とうきょう子育てスイッチ 子育てマガジン

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地域で芽生えた先駆的な支援策や注目の取り組みを取り上げ、取材して紹介します。

300を超える子供向けワークショッププログラムを開催。未来を担う子供達の創造の場を全国へ

NPO法人CANVAS(台東区)

並木江梨加さん

NPO法人CANVAS ワークショップコーディネーター・講師 並木江梨加

大学在学中にボランティアとしてCANVASに参加。子供達の思いがけない発想に刺激を受ける。大学卒業後、企業に就職したが、その後CANVASに従事。現在はワークショップコーディネーター・講師として活躍。

MITのメディアラボに感銘 日本の子供達の創造的な学びの場を作るため団体を立ち上げる

理事長の石戸奈々子さんがMIT(マサチューセッツ工科大学)にあるメディアラボと出会いが、CANVASの立ち上げのきっかけになったとお聞きしています。

並木さん:石戸が大学卒業後、MITのメディアラボという、デジタルを使ったコミュニケーションや表現を開拓し、デジタルの未来社会に対するビジョンを世界に打ち出している研究所に研究員として留学しました。石戸は、研究員や指導者がフラットな関係で対話ができるオープンな雰囲気や、ラボ内にあるさまざまな工作用の材料や道具を、自由に使ってアイデアを膨らませることができること、ホワイトボードの壁に、思いついたことをすぐに表現できるようになっていたことなどに深く感銘を受けました。そこでは、それまでになかった斬新なアイデアが次々と生まれたそうです。そしてメディアラボでは、子供とデジタルの総合的な関係をテーマにツールや方法論の開発も行っていました。石戸はメディアラボに関わる中で「未来を担う日本の子供達は、これからのグローバル社会の中で、異なる背景の人たちとコミュニケーションをし、大量の情報を取捨選択して、物事を構築していく力が求められることになるだろう」と強く感じたそうです。約15年前からメディアラボでは、アメリカをはじめ世界各国のこども博物館、科学館、学校関係者らとの関係を深く持ち、世界的なコミュニティの要として機能していたことから、日本でも子供に対してデジタルと産学間の情報共有ができないだろうかと考え、帰国後の2002年11月に、子供達の創造的な学びの場をつくる活動を産官学連携で推進するプラットフォーム団体NPO法人「CANVAS」を立ち上げました。

三鷹市内の学童でのワークショップ
CANVASのワークショップコレクションの風景


2日で10万人の来場記録を作ったワークショップコレクションを開催

多種多彩な子供向けワークショップを全国各地で繰り広げていますね。活動についてお聞かせください。

並木さん:私達のワークショップは、特定の子供だけが受けるものではなく、全ての子供達に届けたいと考えています。内容もプログラミング、造形、音楽、体を動かすものなど様々です。暮らしの空間がワークショップの会場になり、どこでも子供達の創造力を育てる場が作れることを実践しています。その指針として、CANVASでは「10のつくる」を掲げています。これは「場」、「プログラム」、「拠点」、「人材」「教材」、「ツール」、「空間」、「環境」、「まち」 、「未来」を つくることです。いくつかご紹介すると「場」では、子供達のための創造・表現活動が行える場をつくることです。全国で活躍しているワークショップのプレイヤーを一堂に集め、子供達が様々なワークショップに参加できる「ワークショップコレクション」を団体設立年の2004年からスタートしました。2013年に慶応義塾大学日吉キャンパスで行われた第9回目は、2日間で10万人の来場者を記録。世界最大級の子供向けワークショップ博覧会とも言われ、その年の「グッドデザイン賞」を受賞、受賞作品の中から特に優れた100件を選定する「グッドデザインベスト100」にも選出されました。参加者も当初は、教育関係者や活動に興味のある親子が多かったのですが、段々と裾野が広がっていきました。その後、全国各地でワークショップコレクションを開催したいと手があがり、近年は地方開催が盛んです。

ワークショップコレクションの開催を重ねていくごとに、プレイヤー同士のつながりが生まれ、プレイヤー達のコラボワークショップが数多く立ち上がりました。CANVASではプレイヤー達と共にワークショップのプログラムの開発を行い、現在約300のプログラムを提供しています。他の主な活動として、子供向けワークショップのファシリテーター育成や、図書館などでの企画展での展示協力、子供向けアプリなどのネットリテラシー教材の開発、行政と不動産会社などと組み、子供達による地域活性化を行うなどがあります。

避難所などで使用する新聞スリッパを作る子供達


避難所などで使用する新聞スリッパを作る子供達
活き活きとワークショップに取り組む子供達


都内で行われている「キッズクリエイティブ研究所」やプログラミングの講座について教えてください。

並木さん:キッズクリエイティブ研究所は、代官山、東京大学(本郷)、入谷の3か所で行なっています。対象は小学生で、習い事感覚で通うお子さんが多いですね。「かんじる・かんがえる・つくる・つたえる」を取り入れた、子供達の創造力・表現力を育むワークショップは、造形や、電子工作、サイエンス、環境・自然など約19の分野があります。親御さんは子供の興味のあるものを伸ばしてあげたいと思っていますが、子供が何に興味を持つのかは、やってみて初めて分かることが多いです。ここには、たくさんの分野のワークショップがあるので、いろんなワークショップに参加して子供達がやりたいものが分かるきっかけ作りの場になっています。

プログラミングは、キッズクリエイティブ研究所やワークショップコレクションでも行っていますし、足立区にあるギャラクシティで月1回、未就学児向けの「めざせ!ちびっこプログラマー!」を開催しています。イラストのアイコンを動かして行う子ども向けプログラミング言語「Scratch Jr」を使うので、文字を読めないお子さんもチャレンジできます。

ワークショップの様子

ワークショップの様子

ワークショップの様子
キッズクリエイティブ研究所で受けるワークショップで、興味のあるものを見つけた子供も多い


総勢600名が活動に関わり、プラットフォームの役割を果たす

ワークショップを開催するプレイヤー、アーティストや大学教授、企業の代表などのフェローと呼ばれる方やボランティアスタッフ達が集い、教育関係や自治体、企業と共に活動されていますね。

並木さん:プレイヤー、フェロー、ボランティアスタッフをあわせると総勢600人近くがCANVASに携わっていただいています。フェローは、当団体の理念に賛同いただいた方にお声をかけています。私達はその方たちをつなぐプラットフォームの役割をして、よりよいものを子供達に伝えていきたいと思っています。

子供達の創造を支えるスタッフ達
子供達の創造を支えるスタッフ達


今後の展望などを教えてください。

並木さん:CANVASのワークショップが、全国の子供がいるところで開かれ、今よりももっと子供達が体験できるようにしていきたいです。ボランティアスタッフは随時募集中です。月1回説明会を行っているので、興味のある方はぜひ足を運んでください。

写真協力:NPO法人CANVAS(並木様プロフィールを除く)

HP:http://canvas.ws/