とうきょう子育てスイッチ 子育てマガジン

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地域で芽生えた先駆的な支援策や注目の取り組みを取り上げ、取材して紹介します。

バスの乗り方を楽しくレクチャー 公共交通を使って子供のコミュニケーション力を育む

企画集団らくもび(品川区)

企画集団らくもび共同代表/バスと自転車の共存プロジェクト代表 髙島亮太

1978年生まれ。長野県のバス会社で車掌を務め、その後、都内のバス会社で路線バスの運転士として、働いたのち、デザイン会社に入り交通関係の仕事を担う。2009年の全国バスマップサミットに参加し、そこで出会ったバスや交通に関わるさまざまな活動を行う仲間と共に、2011年企画集団らくもびを発足。各所で協働型の活動を続ける。

全国バスマップサミットでの出会いから、仲間と団体を設立

企画集団らくもびを立ち上げた経緯を教えてください。

髙島さん:20代の頃、長野県で山間部を走るバスの車掌として働き、その後東京で路線バスの運転士として仕事をしました。登山やスキーなどの観光の方から、通学の子供達、免許を持たないお年寄り、車いすなどの身体の不自由な方までさまざまなお客様を案内する中、バス利用の課題を感じていました。退職後もバスについて、いろいろと調べている中で、全国バスマップサミットという催しを見つけました。これはバスマップを作成する市民が集まり、地域のバス事業者や自治体関係者などと共に、利用者の目線で分かりやすいバスの情報発信のあり方や交通まちづくりについて議論し交流する場です。

2003年に岡山大会が開かれて以来、毎年各地で行われています。2009年の沖縄大会に初めて参加し、翌2010年の東京大会では、当時東京にバスに関する団体がなかったため、実行委員会の有志メンバーとして参加することになりました。さまざまな人や団体との出会いがあり、バスについて意見交換を重ねていく中で、バスの有効的なあり方をもっと広めたいと強く感じました。そこで、東京大会メンバーと共にバスを中心とした公共の乗り物を利用して、より楽で快適な分かりやすい移動環境をすすめる「企画集団らくもび」(以下らくもび)を2011年に設立しました。


らくもびのコアメンバーは、コンサルタント、デザイナー、バスマップ制作家、NPO職員、大学職員、バス会社職員など多彩。イベント時にはバスマップサミットでつながった全国の仲間たちが随時サポートしてくれる


クイズで楽しくバスの乗り方を学び、バスの死角を体験

らくもびの活動内容を教えてください。

髙島さん:さまざまなイベントで、親子向けの「バスの乗り方教室」を行ってきました。最近では「バスと自転車の共存プロジェクト」という企画を立ち上げ、「バスの死角体験」にも力を入れています。これはバスの運転席からの目線を知り、歩行者も自転車も安全に通行してもらうための企画です。親子向けの場合は、お子さんがバス好きであることが多いですね。お子さんにはクイズに答えてもらいながら、バスのことを楽しく覚えてもらう工夫をしています。

今、都内を走るバスは、床の低いノンステップやワンステップバスが主流で、乗り降りがしやすくなっています。バスの中ほどの席にベビーカーを固定する補助ベルトを備えた、ベビーカーをたたまずに乗車できるバスが増えています。そのようなバス情報をお伝えすると、結構知らない方が多いです。小さい子がいるので移動は車という方や、バスは学生時代に乗ったきりの方という方にも、バスが年々進化していることをお伝えしたいですね。

バスの乗り方教室


バスの乗り方教室


バスの乗り方教室
バスの乗り方教室では、車内でのマナーやICカード(Suica、PASMOなど)の使い方やベビーカーの固定の仕方など、クイズや実演をまじえたレクチャーを行う


髙島さん:バスの死角体験では、参加者の方に実際にバスの運転席に乗ってもらい、道路のどこまでが見えるか、どこだと見えにくいかという体験してもらいます。これは、逆の立場である自転車などに乗って通行する時に、とても役立ちます。最近は、自転車のイベントでバスの死角体験を行うことが増えてきました。サイクリストの方がバスの運転席に乗ると、気づきが多いようで、とても好評です。バスの運転士、自転車に乗る側の両者ともがお互いの情況を理解することで、どちらも安全な運転を行うことができると思います。

他には、東京メトロの路線紹介などの冊子や、バス会社のバスの乗り方ガイドの企画・制作を行うなどしています。

バスの死角体験の様子
バスの死角体験の様子


親子でバスの運転席から眺めてみると……
親子でバスの運転席から眺めてみると……


乗客や運転士との触れ合いが、子供のコミュニケーション力を豊かにする

子連れでバスに乗るのは、ハードルが高いという声もあります。コツなどありますか?

髙島さん:子供が生まれたことを機にまずは車を購入するなど、小さいお子さんがいると自家用車での移動が便利、バスは不安という認識の方が少なくありません。けれども最近では、ベビーカーで外出する人も多くなったことから、以前よりまわりの目も変わり利用しやすくなってきています。都内では駐車場のコストの問題もあります。公共交通を賢く利用すれば、移動手段のバリエーションが増え、お出かけの幅も広がります。そして子供からお年寄りまで、さまざまな乗客や運転士と触れ合えるため、子供がコミュニケーションを学ぶ、公共のルールを知る場になります。親側も、ベビーカーの乗り下ろしなど大変さもありますが、親切な声がけや手助けに「ありがとう」と言うことから会話が始まります。大変な時には自分から手助けをお願いしてみてもいいと思います。最初は戸惑うこともありますが、他の家族の乗り方を見ながら「何歳ですか」などと話しかけて教えてもらうなど、乗りながらコツをつかんでいってもらえればと思います。

私も息子が0歳の頃からよく一緒に公共交通で出かけてきましたが、父子のコミュニケーションや過ごし方としてとてもおすすめです。バスや公共機関での長距離のお出かけでは、お父さんはお酒も飲めるますし、移動しながら子供の顔を見て乗り物や景色の話ができ、マナーも教えられます。乗り物についての分かりやすい情報発信をお手伝いしていますが、慣れないみなさんでも、親子で楽しくバスや電車でお出かけする機会が増えて欲しいです。

らくもびでは、バス会社や自治体との協働を行っています。その際に心がけていることなどありますか?

髙島さん:協働を行う同士の想いをつなげることを大切にしています。以前はバスや鉄道事業者同士の交流はあまり積極的ではありませんでした。今はその雰囲気はだいぶ変わってきて、バスや鉄道事業者もお客様の意見をより取り入れたい、一緒に手を組んでいきたいという流れになっています。その中でらくもびが橋渡しとなって、利用者が求めている情報を盛り込んで分かりやすくパンフレットを制作することや、イベントなどでの見せ方のお手伝いをすることで、事業者側の伝えたいことが利用者に伝わって、公共交通の利用推進に繋がって欲しいと思っています。地域で開催する行政主導のイベントでは、ファミリー向けの開催を提案するなどアイデアを積極的に出しています。あるイベントでは、行政の担当課の方が別の課にも声をかけてくださり、当初の企画よりも多くの行政ブースが並ぶことになりました。

全国バスマップサミットの様子。


全国バスマップサミットの様子。全国バスマップサミットの様子。2017年度は山梨で開催。『公共交通とオープンデータ~山梨にはデータがある!~』などの勉強会を行った


今後、取り組みたいことなどを教えてください。

髙島さん:これから少子高齢化がますます進むこともあり、移動のハードルを下げて、利用者目線を更に取り入れた、利用しやすいバスや公共交通が広がっていくことを期待しています。子連れにはハードルが高い場面もありますが、安全に賢く利用することで、新たな出会いや発見もあり、楽しい移動空間になります。公共交通の良さを伝え、また、移動手段の組み合わせなども提案しながら、みなさんのお困りごとを解決できるよう、イベントや情報発信を行っていきたいです。

写真協力:企画集団らくもび(プロフィールを除く)

FB: https://www.facebook.com/racumobi/

全国バスマップサミット
http://www.rosenzu.com/busmap/index.html