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ワークライフバランスが選択できて、やりたいことができる職場に

高橋亜子さん ワークライフバランスが選択できて、やりたいことができる職場に

高橋亜子さん

日本百貨店協会業務・政策統括部政策部マネージャー。現在は、社会貢献活動や環境問題等を担当している。ご自身では、育休を1回取得。

仕事の糧にもなる、男性社員の育休取得

百貨店では女性従業員が多いというイメージがありますが、実際はどうでしょうか。

広報や事務など売り場以外で働いている方を含めると、男女とも半分に近い割合になります。平均勤続年数は男性、女性とも年数が長いことが特徴です。定年退職の制度がない百貨店では、80歳で現役の方もいらっしゃいます。

働きやすい職場、ということでしょうか?

そうですね、百貨店は、土日祝日の勤務や、営業時間の延長など、百貨店の業態特有の環境のもとで、「育児」と仕事の両立を図るため、仕事と生活の両立支援に向けた制度の設計・導入、そして運用するために労使で積極的に意見交換を行っています。子育て中の人が、安心して働けるよう、厚生労働大臣認定「くるみんマーク」や「プラチナくるみんマーク」※1の認定を受けている百貨店も増えてきています。

育休を取得した男性たちを集めて、座談会を開催したとお聞きしました。そのいきさつを教えてください。

まず百貨店は地域に密着し、「楽しい場所・時・友(友好なコミュニケーション)」を提供するものである、と考えています。百貨店で働く人材には、お買物を通じて、幅広い世代や立場のお客様と友好なコミュニケーションを取ることができ、さまざまな経験をした多様な人材が求められています。ですから、育休を取ることも経験になって仕事に生かせます。また、従業員の働く環境が充実していると、お客様へ良い接客サービスができる、とも考えていますので、従業員のワークバランスの好事例をどんどん情報発信するために行いました。男性の育児休暇の取得はまだ少ないので、座談会で実際に育休や有給を取って育児をした人を紹介することによって、なかなか取得に踏み切れない人の背中を押すという目的です。
日本百貨店協会では、労使協働で自主研究事業として「仕事と生活の両立支援」を検討し、多様な働き方を見つめなおす懇談会を開催してきました。その延長で「イクメン座談会」として共催しています。

なぜ、男性の育休取得はまだ少ないとお考えですか。

理由はさまざまあると思いますが、百貨店業においても、育児休業や育児短時間勤務制度を利用することに対して、評価、収入、職場の理解などを理由に躊躇する男性社員も少なくないという実態が浮かんできており、育児参加へのニーズと、実際に育児に参加できている割合とは開きがあると考えられます。

日本百貨店協会

育休取得はスケジュール管理の上達や商品開発に貢献

座談会では、どんな意見が出ましたか?

参加者は、実際に育休を取得、または有給や連休を取得して育児休暇に充てた5人の男性です(当時推定30代~40代)。皆さんの感想は「取って良かった」というもので、スケジュール管理が上手くなったことや、育児をした経験から、男性が持っても素敵な「赤ちゃん用品を持ち運ぶ大きなバッグ」の商品開発などに役立ったことなどが報告されました(以下、「イクメン座談会抜粋」)。

「イクメン座談会」主なコメント抜粋
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<育児休業、育児短時間勤務取得にあたって>
・自分の担当している仕事のやり方を、同僚や部下に教えるなどの準備をしておきました。その過程では、職場のみんなとも更にコミュニケーションが深まるなどのメリットもありました。

・育児短時間勤務の時は、限られた時間の中で自分の業務をこなす必要がありました。そこで、仕事の順序立てを考えて効率的に進める工夫はしました。今考えると、フルタイムで働いている今よりも、その当時の方が仕事の効率はむしろよかったのかもしれない(笑)。

・仕事の段取りはものすごくつけるようになりました。1ヵ月ほどノー残業でやり遂げました。あの頃は、スケジュール管理を人生で一番やったんじゃないかな(笑)。

<イクメン体験で感じたこと>
・将来部下から育児休暇を取得したいと相談されたとき、今の自分だったら躊躇なく「育児休業を取りなさい」と言える自信があります。

<百貨店業でイクメンを推進するための課題>
・営業(売り場)の人も育児休業を取得するには、どうしたらいいのか。これは百貨店業界の大きな課題なんじゃないでしょうか。

・育児短時間勤務の制度を充実させて、長期的視点で育児を考えられるようにすることも大切なのではないでしょうか。

百貨店における「仕事と生活の両立支援」を推進するための取り組み~平成22年度活動報告~百貨店労使協働事業報告書(2)より抜粋
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男性が育休を取得することに対して、反発などはありませんでしたか?

一人ひとり、ライフステージやキャリアの段階で、仕事以外でやりたいことは変わってくることを知っておくことがすごく重要です。ワークライフバランスでいう仕事中心の働き方をする人が多いのですが、上の世代の方には、ご自分達の経験もあってか、育休を取ることを勧める方もいました。百貨店で働く人は、土日祝等の休日も勤務しております。子供の運動会は休日にあって、たった1日休めば見に行けるのに、それができなかったという後悔があるのかもしれませんね(笑)。私もそうだったのですが、子供が小さい時というのは人生のほんの少しの時間なのに、仕事の渦中にいるとなかなか休みを取ろうと踏み切れないんですよね(笑)。
イクメン座談会の皆さんは、時間に制約があるからこそ、工夫して最大限の効率を考えています。一人ひとりの、ライフステージで、仕事以外で取組みたいこと、例えば、勉強や子育て、介護などのバランスは変わります。「今は、仕事も頑張りたい!けれど、子育ての時間もとりたい!」という思いは、限られた時間を意識して、メリハリのある効率的な働き方をすることができる、最大のチャンスだと思います。

育休は取りやすくなっているとお考えですか?

有給と合わせて以前より取りやすくなっていると思います。育児だけではなく、介護やスキルアップの勉強も含めて人生でやりたいことや、やらなくてはいけないことがそれぞれあると思います。少しずつですが多様な価値観が受け入れられてきたと感じています。

子育て中のパパたちへ一言お願いします。

人生でやりたいこと、やらなくてはいけないことはその時々で変わってきますが、限られた時間の中でそれらができるようにトライしてみてください。また、お子さんと二人きりのお出かけで、どこへ行こうか迷ったら百貨店に行ってみてはいかがでしょうか。赤ちゃん休憩室にはミルクのお湯やおむつ替えスペースがありますし、キッズサークルがあるところも多いですよ。



※1「くるみんマーク」・「プラチナくるみんマーク」
「くるみんマーク」は、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証。さらに両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業は「プラチナくるみんマーク」を取得できる。現在「プラチナくるみんマーク」を取得しているのは、79社(2016年3月時点)。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/