とうきょう子育てスイッチ 子育てマガジン

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地域で芽生えた先駆的な支援策や注目の取り組みを取り上げ、取材して紹介します。

子供のやりたい気持ちを叶える遊び場を

認定NPO法人 冒険遊び場の会(国分寺市)

認定NPO法人 冒険遊び場の会


プロフィール

認定NPO法人 冒険遊び場の会
代表理事 武藤陽子
国分寺市で自主保育グループを発足し、仲間と一緒に子育てを開始する。2003年より、「冒険遊び場の会」代表理事に就任。自身の子育ての苦労から、国分寺市が”子育てしやすいまち”・” 子供たちに優しいまち”になるように、子供に関わるさまざまな居場所をつくり続けている。

子育ての場所を守る

「冒険遊び場の会」立ち上げの経緯を教えてください。

私はもともと、大学卒業後に保育士として公立保育園に勤務していました。長女の出産を機に仕事をやめて国分寺市に転居してきたんですが、友人もいない、初めての土地での子育てはとても大変でした。幸い子供を公園で遊ばせているうちに、子育て中の人たちに出会うことができました。
国分寺市には、1981年から財団法人が運営する冒険遊び場があり、プレイリーダーが常駐する遊び場として子育て中の親子に親しまれていました。私もママ友とそこで子供を遊ばせるようになり、子育てには欠かせない場所となりました。
そんな中、運営していた財団法人が撤退することになってしまいました。こんなにすばらしい場所をなくしてはいけない、何とかできないだろうかと思い、存続を求める市民団体に加わりました。行政のバックアップもあり、冒険遊び場は無事存続させることができ、2000年にNPO法人化しました。これが現在の「冒険遊び場の会」の始まりです。


子供には外遊びが不可欠

現代の子供の遊びの環境についてどうお考えですか?

昔に比べ、室内の親子ひろばは増えてきました。まだ歩けない子供がいる親にとっては、室内の遊び場はとても貴重な場所です。
一方で、外で子供が思い切り遊べる場所は少ないと思います。公園はありますが、“人に迷惑をかけてはいけない“と親同士が気を使ってしまい、公園での外遊びはしづらくなってきています。


外遊びは、子供が他の子に怪我をさせてしまったら・・・ケンカしてしまったら・・・という心配がつきものですよね。

そうなんです。でも、そもそも子育てというものは人に迷惑がかかるものです。まずはそれを認めて、“お互い様だから”というおおらかな気持ちで子育てして欲しいのです。活動では、親が心配せずに子供を思い切り遊ばせることができる場所にしていきたいと思っています。


子供を「遊び場」で遊ばせて、子育ての悩みも相談できる

冒険遊び場の会では、どのような遊びができるのでしょうか?

冒険遊び場の会では、さまざまな遊び場を提供していますが、その一つが「プレイステーション」です。プレイステーションは、プレイリーダーが常駐する全国でも数少ない遊び場ですが、木に登ったり土を掘ったり、自然と触れ合いながら子供の遊びたい思いを叶えています。

プレイステーションの地図。野菜づくりやおやつ作りなど、多彩な遊びができる。
プレイステーションの地図。野菜づくりやおやつ作りなど、多彩な遊びができる。

 

例えば、子供が「魚釣りをしたい」と言ったら、どうやって釣るか一緒に考え、網や釣竿を作るところから始めます。
遊びたい気持ちは無限大です。こういう思いも全て汲み取って、一緒に取り組んでいます。

手作りの釣竿で魚釣り。
手作りの釣竿で魚釣り。釣れるかな?


普通だったらやらせてあげられないことですね。

なかなか難しいですよね。でもこういった遊びは、子供の想像力や創造力を養います。プレイステーションで育った子は、料理人や大工など職人になった子もいるんですよ。遊びから、新たな興味や関心が育まれるからだと思います。だから外遊びは子供の成長には欠かせないものなのです。

木をナイフで削って、木刀を作っているところ。この遊びも、子供の「やってみたい!」から始まった。
木をナイフで削って、木刀を作っているところ。この遊びも、子供の「やってみたい!」から始まった。


公園でも活動していますよね。

国分寺市内に住む人が家の近くで気軽に遊べるように、各公園にプレイリーダーを派遣する「青空ひろば」を開催しています。青空ひろばではプレイステーションのエッセンスを取り入れ、プレイリーダーと一緒にその公園でできる遊びを楽しみます。例えばある公園の裏には小川があるので、ザリガニや小魚の観察ができます。敷地の広い公園では、ドッジボールや鬼ごっこをして遊びます。子供たちの生活に根ざした遊びをすることで、豊かな成長を育むことを目標にしています。各公園に月に一度助産師の訪問があり、子育ての相談をすることもできます。

昆虫を発見!特別なものがなくても、自然の中で遊びを探せる子供たち。
昆虫を発見!特別なものがなくても、自然の中で遊びを探せる子供たち。


それぞれの遊び場で、子供たちとはどのように関わっていますか。

「冒険遊び場の会」は、家庭でもなく、学校でもない場所です。学校ではいたずらっ子でも、冒険遊び場の会の活動では下の子の面倒をよく見てリーダーシップを発揮する子もいます。もしかしたら、家ではまた違うのかもしれません。つまり子供というのは、いろんな顔を持っているのです。ここでは子供たち一人一人のそういった個性を認めるように心がけています。

ハンモックで遊びつつ、子供たちとおしゃべり。プレイリーダーは、子供目線で話しかけるようにしている。
ハンモックで遊びつつ、子供たちとおしゃべり。プレイリーダーは、子供目線で話しかけるようにしている。


乳幼児を対象にした活動について教えてください。

乳幼児親子を対象とした活動は親子ひろば「BOUKENたまご」です。私が子育てしていた頃は、子連れでお茶やケーキを食べに行けるようなカフェがありませんでした。子育て中のママが息抜きできるそのような場所を作りたいと思ったのが、BOUKENたまごを始めるきっかけになりました。BOUKENたまごにも助産師とカウンセラーが定期的にいて、子育ての悩みから家庭問題まで相談することができます。子育てをしていると日々ちょっとした問題が起こりますからね。BOUKENたまごで子供を遊ばせつつ、気軽に相談できるようにしています。

BOUKENたまごは子供を遊ばせることができ、ママも一息つける場所。
BOUKENたまごは子供を遊ばせることができ、ママも一息つける場所。


地域の人とともに「遊び場」を作り、共に子供を見守る

活動をする上で、大切にしていることはありますか。

冒険遊び場の会は、地域の人みんなで活動をしていきたいと考えています。利用者であっても、スタッフの1人として一緒に遊び場を盛り上げて欲しいのです。今年度から、「市民サポーター」「子連れスタッフ」という制度を設け、子連れの利用者にも活動を手伝ってもらっています。

ママも一緒に遊びに参加。子供たちも嬉しそうです。
ママも一緒に遊びに参加。子供たちも嬉しそうです。


今後はどのように活動を広げていく予定ですか。

プレイステーション・青空ひろばをもっと多くの場所に展開していきたいと考えています。特にプレイステーションは現在一カ所なので、さまざまな人たちが利用しやすいように活動場所を増やすのが夢です。

BOUKENたまごでは、今年度から「預かりあい」という新しい試みが始まっています。ちょっと用事で子供を預けたいときに、会員の親にBOUKENたまご内で預かってもらえる制度です。人の子を預かることに対して不安がある人が多いので、BOUKENたまごのスタッフが手伝って自信を持ってもらいます。昔は近所の子を預かるというのはよくありましたが、最近はほとんどありませんよね。BOUKENたまごで経験して、友だちどうしで気軽に預かりあいができるようになってもらいたいと考えています。

BOUKENたまごで知り合いを作って、子育ての輪を広げて欲しい。“お互いさま“の子育てをめざして。
BOUKENたまごで知り合いを作って、子育ての輪を広げて欲しい。“お互いさま“の子育てをめざして。


また、もし地域内で親子ひろばや遊び場などの活動を始めることがあるなら、喜んでそのお手伝いをしたいと思っています。これからも、国分寺市がより子育てがしやすい街になるようにという願いを込めて、活動を続けていきます。

写真協力:認定NPO法人「冒険遊び場の会」(一部写真除く)