イベントレポート

パパサミット2010が開催されました!

2010/09/25 東京ビッグサイト 西4ホール

平成22年9月25日(土曜日)東京ビッグサイトにて、“パパサミット”が開催されました。

パパサミット

父親がより主体的に子育てに取り組むためのヒントを探るため、パネリストとして日本で子育てしている世界7カ国(アメリカ、オーストラリア、韓国、ケニア、台湾、日本、フランス)の父親たちが参加し、それぞれの子育てについてざっくばらんに語っていただきました。会場には“YES/NO”が表と裏に書かれたうちわが配布され、来場者にもアンケートに参加していただきました。

当日は、パネリストに事前に取ったアンケートの結果を基に、コーディネーターがその内容を深く聞きながら進められました。中には来日して2年という方もいらっしゃいましたが、ほとんどの方が滞日年数10年前後で、皆さんとても流暢な日本語で、どんな質問にも答えてくださいました。

【登壇者】
パパサミット2010

コーディネーター:
NPO法人ファザーリング・ジャパン つかごしまなぶさん

コメンテーター:
FQ JAPAN発行人 清水朋宏さん

パネリスト:
セイン・カミュさん(アメリカ)
ルーク・ダガンさん(オーストラリア)
チェ・ヒョンスさん(韓国)
ジェームス・クリアさん(ケニア)
チェン・ユーイェンさん(台湾)
堀川佐渡さん(日本)
マルタン・イヴェリックさん(フランス)

<テーマ1>ワークライフバランスについて~大切なのは子供と過ごす時間の長さだけではない?~
子供と過ごす時間について

最初に、「パネリストたちがどれくらいの時間を子供と過ごしているか。満足しているか。」という質問から始まりました。回答は平日では平均して2~3時間、休日は5時間~1日中と、皆さん働きながらもしっかりと時間を確保している様子でしたが、満足していない方もいらっしゃいました。例えば「本当は子供が興味を持っていることをもっと一緒にやりたい。」とおっしゃるチェ・ヒョンスさんから、時間の長さだけではなく、子供との過ごし方を大事にしている様子がうかがえました。

「皆さん子供と過ごす時間を作るために工夫していることはあるか。」という問いに対し、堀川佐渡さんは「夕方は保育園のお迎えがあるから絶対に定時に帰らなくてはいけない。そのためには朝一番に仕事だけでなく家事育児も含めてその日にやることを列挙した何でもto doリストをつくる。」と、限られた時間で如何に効率的に仕事をするか工夫されていました。

それに対し、マルタン・イヴェリックさんは「仕事がたくさんあるときは早めに切り上げる。早めに帰宅し、子供と過ごしてから家で仕事をする。」と、子供と過ごす時間を中心に生活リズムを作っていることを話してくださいました。

一方で、「時間を作る努力をすることも大事だけれど、育児を意識しすぎるとストレスになってしまう。一緒にいる時は子供の話をしっかり聞く。」と、おっしゃるジェームス・クリアさんのように、時間は自然にできるもの、作るための工夫をするというより、一緒にいる時間にどういう接し方をするかメリハリが大事という意見もありました。

育児休業と働き方について

世界の育休制度と取得率について、コメンテーターの清水さんが以下のように解説してくださいました。北欧では取得率が90%前後と高い割合ですが、その背景には、やはり国による義務づけや、手厚い保障があります。イギリスでは2003年に国民保険から父親に最長2週間の育休手当が支給される法律ができ、今では実に94%もの父親が育休を取得するとのこと(2004年時点)。カナダでも2000年に政府により雇用保険被保険者の夫婦が取得できる育休を計35週間にまで延長したところ、父親の育休取得率は2000年の3%から翌年には10%、2006年には23%まで上昇したそうです。イギリスもカナダも決して期間は長くないものの、少しでも育休中の保障があると利用しやすくなるようです。

続いて「育休取得に対する職場の雰囲気」についてですが、多くが「好意的」、「当たり前」と回答される中、チェ・ヒョンスさんは「批判的であり、昇進にマイナスと捉えられる。」と回答されました。韓国では伝統的に男性が外で働くという意識が今でもあるようです。

「日本と他の国で働き方に違いはあるか。」という問いに対し、ほぼ全員が、違いがあるという回答でした。

パパサミット2010

ルーク・ダガンさんは「自分の父親は必ず定時で帰り、必ず子供と遊び、夕食を共にしていた。そしてやりきれなかった仕事は子供が寝てから家でしていた。」と、日本では会社で長時間働くことが当然視されていることを指摘しました。
また、チェン・ユーイェンさんは「会社の仲間は“仕事だけの仲間”ではない。自然に自分の家族の話をしている。」と会社に家族的な雰囲気があることを述べられました。

「子供が生まれてから時間の使い方に変化はあったか。」という問いに対し、パネリストからは「飲みに行く回数が減った。」「子供中心に時間を使うようになった。」という回答が多く出されました。
一方でセイン・カミュさんは「妻の産後の一番大変な時期に一緒にいてあげられなかった。辛そうにしている妻を見たり、子供と一緒に過ごすうちに家族から自分が必要とされていることを実感した。」と発言されました。それに対し、司会進行のつかごしさんも、「母親の産後ケアに疎い男性が多い。父親が産後の育休を取得するのも大事」と子育てに母親のサポートも必要であることをコメントされました。

<テーマ2>夫婦間のコミュニケーションについて~子育てに必要なのはチームワーク?~
夫婦の役割分担について

日本には「性別役割分業」すなわち「男性は外で仕事、女性は家庭で家事」という意識がまだあります。世界の父親たちは家事育児にどれくらい参加しているのかについて、平成21年度の内閣府の調査結果では、どの国も育児時間は多くないものの、育児を含め家事全般に使う時間においては、日本が圧倒的に少ないことがわかりました。うちわを使った会場アンケートでも、家事育児をやっているという人は半々でした。
「役割分担の仕方に違いはあるのか。」という問いに対し、カナダ事情に詳しいコメンテーターの清水さんは、「カナダではバーベキュー、後片付け、ガーデニングはお父さんの役目と、役割がはっきりしている。」とコメントされました。チェ・ヒョンスさんからは「洗濯・料理はしないけれど、皿洗いは当たり前」との発言もあり、分担内容にお国柄が表れているようでした。

またセイン・カミュさんからは「海外では“チームワーク”で行うことが多く、分担ではなくその時できることをしているのではないか。」という意見が出されました。
堀川佐渡さんは「手伝うだけではつまらない。例えばゴミ捨てでもゴミ袋を玄関から移動するだけでなく、ゴミ袋の管理から分別までこだわってやる。小さなことでも最初から最後まで自分でやると自分でマネージメントするようになり、工夫もできるしやりがいも生まれてくる。でも男性をうまくその気にさせるためにも、奥様には上手くできたら褒めておだててほしい。」と、ただのお手伝いでは得られないやりがいを教えてくださいました。

夫婦間のコミュニケーションについて

「夫婦間でコミュニケーションが図れているか。」という問いに対し、会場アンケートでは、十分に話し合っているという回答が少し上回りました。パネリストの皆様も十分にコミュニケーションを取れているという回答でしたが、足りないという意見もありました。「育児のための休暇なので、休暇中は子供中心で妻のことをつい忘れてしまった。育児に良いと思うことを知らぬ間に妻に押し付けてしまい、妻にとってそれがストレスになってしまった。」と、つい子供だけに目が行ってしまうことを反省される発言もありました。
清水さんは、「子供と母親が一緒にいる時間の方が長いので、父親のイメージも母親を通して伝わる。母親とたくさんコミュニケーションを取って良い雰囲気でいることも大事」と、夫婦のコミュニケーションが妻だけでなく子供にも良い影響を与えることを伝えてくださいました。

<テーマ3>父と子の関係について~やっぱり頼られる父親になりたい!~
子供へのしつけや教育について

「子供へのしつけや教育について日本との違いを感じているか。」という問いに対し、セイン・カミュさんからは「日本はしつけが甘すぎる、もっと自立心を育てるべき。」という意見がありました。

パパサミット2010

また、「新生児期から子供を外出させてもいいのでは?」とおっしゃるルーク・ダガンさんや「自分が子供の時は近所の母親たちも叱ってくれた、子供は地域みんなの子供だった。」とおっしゃるジェームス・クリアさんなど、パネリストの皆さんは家の中でのしつけや教育だけでなく、なるべく外に出て多くの人に関わらせているようでした。

マルタン・イヴェリックさんは「日本は教育費が高い。フランスはそこまでお金がかからない。」と制度の違いについて発言されました。

そしてアジア圏では、「多くの親が、世界に通用する大人になることを願っている。小学校から英語教育が行われている。」と発言されたチェン・ユーイェンさんからわかるように、国際社会への関心の高さがうかがえました。

また、どのような子供に育ってほしいか、という問いに対して、ジェームス・クリアさんは「どんな社会にいても自分の力で対応して、付き合える子供になってほしい。」と回答されました。一方で、チェン・ユーイェンさんは「道徳観・マナーを身に付けてほしい。アジアは人口密度が高いので、他の人から尊敬され迷惑をかけないためには自制心を身に付けないといけない。」と回答され、欧米では個人の成長を重視、アジアでは道徳・約束を守るなど集団生活への対応を重視しているようでした。

最後にパネリスト全員から理想の父親像を語っていただきました。パネリストの皆さんに共通していたのは、子供から尊敬される大きな存在でいたいということ。叱るときは威厳を持って叱り、一緒に楽しむ時は“笑顔”でとことん楽しみ、子供が成長してからも相談されるような関係でいたいということでした。

<会場からの質問>

会場から、「妻とのコミュニケーションが大事だと思うけれど、愛情表現が上手くできない。妻との愛情を深めるための具体的方法はありますか?」と質問が出ました。

それに対し、マルタン・イヴェリックさんからは、「日本人は妻のことを褒められてもへりくだってしまう。ありがとうございます、自分は幸せ者ですと言えるくらいでないと。まずはお互いをリスペクトすることが大事」という意見が出ました。またセイン・カミュさんも「作ってくれる料理に、今日も美味しかったよ、と褒めることも大事。日本人はスキンシップが少ない。肩に手を置くだけでも良い。」と、小さな行動の積み重ねの大切さを語ってくださいました。

東京のパパたちへ3つのメッセージ

  1. 子育ては子供と親が共に成長するきっかけである。子供と過ごす時間は限られたもの。仕事だけを優先させず子供と過ごす時間をつくる努力をしよう!
  2. 子育ては誰か一人で行うのではなく、皆で助け合ってするもの。家族の絆を大切に、子育ての喜びや感謝の気持ちは言葉や態度で表そう!
  3. 目指すは、子供にとって存在感があり頼られる父親。子育てを積極的にし、コミュニケーションを大切にすることで、父親の想いを子供に届けよう!

最後は東京の父親たちにこのようなメッセージを伝えました。そのメッセージに対し会場の皆様もYesのうちわを掲げて賛同してくださいました。

パネリストの皆様は緊張を感じさせず、時には笑いも交えながら楽しんでいるようでした。7カ国の父親たちそれぞれに子育て観があり、皆上手くいくこともあればそうでないと感じることもあるようでした。子育ての方法は一つではないのかもしれません。お話を聞いて、東京のお父さんたちにも今日からすぐにできることがあったのではないでしょうか。