イベントレポート

「子育て応援とうきょう広場」パパサミット イベントレポート(子育て応援とうきょう広場2008)

2008/11/22 東京都庁

「子育て応援とうきょう広場」“パパサミット“に行ってきました。
パパ・ママの視点で見た、イベント会場の雰囲気、詳細を報告します。

子育て応援とうきょう広場」“パパサミット“

パパサミット

NPO法人ファザーリングジャパン代表の安藤哲也さんの司会進行で、コメンテーターに富士通総研経済研究所主任研究員の渥美由喜さん、パネリストとして世界7ヵ国(アメリカ、フランス、イタリア、スウェーデン、マレーシア、韓国、日本)のパパたちが参加した「パパサミット」が、「パパトークショー」に続き大会議場で開催されました。また、会場の来場者355人には、「YES=青」、「NO=黄色」で回答していただく2色のうちわが配布され、各議題について来場者へのアンケートも交えて進められました。

「パパサミット〜東京を世界一子育てしやすい街にしよう〜」は、コメンテーターの渥美さんとパネリストの7人のパパのたちの紹介から始まりました。パネリストの方たちのご家族のスナップ写真が順にステージ上のスクリーンにプロジェクターで映しだされ、「日本に来られて何年目なのか?」「どんなお仕事をされているのか?」、それぞれお話されました。奥さんが日本人の方、奥さんも外国人の方といらっしゃいましたが、みなさん来日7〜12年と滞在期間も長く日本語が堪能でした。

パネリスト紹介:

ピーター・ロジンスキーさん(アメリカ合衆国)
オリビエ・ジュディさん(フランス)
グイード・ギゼッリさん(イタリア)
ヤコブ・エドバーグさん(スウェーデン)
ユソップ・ビン・アリさん(マレーシア)
ソン・サンホさん(韓国)
長友英哲さん(日本)

子育て応援とうきょう広場」“パパサミット“

▲ パネリストの7人のパパ。ご家族のお話には、それぞれのお国柄が色濃く出ていました。

思っていても実践が難しい仕事と家庭生活のバランス

<テーマ1>仕事と家庭生活のバランス(ワークライフバランス)について

最初に、会場内の参加者にとったのが、「東京都のお父さんは家庭と仕事のバランスがとれているか?」というアンケートでした。来場者のほとんどが「NO」、会場は黄色いうちわ一色になりました。育児を仕事と同様以上に行いたいと思っているお父さんは多いものの、仕事を優先せざるをえないのが現状のようです。ステージのスクリーンで紹介されている富士通総研調べのデータと同じ結果になりました。

思っていても実践が難しい仕事と家庭生活のバランス

▲ 会場で配られたうちわを挙げて、アンケートに回答する来場者。

日本は勤務時間が各国に比べて長いうえ、サービス残業という残業としてカウントされない労働時間もあります。こういった背景には、日本には「性的役割分業」すなわち「お父さんが仕事、お母さんは家事」という傾向がまだまだ根強くあるため、お父さんは仕事を円滑に進めるための「サービス残業」や「接待」「飲み会」などをせざるをえない状況であるとのことです。また、奥さんもそれを良かれとは思っていないが「仕事だからしょうがない」と考えている人が多いようです。ほかの国でも日本と同様に「みんなが仕事している中では帰りにくい」という風潮はあるようですが、スウェーデンはワークライフバランスがとれているそうです。「スウェーデンでは朝7時半~8時に仕事が始まり、16時頃には退社できる人が多い」とヤコブさん。仕事のあとに子どもを保育園や学校に迎えにいくお父さんが多いため、「帰りにくい」という雰囲気ではないそうです。ほかのヨーロッパの国々でも、安全面などの配慮から、「お父さんが子どもを迎えにいく」ことが多いようです。たしかに体力的にも、子どもの帰宅に関してはお父さんの方がより安心できることも多いですから納得ですね。子どもの送り迎えどころか、帰宅時間の調査では日本のお父さんの約半数が21時以降の帰宅というデータも紹介されました。「首都圏での23時以降の下り電車の混み具合を思い出しても、いかに日本のお父さんの帰宅時間が遅いのかがわかる」という安藤さんのお話に会場中が頷きました。帰宅しても、夕飯が一緒に食べられないのはもちろん、子どもの寝顔しか見られないのが現状で、ヨーロッパの国々と圧倒的に差があります。

ほかの国に比べて、勤務やそれに付随することにお父さんの時間の多くが費やされるということは、当然、家庭内のことはお母さんが重点的に行わなくてはならないことになります。会場で「夫と妻は家事育児を同等に分担すべきである」というアンケートを行ったところ8割方青いうちわが挙がり、多くの方がこの意見に賛成を示しました。家事を重点的に行っているお母さんに賛成が多いのかと思いきや、勤務時間が長く、家にいる時間が少ないと言われるお父さんたちが多かったのが印象的でした。「仕事が忙しくて家事ができず申し訳ない」「できる限り育児や家事に参加していきたい」といった、ワークライフバランスの改善を考えているお父さんが多いようです。

結婚生活で一番大切なことは何か?

<テーマ2>夫婦のコミュニケーションについて

「結婚生活で大切なことは何か?」という調査結果が紹介され、日本を始めほとんどの国が第一位に「誠実さ」が挙がっていました。第二位は国によって変わり、日本は「充分な収入」でした。日本の今の景気を考えると、こういったところでワークライフバランスが悪くなることにつながっていくのかもしれないと感じました。調査結果の中で会場が沸いたのは、フランスの2位の「性的魅力」でした。フランスのジュディさんも「結婚生活で大切なのは『愛』で、それが普通」と話されました。また、イタリアのギゼッリさんは、「子どもがいると、普段は子どものことが会話の中心になってしまうことが多いので、週に1回は奥さんと二人で出かけたりして、夫婦で向き合うことが大切」と話されました。スウェーデンのエドバーグさんは、「子育てが中心になってしまうと、『お父さん』になってしまうが、妻にとっては自分は『夫』であることも忘れてはいけないし、夫婦になる前は恋人であったことも忘れてはいけない。自分自身『お父さん』であり『夫』であるという役割をキチンと認識して、家族と向き合っていきたい」と話されました。こういった意見を聞き、育児は子どもだけと向き合うのではなく、奥さんとの絆を高め合うのが大切だと感じました。

結婚生活で一番大切なことは何か?

▲ パネリストの奥さんに対するお話に、笑いを堪えられない来場者のママたち。

どうしたらお父さんが地域活動へ参加できるか?

<テーマ3>地域活動への参画について

昔は、近所に「叱ってくれるおじさん」がいたり、家族だけでなく「地域」という枠で子どもたちに目を配れる環境でしたが、都市化が進むにつれ減少し、ほとんどなくなってしまいました。特にお父さんが地域の活動に加わりにくい状況があり、そこで「どうしたら多くのお父さんが地域活動への参加ができるか」が熱く議論されました。コメンテーターの渥美さんの実体験から、「初めのうちは地域活動に参加しようとしても、父親が平日に子どもと公園に行くと、周囲の人たちから奇異な目で見られた」という地域活動参加の苦労があったことを話されました。「そういう状況だからこそ、これまで地域の活動に参加していなかった男性が協力していくことで、地域での子育て活動が強化されていき、安心して子育てができる地域になればいいと強く思っている」と安藤さんが話されました。こういったお話を受けてパネリストの方にもお話を聞くと、各国のパパたちも男性であり、さらに外国人ということから、より地域活動に入りにくいのではないかと思えばそうでもなく、子どもを空手教室に通わせたり、近所のお店の人たちと仲良くなったりと積極的であることがわかりました。こういったことは見習っていきたいと感じた、会場のお父さんも多いようでした。

「パパサミット」の議論を通して、各国の子育て環境の違いやパネリストの方自身の子育て観など、普段耳にすることのできないお話がたくさん聞けました。会場で観覧された日本のお父さんが、今後、主体的に子育てに取り組んでいくためのヒントがいくつもあったのではないでしょうか?

「とうきょうパパ宣言」が採択される!

<とうきょうパパ宣言採択>

「パパサミット」の最後に、「とうきょうパパ宣言」の

  • 仕事も子育ても楽しみながら本気で取り組みます。
  • ママとのコミュニケーションも大切にし、家族の支えとなります。
  • 子育ての喜びをみんなで分かち合います。

といった3つの宣言文が読み上げられ、会場の大きな拍手をもって採択されました。宣言書には、パネリストの各国のパパたちに事前に署名をいただていて、採択を受けてコーディネーターの安藤さんが最後に署名をし、東京都の安藤福祉保健局局長へ手渡されました。

とうきょうパパ宣言採択

▲ 宣言書を東京都の安藤福祉保健局局長へ手渡す、コーディネーターの安藤さん。

本日のサミットやこの宣言に賛同する人たちの大きな拍手とともに、無事イベントが終了しました。参加したみんなが改めて、「子どもっていいな」「家族を大切にしなくちゃ」と思ったのではないでしょうか。

新米パパレポーターの感想

私が、パパサミットを観覧して一番印象に残ったのは、子どもとのふれあい方です。子どものためにというスタートラインは同じだとしても、気がつけば自分自身「仕事」にウエイトを置いていて、子どもや妻には「お父さんは仕事だからがまん」、自分には「家族のために辛い仕事でもがまん」と、家族全員ががまんするような状況を生みだしているのではないかと思っていました。そこで、なにかいいヒントはないかとパパサミットに参加したのですが、各国のパパたちの話で、子どももママも、そしてパパも「個」を大切にしているところが印象的でした。自分も「子どものために」にあまりとらわれず、「自分がパパを楽しむ」という方向に切り替えていければと思いました。早速、次の休みは「パパを楽しむ」をモットーに家族とふれあおうと思います。

【イベントレポーター:U(息子が1歳の誕生日を迎えたばかりの子育て奮闘中パパ)】