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お母さんの心の安定のためにはお父さんの存在が大事です

田代恵美子さん お母さんの心の安定のためにはお父さんの存在が大事です

田代 恵美子さん

東京都国公立幼稚園・こども園長会 会長。墨田区立立花幼稚園園長。

昭和54年から教員生活をスタート。平成20年から区立立花幼稚園園長に。「園長先生は、お父さん・お母さんの担任です」の言葉通り、保護者の子育ての悩みにも真摯に応じてくれる頼れる先生。成人した子供3人の母でもある。

働く権利もあれば、子育てを楽しむ権利もある

幼児期の子育ての現状をどうとらえていますか?

今は保育園不足などが大きな社会問題となっていますね。働きたい人・働かざる得ない人が、安心して子育てできる環境づくりは重要です。ただ、その一方で、できるだけ長く子供と時間を共有したくて、働かない選択をしている母親たちがいることも忘れてはいけません。また、子供が3人、4人いて、「子供を預けて働きに出るほど給与がもらえないので、今は働かない」という選択をしている人たちもいます。
働きながら子育てをする権利を主張する声だけが目立っていますが、子供との時間を楽しむ権利も、もっと主張していいのではないでしょうか。
幼稚園の園長として、お母さんたちには「もっと自信を持ちましょう。未来を担う子供たちを育てているのは、お母さんたちなんですよ」と、話しています。乳幼児期は、母子関係が濃密でいいと思います。ある程度、成長したら父親の出番も増えていきます。
お母さんたちには、「子供が求めてくるうちは、自信をもって手を掛けてあげてね」と、伝えています。

子供が幼児期のうちに、親育ちもいっぱいして

保育施設や幼稚園とのつき合い方でアドバイスをお願いします

保育園や幼稚園はサービス業ではない、ということを認識して欲しいと思います。「外注でサービスしてもらっている」という意識が強いと、園に対する要求ばかりが増えて、親としての経験を積むことができなくなります。「自分は親として、子供にどう関わることができるか、できたか」という視点を大切にすることで、親は親として成長できます。

保育園や幼稚園と「一緒に我が子を育てよう」と思ってもらえるといいですね。保育園や幼稚園は、子育てだけでなく親育ちの場でもあるんです。

みんなで育て合う意識をもつことが大切

幼児期以降の子育てへのアドバイスもありますか?

最近は、小学校で子供のトラブルが起きたとき、父親が表に出てくるケースが多いそうです。我が子や妻の言ったことだけを鵜呑みにして出てくるので、こじれるケースが多いのだとか。我が子に肩入れしたい気持ちは当然でしょうが、やはり自分の目で確かめること、俯瞰して見ることが、正しい判断をするためには必要です。
子育てでは、我が子だけでなく子供全体を見ることも大切です。
うちの幼稚園では年1回、『パパ先生と遊ぼう!』という行事を組んでいます。これは父親限定参加の行事で、参加したお父さんたちからは、「こういうふうに子供たちは遊ぶんだな~」「うちの子の動きと違って、ほかの子はこういう動き方をするのか」といった気付きや、「集団の中にいる我が子の様子が見られてよかった」といった感想が聞かれます。
子供が就学しても、小学校や中学校のPTA活動や地域ボランティアなど、子供たちを見守り支援する活動はいろいろあります。子供たちをみんなで育て合う意識を持つことは、我が子の子育てに必ずプラスになるでしょう。

母親が安定していないと家庭はダメになる

最近の父親の子育てをどう見ていますか?

「イクメン」という言葉が浸透したのは、とても歓迎すべきことです。でも、お父さんたちは月曜日から金曜日まで必死に働いて、家に帰れば妻から「私はお料理を作ったから、あなたは洗い物ね」などと言われ、仕事も家事も子育ても頑張らなきゃいけない。というのは、要求が多過ぎてかわいそうかな……という印象です。
「平日は家事も育児もあまりできないけれど、せめて土日は家族一緒に過ごそうよ」という形もあるのではないでしょうか。オールマイティーなイクメンを目指さなくても、無理せず、自分ができることをすればよいのだと思います。

お父さんに期待したい役割とは?

おむつを替えたり、お料理をしたり……。必ずしも、お父さんもお母さんと同じことをする必要はありません。それよりも何よりも大切なのは、子育てに奮闘している妻を支えてあげること。妻の愚痴を聞いてあげて、疲れていそうなときは、「今日はおれが子供をみているから、休んでね」と言ってあげてください。そう言われても、夫がちゃんとやれるか心配で、「安心してまかせられない」と思う妻は多いかと思いますが(笑)。しかし、夫が思いやってくれる気持ちは、うれしいに違いありません。
母親が安定していないと、家庭はだめになります。そんな母親を支えらえるのは、夫であるお父さん。お父さんたちには、妻をしっかり支えてあげて欲しいと思います。