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パパ同士が楽しくつながりながら、練馬を日本一の子育て地域にしたい

パパ同士が楽しくつながりながら、練馬を日本一の子育て地域にしたい

森 健也さん

1973年大阪生まれ、練馬区在住。コンピューター系の大学卒業後、入社した会社の営業マンに。転勤生活を経て、2008年に本社勤務になり、行政機関に出向後転職。2008年に長女、2014年に長男が誕生。2010年ねりま子育てネットワークで出会った有志と、ねりパパ(練馬イクメンパパプロジェクト)を立ち上げる。第6回よみうり子育て応援団大賞奨励賞受賞。

森 健也さん


森 健也さん
会員宅の庭での焼き芋大会の、森健也さん(左後ろ)とメンバー達

練馬区に永住を決意したのを契機に、「地域人」として生きる活動を開始

ねりパパ(練馬イクメンパパプロジェクト)を始める経緯について教えてください。

 転勤族で全国各地を移動していたのですが、都内勤務になり、練馬区に家を購入したのがきっかけです。この地に永住して子供と共に良き「地域人」になろう、という気持ちが湧いてきて、真剣に地域と関わりたいとボランティアなどにチャレンジしました。たまたま参加した「ねりま子育てネットワーク」という集まりで、男性も育児や子育て支援をやってみたいと手を挙げたところ、同志を得ることができて、活動を開始しました。出会いにも恵まれ、大泉家庭支援センターの子育て広場や児童館でも活動しないかと声をかけられ、その後活動場所が広がりました。


本の読み聞かせ 児童館での絵本の読み聞かせ。絵本にあわせて、皆でぴょーん。(出典:ねりパパブログ)


「育児」・「育自」・「育地」の三本柱で、パパが育ち、パパ同士や地域とつながる

活動内容について教えていただけますか?

 活動の三本柱は、児童館での絵本の読み聞かせや絵本ライブを行う「育児」、練馬区教育委員会からの委託事業『ねりまイクメン講座』を中心とした「育自」、練馬区のイベント出店や商店街とつながる活動の「育地」です。
 ひとつめの「育児」では、練馬区内9~10カ所の児童館で、パパ達と子供達が一緒に絵本や歌を通じて遊びながら、交流します。各児童館にねりパパ担当者を決め、対象は乳幼児から小学校低学年までの子供達と保護者達です。ふたつめの「育自」は、練馬区在住のパパ達が講師をつとめる講座など、オリジナリティあふれる講座を開催していることです。ライフプラン、夫婦の家事育児シェアリング、おもちゃ遊び、バルーンアートを作ろう、などのテーマで講座を行っています。最後の「育地」では、地元のパパ友を作れるのはもちろん、他の子育て支援団体や商店街等と知り合う機会が増え、地域に暮らす多様な人達との「関係資産」が広がるような活動を行っています。もちろん、練馬区以外の近郊のパパ達も大歓迎です。
 この他にも、発案者が担当したいくつかのプロジェクトが動いています。いじめ対策、PTA、イクじい、イクメンヒーロー「ネリマックス」、ワークライフバランスなどのテーマがあります。また、団体の運営面を支える、活動資金発掘や、助成金やドメイン活用を推進するプロジェクトもあり、パパ力と組織力向上に結びついています。


おたのしみ会 おたのしみ会での一場面。イクメンヒーロー「ネリマックス」が、子育ての最大の敵「ムカンシン(無関心)」帝国に立ち向かう。(出典:ねりパパブログ)


各自の自主性を大切にして、楽しく活動することが、共感や活動の継続に結びつく

会員数も増え、パパ達がいきいきと楽しそうに活動されていますね。パパ同士が協力しあう関係作りで工夫されていることなどはありますか?

 基本理念は、「練馬を日本一の子育て地域にする」ですが、会員数が100名以上になりましたので、いろんな考え方で各自が自由に楽しくやっていけるよう「しっかりとゆるく」を心掛けています。
 参加する子供達の中心世代は小学校低学年ですが、パパ達は20代から50代までが参加しているため、「あだなで呼び合う」「敬語は絶対使わない」というルールを徹底しています。例えば、私は「お笑い担当のモンチャック」です。軽すぎるようにも見えますが、距離を縮め、自主性を引き出し、楽しい雰囲気をつくりだす効果が確かにあります。
 ねりパパメーリングリストでは、イベント案内から他愛ない雑談まで様々な情報がやりとりされています。たとえば、「今、このイベントに来ているんだけど」と誰かが投稿すると、少なからずメンバーが同じ場所にいて、共に楽しんだということがありました。また、2011年のクリスマスには、「今年のクリスマスはちびっこにプレゼントを贈るだけじゃなくて、奥さんにも花を贈ろう!」という話題が出てきました。普段はそんなことをしないパパも花束を贈って、かなり喜ばれていました。このように育児以外についても、楽しく真面目に話し合える場があるというのは、ねりパパらしくて良いと思います。  


ねりまイクメン講座 ねりまイクメン講座「パパと一緒にバルーンアートを作って遊ぼう」の様子。この日は、29名の親子が参加。(出典:ねりパパブログ)


家族の幸せを見直し、自分の中の壁を取り払い、働き方を完全に変えた

ご自身の生き方も、大きく変わったようにお見受けします。

 以前は、残業も多く、数字にこだわる営業マンとして、育児にはあまり関わりませんでした。練馬に永住すると決めてライフスタイルを模索しているときに、ファザーリング・ジャパン(※1)の安藤哲也氏の話を聞く機会があり、パパであることを楽しむ生き方に完全に切り替えることができました。「家族との時間を楽しもう」、「家事や育児にもっと関わろう」というのは、当然のことなのですが、自分の中に壁があるとなかなか自分を変えられません。かつては私も、父親の役割や家事は女性が担当するもの、という先入観を持っていました。ファザーリング・ジャパンと出会ってから、働き方を変え、定時に帰り、妻とよく話しあって家事育児を分担するようになりました。この3~4年間は毎日、朝と晩、家族と食卓を共にしています。かといって、仕事や出世をあきらめているわけでもなく、むしろ結果を出して好循環しています。工夫としては、歓送迎会に顔を出せない代わりに、一人ひとりとランチに行ったり、2人目の妊娠がわかった時点で上司と打ち合わせを開始するなど、普段の職場でのコミュニケーションを丁寧に行うよう心がけています。「毎日ご飯作ってて大変なんですよ~」とアピールを続けると、職場でも徐々に受け入れられてきました。時にはユーモアを交えつつ、地道に伝え続けることが大切だと思います。
 家族の幸せの形は多様であっていいと思います。私の場合は、今の働き方や家族との時間がベストなのですが、職場環境の違いもありますから、パパ達全員がこの方向を、とはいえません。ただ、変えようとする前にあきらめてしまう場合も多いようにも思えます。「家族や自分の幸せってなんだろう」、「自分が変われば周囲や相手も変わるのでは」と心の持ちようを今一度考え直す機会があってもよいと思います。育児期間とはそのためにもあるのかもしれません。  


がんばりすぎず、息の長い活動を通して「イクじい」になるのが夢

今後の活動について教えてください。

 ねりパパをもっと拡大したい、とか、この活動に乗り出したい、という目標は特になく、パパ達がやりたいことを楽しくやれる場を提供し、応援したいと思っています。頑張りすぎず、努力しすぎず、もし失敗したら俺がなんとかするから、どんどんやろうよ、という感じが理想です。このまま50年くらい続けてみて、孫をみながらイクじい同士集まり、「ねりジイ」になっちゃったなんて、いいと思いませんか。


ねりパパ(練馬イクメンパパプロジェクト):https://neripapa.jimdo.com/


(※1)NPO法人ファザーリング・ジャパン:http://fathering.jp/