とうきょう子育てスイッチ パパの子育て

パパは育児の当事者 ママのサポートを第一に

子育てカウンセラー・心療内科医 明橋大二さん

明橋 大二さん

子育てカウンセラー・心療内科医。京都大学医学部卒業後、国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院を経て、真生会富山病院心療内科部長。 児童相談所嘱託医、スクールカウンセラー、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。著書『子育てハッピーアドバイス』シリーズは累計470万部を突破。

パパは子育ての当事者としての意識を持つ

著書『忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス』は、仕事に忙しいパパ達向けに書かれていますね。パパ達はどんな風に子育てに関わるとよいでしょうか?

明橋さん:ママ達はお腹の中の赤ちゃんと10カ月一緒に過ごし、ママになる準備期間があってママになります。パパ達はママの妊娠中は自分がパパだということにあまり自覚はなく、赤ちゃんが生まれてから、父親のスイッチが入ります。できればママの妊娠中に両親学級などに参加して、赤ちゃんのことを学んではいかがでしょうか?第一子の場合、生まれた赤ちゃんに対して何をしたらよいか分からないことも多いでしょう。その時は、ママに素直に何をしたらいいか聞いてみてください。ママは仕事で忙しいパパに遠慮して赤ちゃんのお世話を頼めないこともあります。おむつ替え、少しの間の抱っこなど些細なことでも、ママはパパにしてもらえるととても助かります。パパは“子供は二人の子供、二人で育てる”という、育児の当事者意識を持って、ママのサポートを心がけましょう。ママもパパのサポートを受けたら「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることを忘れずに。パパもママも親1年生。お互いに一つひとつ学んでいきましょう。


ママ達がパパに望んでいることはどんなことですか?

明橋さん:パパが仕事に行っている間、ママは言葉の通じない赤ちゃんと1日を過ごし、いつパパが帰ってくるか、毎晩待ちわびています。ママ達は、子供に関わってくれることもうれしいのですが、「会話」を一番望んでいます。ママ達は子供の成長や自分の気持ち、悩み、その日あった、たわいのないこと等を話したいのです。ママ達の話にパパ達は「そうなんだ」と相槌をうって「毎日大変だね」「よく頑張っているね」とねぎらいの気持ちを伝えましょう。ママ達は思いを受け止めてくれるだけでうれしく感じ、育児に前向きに向き合えます。「でも……」「だけど……」と話を返したり、話に共感せず結論や解決策だけを言うなどは控えましょうね。


明橋先生 「ありがとう」は最高の誉め言葉です。お子さん、ママにたくさん「ありがとう」と声をかけてください(明橋先生)


パパならではの子供との関わり方はありますか?

明橋さん:赤ちゃんの頃は、おむつ替えやお風呂に入れることなどをして、首が座ってきたら体を使った遊びを取り入れてみましょう。パパならではのダイナミックな遊びにきっと子供も大喜びです。子供をお風呂に入れるのはママにとっては大きな仕事。パパが子供とお風呂に入ってくれると、ママはとても助かります。その時間は、ママの一人時間になり、家事やお茶を飲む等一息入れることができます。パパは子供とのスキンシップの時間にもなります。子供がお風呂から上がる時はママにお願いするなど、最初から全部パパがやろうとしなくても大丈夫ですよ。


長時間労働で仕事に割く時間がどうしても多いパパ達でもできることはありますか?

明橋さん:子供が小学校に上がる前までは、できれば早く自宅に帰って、ママと一緒に育児をして欲しいです。昼間一人で必死に育児をしているママは、家にパパがいるだけで気持ちがほっとします。平日に早く帰宅することがどうしても難しいパパは、土日などのお休みにパパ主体で子供としっかり遊ぶことや、短い時間でもママの話をしっかり聞きましょう。単身赴任のパパも育児のお手伝いは難しいけれど、電話などでママの話を聞いてサポートにつとめてください。今の状況でできるママのサポートはどんなことがあるか?短い時間でも、ママのことを支える心遣いを持ちましょう。今、育児真っ最中のパパ達が数年後「育ボス」として部下の育児を支える側になれるといいですね。


パパとの関わりが子供の自己肯定感を育む

明橋先生は子供の「自己肯定感」をとても大切にされています。子供の自己肯定感を育むためにパパができることはありますか?

明橋さん:講演会や著書では、甘えが満たされた子供に、自己肯定感が生まれるとお話ししています。「甘え」には、良い甘えである「甘えさせる」と、悪い甘えである「甘やかす」があります。私がお話しする甘えは、「甘えさせる」の意味で情緒的な欲求に応えることを指し、抱っこして欲しいなどの欲求に応えることなどです。一方「甘やかす」は物質的な、おもちゃ、お菓子、お金等の要求に応えることです。こちらは制限を設けることが必要です。「甘えさせる」には制限はなく、抱っこやスキンシップはぜひたくさんしてください。また、子供の成長段階でどうしてもできないことを手伝うことも指します。お子さんができること、チャレンジしたい時は心配であっても子供に任せる。失敗を経験することはとても大事です。自分の良いところも悪いところも全部受け止めてくれる存在がいることで子供の自己肯定感は育まれます。「自分は愛されている」という自己肯定感の土台があって、しつけ(社会ルールを覚えるなど)、勉強というステップを踏んで子供は成長していきます。5~6歳時点でパパの育児行動が平均点以下だった家庭の子供の自己肯定感は、平均点以上の家庭に比べると約2~3倍低く、またパパの育児行動の有無は、ママのパパに対する愛情にも強く影響しているというデータもあります(※1)。
まずは、子供に「抱っこ」とせがまれたらぎゅっと抱っこして、「大好きだよ」と伝えてみてはいかがでしょうか?


子育ち・子育て応援講座風景 子育ち・子育て応援講座風景(2017年3/11めぐろ子ども支援ネットワーク主催)。ママ達の悩み一つひとつに明橋先生は温かい言葉をかけていました


自分の子育ての失敗を本に盛り込む

最後にサイトや著書の読者の方に一言お願いします。

明橋さん:実は『忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス』は、私の育児の失敗から生まれました。仕事が忙しく、帰宅は毎日深夜となり、子育てに関わることができなかった頃、子供から本のコピー(「見逃さないで!子供の心のSOS」)をもじって「見逃してるよ、子供の心のSOS」と言われ、いつも家にいないとブーイングが吹き荒れた時期がありました。この本を書く時に家族に相談すると、意外にも子供達が賛成してくれました。「パパの失敗を書いたらいいよ」と。恥ずかしながら、20年前の自分に読んで欲しい本でもあります。パパ達には仕事に育児に毎日大変な日々を過ごしているかと思いますが、パパ自身のことも大事にして欲しいと思います。

※1『忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス』(1万年堂出版)参照


HP: 明橋大二オフィシャルサイト http://www.akehashi.com/
NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと http://npo-palette.org/
子育てハッピーアドバイス:http://www.happyadvice.jp/


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詳しくはこちら:http://www.happyadvice.jp/archives/11091