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子どもは宝 子どもを社会の中で育てよう

子どもは宝 子どもを社会の中で育てよう

廣島清次さん

一般社団法人日本こども育成協議会会長。株式会社ヒューマンサポート代表取締役。1976年12月認可外保育園「たんぽぽ保育所」を開園。以降足立区を中心に、現在認証保育所を5園、デイサービスを2施設運営している。自身の3人の子どもは、たんぽぽ保育所に通った。

リーマンショック以降、女性の働き方に変化

今年で40年を迎えるたんぽぽ保育所を運営されているとお聞きしました。

早いもので保育園を開園してから今年で40年になります。開園当初から認可外保育園で、働かざるを得ない事情がある方が多く、周囲の理解を得るのが難しい時もありました。ただ、今より子どもを取り巻く環境は、牧歌的でおおらかでした。その頃、近所は畑一面が広がっていて、子ども達が畑で咲いている花をよくもらってきました。当時は子どもとの関わりは母親が第一で、父親は仕事が中心。今は、父親の送迎も珍しくなくなり、父親と母親が夫婦一緒に子育てをされています。運動会などの行事には、ほぼご夫婦で参加されますね。そして祖父母の同席もとても多いです。初めてのお孫さんには、行事に両方の祖父母がいらして、一人のお子さんに大人が6名ということもあります。それだけ子どもに対して、大人が関わりたい、大切に思う気持ちが強くなっているように感じます。

 長く0~2歳児の保育所を続けてきて、2008年のリーマンショック以降から、子どもの預け方や女性の働き方が大きく変わったように思います。それまで家の大黒柱は父親で、母親は家計を助けるため補助的に働いていたのが、父親の失業などで母親も家の中心として働くことになりました。以前も待機児童はいましたが、その頃から待機児童問題が大きくメディアで取り上げられるようになりました。それから少し経って、女性の社会進出が当たり前となり、育児休暇を取る方も増えていきました。母親の働き方は、年々積極的な働き方として変化していますね。


今でも保育園では珍しい園児の送迎を実践。雨の日はとても助かっていると親から感謝の声も。

父親の育児参加はどのように思われていますか?

 積極的に育児に関わる父親が増えています。これからは男性、女性とも育児休暇や病児休暇がより柔軟に取れるよう法制度を整えて欲しいです。小さなお子さんは、水ぼうそうやおたふくかぜなどの感染症にとてもかかりやすく、かかれば1週間から10日間は登園できません。これは理屈抜きにしょうがないことです。その間お子さんのお世話をするのは圧倒的に母親です。子どもの病気の度に母親は会社を休むことになり、会社の理解があまりない場合は、母親が自分自身を責め、会社を辞める決断に繋がる場合もあります。子どもの病気の時は、父親も交代で休める雰囲気が会社にあれば、母親もお子さんも救われます。病気を頻繁にするのは3歳頃までの間です。その間、夫婦が柔軟に子どもの病児休暇を取れる社内の環境整備や上司や同僚の理解など、制度面も含めて社会が変らなければと強く感じています。

お父さんとの遊びは特別でなくてもよい 日常の中に遊びを見つける

お父さんが小さいお子さんと楽しく遊ぶコツはありますか?

特別な道具や遊びはいりません。真正面から子どもと向き合うことが一番大切ではないでしょうか?散歩をして石が落ちていたら拾い「どんな石かな」と一緒に考えてたり、道端に咲く草花を見て「きれいだね」とお子さんの目を見ながら話しかけたりと、日常の一コマが子どもの感性を育てます。ささいな、原始的なことですが、子どもにとっては初めての経験かもしれません。
 赤ちゃんも1人の人格のある人間です。0歳の赤ちゃんには言葉はありませんが、大人のことをよく見て、話をしっかり聞いています。子どもは気持ちの入った大人の行動を敏感に感じ取ります。特にお父さんは、子どもと真剣に向き合って欲しいです。仕事で子どもとの時間を取るのが難しくても、関わり方の質を大事にしてください。

社会の中で子どもを育てよう

これからの子育てについて、お聞かせください。

 少子化と言われ始めて久しいですが、「社会の中で子どもを育てること」が当たり前になって欲しいです。核家族の中で母親が一人で子育てをするのは、子ども、母親にも酷です。24時間、一対一で子どもと向き合えば当然余裕がなくなりますし、悲しい事件が起こる可能性も高くなります。親子が家に閉じこもらず、外に出て社会と関われるような取り組みを進めていきたいです。昔あったご近所のおせっかいが、今の時代の形でとても必要です。幼稚園、保育園以外でも0歳から通える親子の広場など、親子が気軽に足を運べる場が地域にもっと増えるといいですね。


「20年、30年経てば子ども達は、社会の中心で活躍しています。
その時に幼児期の経験が活きてくるのです。」(廣島さん)

一般社団法人日本こども育成協議会の会長として、今後していきたいことはありますか?

 2001年からの保育所運営の規制緩和により、保育の世界に株式会社が参入しました。それに伴って、多様化する子育てのニーズに対応し、保育にとどまらず子どもに社会全体に関わり、健やかな育つ社会の実現を目指して、2006年一般社団法人日本こども育成協議会が設立されました。現在、主に認可保育所・東京都認可保育所、横浜、川崎市等の自治体独自の補助を受ける保育所等、その他学童など子どもにかかわる事業を運営する株式会社、社会福祉法人など全国約110社、約1400の保育施設が関わる大きな団体となりました。報道が続く待機児童問題の一番の要因である「保育士の確保」が、どこの施設でも大きな課題です。都市部は慢性的な人材不足、地方もとても苦戦しています。今後どのようにして保育士の確保、育成をしていくか、会員とともに情報交換をしながら検討していきたいと思います。