に住んで利用してくれるだろうと、将来を見据えて開発に踏み切ったのだそうです。

西武鉄道新型通勤車両40000系のパートナーゾーン
西武鉄道新型通勤車両40000系のパートナーゾーン。ベビーカーや車椅子で乗車できる。また子供が風景を楽しめるように、窓が大きくデザインされているのも特徴。


濱田さん:第12回内閣総理大臣賞を受賞したYKKのファスナーも印象的でした。これまでのファスナーは子供が無理やり引っ張ると壊れてしまいましたが、YKKが開発した「Quick Free」というこのファスナーは、一定の力が加わるとスライダーが外れるようになっています。この機能は、万が一衣服が首に引っかかってしまった時も外れるため、子供の重篤な事故を防ぐことができます。

YKKの「Quick Free」
YKKの「Quick Free」。着脱しやすく工夫されていて、さらに衣服がひっかかってしまった時にも解放機能があるので安心。


濱田さん:また男女共同参画担当大臣賞(キッズデザイン優秀賞)を受賞した三菱レンジグリルは、料理の苦手な男性でも音声と光のガイドに従うだけで唐揚げなどをはじめとした多彩なメニューができるようにデザインされた製品です。子供のいる共働き夫婦では女性に家事の負担がかかることが多いので、「男性も料理に参加して欲しい」という思いが込められて誕生しました。時短で調理できるように庫内のサイズが小さめに作られ、別売りの角皿を使って調理すればそのままテーブルにサーブができるなど、忙しい共働き世代の生活シーンを考えて作られています。

三菱レンジグリル
三菱レンジグリル。レンジとグリルが自動的に連携運転するので、短時間で調理が可能。


顕彰事業以外に、研究開発活動も行われていますね。

濱田さん:研究の一つとして、「こどもOSランゲージ」があります。こどもOSランゲージとは、子供の行動を研究してその特性をまとめたものです。例えば、ギリギリ通り抜けられそうな小さな隙間があると、子供はくぐりたくなります。OSランゲージではこれを「くぐりぬけ」と呼んでいます。デザイナーが商品設計をするときに、こうした子供の特性を知っていれば設計に活かすことができます。開発者向けのツールとして販売しています。

「こどもOSランゲージ」ワークショップの様子。
「こどもOSランゲージ」ワークショップの様子。


キッズデザインが広がることで、子育てしやすい社会に

今後の目標は?

福田さん:直近の目標としては、キッズデザイン宣言を広げていくことです。そのためには、より多くの企業に参画していただくことが必要だと考えています。そうすれば近い将来、キッズデザインに囲まれた社会になっていくのではないかと思います。

2017年に発表されたキッズデザイン宣言。
2017年に発表されたキッズデザイン宣言。


濱田さん:キッズデザインのマークをより多くの人に知ってもらい、子育て中に商品を購入するときなどに参考にしてもらいたいです。子育ては大変なこともありますが、「楽しい」と思えるような環境にしていきたいです。
福田さん:20代〜30代の人たちが、“子育てをしたい”と思える社会になるといいですね。


第13回キッズデザイン賞に応募しよう!

募集期間:2019年3月1日—5月10日
※都内の中小企業は、条件により審査料を補助してもらえる制度があります。

KIDS DESIGN AWARD2019
https://kidsdesignaward.jp/


写真協力:キッズデザイン協議会(一部写真除く)



協働に関するインタビュー内容

他の団体と協働したいとお考えですか?
YES
どのような団体と協働したいですか?
企業
協働に対して期待したいこと、コメントなどあればお願いします。
業種問わず、あらゆる企業に参画していただきたいです。