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お母さんへのサポートを通じて、夫婦のコミュニケーションが生まれる

お母さんへのサポートを通じて、夫婦のコミュニケーションが生まれる

三木智有さん

特定非営利活動法人tadaima!代表理事。新卒入社の企業でインテリアコーディネーターとして勤務した後、2005年フリーランスに。内閣府主催の社会起業家支援プロジェクトやETIC.の社会起業塾を経て「10年後、20年後も『ただいま』と言って帰りたくなる家庭にあふれた社会を」をビジョンに掲げ、2011年特定非営利活動法人tadaima!を設立。妻、娘の3人家族。

男性視点を取り入れた「家事シェア」を広めたい

特定非営利活動法人tadaima!を始める経緯や活動について教えてください。

 インテリアコーディネーターとして企業で勤めた後、フリーランスになりました。家を建てるにあたって、夫婦でご相談に来られ、奥さんが家のプランをたくさん持って「台所はこうしたい、リビングはああしたい」と熱く語られる中、旦那さんは家のことに全く興味がなく「家に長くいる妻の希望でいいです」と奥さんに全てお任せという場面を数多く経験しました。私は「家を家族の居心地のいい場所にしたい」という思いでお話をしていましたが、男性側から家に対する意見はほとんどあがってきません。それは何故だろうと疑問を持ち、家という形を考える前に、中に住んでいる人にアプローチをかけていきたいと思いました。そこで2010年に任意団体としてtadaima!を立ち上げ、内閣府が行った社会起業家支援プロジェクトやETIC.(社会起業家育成をすすめるNPO)の社会起業塾に参加しながら、活動の方向性を固めていきました。そこで、男性が家事を楽しめる、男性の視点を入れた夫婦で家事を家族ごとにとらえる「家事シェア」が生まれました。「10年後、20年後も『ただいま』と言って帰りたくなる家庭にあふれた社会を」をビジョンに掲げ、特定非営利活動法人tadaima!(以下tadaima!)を2011年に設立しました。現在は「家事シェアプロモーション」、「子育て家庭のモヨウ替え」、「キッズ家事プロジェクト」の3本柱で活動しています。

「家事シェア講座」の集合写真。講座は夫婦で参加し、お互いして欲しい、したい家事を聞きあうワークなどを行う。男性のしたい家事1位は「料理」、女性のして欲しいこと1位は「物事を完結して欲しい」という大きくギャップのでる回答も!(写真提供:特定非営利活動法人tadaima!)

模様替えで夫婦の会話が増えた 家族みんなが居心地のいい家に

家事シェア講座などで会う今のお父さん達について教えてください。

 お父さん達は育児もですが、家事にも積極的です。朝早く夜遅く帰る長時間労働の中でとても頑張っています。それを見ているお母さんは、お父さんが大変なことも分かっているので、不満があっても言いだしにくい。無理強いできないと、あきらめている人もいます。もし、夫が長時間労働で家事の時間を割くことができなくても、お互い納得していれば、不満は生まれません。お互いの考えを刷り合わせるには、普段夫婦のコミュニケーションがどれだけとれているかがとても大切です。 なかなか、二人で話す時間が取れない、話すのが難しい、ならば、家の設計や内装を決める時にインテリアコーディネーターが入るように、家事や部屋の模様替えに第三者を入れた形の「家事シェア」や「子育て家庭のモヨウ替え」をおすすめしています。

事業のひとつ「子育て家庭のモヨウ替え」でお父さん達は変わりますか?

 ほぼ、奥さんからのお申込みなので、男性側は消極的な気持ちで部屋の模様替えをスタートする場合も多いです。「子育て家庭のモヨウ替え」では家のテーマを決め、そのテーマ達成を目標に夫婦、子供の意見をお聞きし、それをまとめ具体的に家の間取り図におとして、こちらからの提案も含めてお伝えします。2か月間に2回私達が訪問し、その間夫婦で話して行う宿題も出します。宿題をすることで「夫が子供のことを真剣に考えてくれていたのが分かった」、「今まで話したことのないこともお互い話すきっかけになった」という感想をいただいています。「夫は趣味のものは絶対処分しないと思っていたけれど、すんなり処分したので驚いた」と言われた方もいました。 育児世代のお父さん達は「子供」、「家族」のことは、協力的に動きます。模様替えで空いたスペースが自分のスペースとして使えると知ると、より家のことに協力的になりますよ。 実は模様替えをすると一番喜ぶのは子供です。今までリビングが何となく子供用のスペースで、いろんなものと一緒におもちゃもあったのが、子供が片付けやすいスペースになると、自分の場所と認識して、とってもうれしそうな顔になり、片付けも積極的にするようになります。それは夫婦の思いが形になったことも大きいです。笑顔が自然と出る家はみんな居心地がいいですよね。

「子育て家庭のモヨウ替え」の様子。「最初は消極的だったお父さんが、段々と家のことを前向きに考えるようになります。お客様の変化や笑顔をみられるのがこの仕事の醍醐味です。」(三木さん・写真提供:特定非営利活動法人tadaima!)

「子育て家庭のモヨウ替え」で提案するシート例。どんな家具を置くと収納が効率的になるか、空きスペースの利用方法、生活動線などを含め、インテリアコーディネーターの経験を活かした提案に、子供が増える、引っ越すなどの際に再度依頼がくることも多い。(写真提供:特定非営利活動法人tadaima!)

お父さんはお母さんのサポートを心がける

お父さんの役割や父親としてできることはありますか?

 父親だからできることというと、遊ぶことに特化しがちですが、私は育児や家事、遊びに男女の差はないと思っています。敢えて父親に何ができるか?と考えてみると「お母さんのサポート」です。これは意識すると動きが変わります。例えば赤ちゃんのおむつ替え、うんちだとダメなお父さんもいますが、それではサポートになりません。他の家事や育児もですが、できるようになるには回数と慣れが必要です。苦手なことには面白みを見つけて、夫婦で報告しあうと、共通の話題ができて、話すきっかけになります。それを1個ずつ増やしてはいかがでしょうか?特に一人目のお子さんの場合、お父さんが1歳までに育児に関わると、お母さんと一緒のスキルになります。失敗したら、慰めあったり、失敗談を伝えあって、愚痴ったっていい。子育てのネタを笑って話し会える関係性ができるといいですね。

「料理が苦手だからできないではなく、洗濯や食器洗い、トイレットペーパーを交換するのも家事です。できるところからまずは一つ。やる時は途中で辞めず必ず完結してくださいとお父さん達に伝えています。」(三木さん)

 もう一つお父さんに取り組んで欲しいことが「お母さんが家事などで動いている時に、お父さんも一緒に動く」ことです。休日、お出掛けから帰ってきて、お母さんがすぐに夕食の準備をする中、お父さんはごろっと寝っ転がって子供の世話もせずスマートフォンを見ている。お母さんは、このような場面でストレスが溜まります。お母さんが家事をしている時は、お父さんはお子さんの世話をする、お風呂の準備をする、机を拭いたり、食器を並べるなど、何か一つでもすると、お母さんに感謝の気持ちが生まれます。男性はサプライズが好きですが、日常生活の中のワンアクションの方がより喜んでくれますよ。平日家事に取り組めないお父さんは、ぜひお休みの日に実践して欲しいです。

tadaima!の今後について教えてください。

  おかげ様で「子育て家庭のモヨウ替え」がとても好評です。家族のコミュニケーションの真ん中に「家事」を置いて、お母さんも、お父さんも、お子さんも家族みんなで家事に楽しく取り組める仕組みをもっと広げていきたいと思います。

特定非営利活動法人tadaima!:http://npotadaima.com/