イベントレポート

ワークライフバランスフェスタ東京2011が開催されました!

2011/02/02 東京国際フォーラム(展示ホール2)

平成23年2月2日(水曜日)東京国際フォーラムにて、『ワークライフバランスフェスタ東京2011』が開催されました。

ワークライフバランスフェスタ東京2011は東京都主催、子育て応援とうきょう会議共催により開催されました。子育て応援とうきょう会議は、法政大学キャリアデザイン学部による『ワークライフバランス推進企業の調査発表』を行いました。

子育て応援とうきょう会議では、平成20年度より法政大学キャリアデザイン学部と協働し、企業にワークライフバランス(WLB)の必要性を実感し今後の施策の方向性について検討をするきっかけとしていただき、また大学生に企業の実情や就業の現状を理解して今後のキャリアデザインを考えるきっかけとしていただくため、大学生によるWLBの推進に取組む企業への取材を実施しています。
今回フェスタでは取材及びレポート作成を行った法政大学キャリアデザイン学部の3年生が、取材結果の報告、アンケート調査結果の報告、学生版WLB憲章を発表しました。(アンケート調査結果の報告及び学生版WLB憲章の提言は平成22年11月20日(土)に行われた仕事と生活の調和を考える学生フォーラムでも行われております。)

【報告の概要】
  1. 企業へのインタビュー調査
    インタビュー企業13社が進めるWLB施策についての考察
  2. 大学生へのアンケート調査
    大学生はWLBをどのように捉え、将来をどのように考えているか
  3. 大学生の宣言と社会への提言

1、2の現状分析を踏まえ、「大学生版 ワーク・ライフ・バランス憲章」の提言

1 企業へのインタビュー調査

企業へのインタビュー調査

各企業の取組み内容を(1)WLBに対する考え方(2)取組みの経緯(3)WLBに関する制度や施策(4)制度の運用や周知方法(5)WLB実施による効果(6)今後の課題(7)社会や政府に求めること、の7つの視点から分析し、大企業と中小企業の比較を行いました。

(1)WLBに対する考え方

現在、非正規雇用の拡大や高齢者の雇用ニーズの増加などから、企業で多様な人材が働くようになり、ダイバーシティマネージメントを行う必要が出てきています。そこでWLBは多様な人材を活かすための一つの方法として、重要であると考えられています。
調査から大企業では、個人の仕事の生産性を上げるために必要なものという意識であるのに対し、中小企業では離職を防ぐための対応という意識であることがわかりました。

(2)WLB取組みの経緯

経緯として、企業規模に限らず、女性が出産で退職することを防ぐこと、心身の健康の保持など様々な理由が挙げられています。

(3)WLBに関する制度や施策

各企業が導入した6つの制度や施策を、大企業・中小企業それぞれの特徴という視点から分析しました。

(1)休暇制度

大企業では、既存の制度の取得促進に注力しているようです。例えばキャノン(株)では有給休暇を『フリーバカンス制』となじみやすい名前にし、取得促進を図っています。

中小企業では、独自の休暇制度を定め、内容の充実を図っています。例えばゲティンゲ・ジャパン(株)では、幅広い理由で有給休暇を取得できることや、休暇を計画的に付与することにより取得促進を図っています。

(2)労働時間
企業へのインタビュー調査

大企業では、フレックスタイムの導入や既存の制度内容のニーズに合わせた変更により、社員が制度をより利用しやすくしていました。

中小企業では、定時退社の推奨など時期によるメリハリをつけることを推奨していました。

(3)育児、介護など両立支援策について

大企業では、制度利用促進のための周知活動や法定基準を超える期間の付与などが行われています。例えば、㈱旭化成では『ニューパパプロジェクト』を実施し、社員同士での取得についての議論や取得手続きの簡素化を行うことにより、取得しやすい雰囲気を作っています。

それに対し、中小企業では、従業員の規模から個別対応が多い状況です。

(4)女性の活躍推進

大企業では、女性の継続的な就業及びキャリアアップの支援に力を入れています。女性管理職増加のため具体的な目標提示や制度充実を掲げています。例えばキリンホールディングス㈱は、『キリン・ウィメンズネットワーク』にて、女性同士のネットワーク作りを行っています。また、特設サイトでの情報提供において女性社員の不安を取り除く工夫をし、女性が働き続ける仕組みづくり、社員の意識改革を促す仕組みづくりに力を入れています。

中小企業では、ロールモデルが少ないためロールモデルの提示、女性社員同士の交流、一度離職した女性の再就職の受け入れを積極的に行っています。

(5)メンタルヘルス制度

大企業では、相談室の設置や定期的なアンケートによる実態把握を行っています。

中小企業では、在籍人数が少ないため、問題が発生した場合個別に対応しています。しかし、身近な人に相談しにくいことも考え、敢えて外部の相談所を設けているところもあります。

(6)キャリア支援

大企業では、幅広く誰でも使えるもの、今後のライフプラン形成についてなど長期的な視点を持った支援を行っています。

中小企業では、個別の状況に応じた支援、ビジネスに直結した短期的支援を行っています。例えばサイボウズでは選択型人事制度を導入しており、仕事内容に違いはないものの、働き方を(1)成果主義型(2)所定時間労働型の二種類から毎年選択できるようになっています。

(4)制度の運用や周知方法

大企業では、ウェブやポスター掲示、意見を発信しやすい制度、セミナーや会議、マニュアル化による運用など、大企業故にコミュニケーションの範囲が限られることへの対策が講じられています。

中小企業は、社内報による周知、コミュニケーション可能な環境づくりを通じて、制度が活用される工夫と努力をされています。例えば吉村紙業㈱では『オレンジプロジェクト』という活動を実施しています。一つのオレンジを二人に平等に分けるにはどうしたらよいかをグループで考えるワークショップを通じ、WLBは「社員自らが作り上げるもの」という認識が生まれ、自主的にWLBを推進する組織を結成し、社内報での周知活動など自発的活動を行っています。

(5)WLB施策実施による効果
WLB施策実施による効果

企業側の効果として挙げられるのが、離職率(特に女性)の低下、仕事の効率化、育児支援の充実による女性の活躍促進です。例えば㈱リコーでは、時間短縮制度の利用率、出産・育児で職場を離れた女性の復職率が100%を達成するなど、確実に効果が現れています。

社員側の効果として、大企業では仕事満足度の向上、若い社員によるWLBの重視、仕事の効率化につながること、中小企業では多くの社員によるWLBの正しい理解、仕事の効率化が挙げられます。

共通していることは、社員同士が仕事以外の環境や活動を理解し支援する雰囲気の醸成につながるということでした。

(6)今後の課題

大企業では、(1)WLB制度を利用して得たものを仕事に活かすこと(2)女性の管理職を増加させること(3)男性にWLBを正しく理解してもらい推進すること(4)母子家庭の母親など多様な人材の雇用を推進することが課題となります。 中小企業では、(1)既存制度の有効活用を促進すること(2)整備されていない分野に新しい制度を導入していくこと(3)介護に関する制度を整備すること(4)WLBに関する管理職の意識改革をすることが挙げられます。

(7)社会に求めること

大企業・中小企業に共通していたのは、周知活動と待機児童対策が必要ということでした。その根底には、WLBへの誤った理解や、ネガティブなイメージを払拭したいという思い、働きたいのに子供を預けることができない社員もいるため、保育施設は地域社会に必要なものであり整備をすべきという思いがあるようです。
大企業には終わりが見えない介護への対策を求める声もありました。

【企業インタビューのまとめ】
  1. WLB施策は企業にも社会にもメリットがある
    企業にとっては福利厚生やCSRではなく、経営に必要なものである。
  2. 大企業と中小企業では実施方法に違いがある
    それぞれに適した制度を取り入れることが必要である。
  3. キャリア支援が大事
    施策はあくまでサポートであり、主体的な考えが必要である。自発的に行動する社員の支援が大事である。
  4. WLBは働く人に共通の課題
    WLBは男性だけでなく、すべての社員に共通の課題であり、当事者が増えれば認識も変わってくる。
  5. 制度だけではなく、環境や雰囲気が大事 社員がお互いを理解し合い支援する雰囲気が大切である。

2 大学生へのアンケート調査

当アンケートは、大学生に対するWLBに関する意識調査を行い、その現状を明らかにすることを目的に、2010年10月、東京都近辺の大学のキャリアセンターを通じて3・4年生を対象に実施されました。

【調査結果の概要】

調査結果から大学生のWLBへの認知度の低さ、誤解があることが明らかになりました。また、希望と現実について、社会人になってからは仕事とそれ以外のことを両立したいとしながらも現実には仕事を優先するだろう、と大学生に希望と現実のギャップが生じていることがわかりました。

働くことのイメージについて、「働くことが辛い」とマイナスイメージを抱いている人の方が多く、特にWLBを知っている人に比べ知らない人の方が「辛い」と感じる傾向が強いことがわかりました。しかし、希望が通らない場合の対応として、半数以上の学生が、希望が実現するよう行動したいと回答していました。働くことへのイメージと希望が実現しないときの働きかけとの関係について、働くことが楽しいと考える人の方が辛いと考える人よりも、希望が実現するよう働きかけ環境を変えるために積極的に行動する人が多くいました。

また、10年後の自分について、「具体的に考えている」よりも「考えていない」「世の中がどうなるかわからないので、考えられない」の回答が多く見られました。

このような結果から、多くの大学生が理解していないこと、就職活動という目の前の活動に夢中であること、長期的なキャリアビジョンを描けていないことがわかりました。

3 大学生の宣言と社会への提言

アンケート調査の結果からわかったことを基に、法政大学キャリアデザイン学部の学生たちは『大学生版ワーク・ライフ・バランス憲章』を作成し、大学生の立場からの宣言と社会への提言をまとめました。

(1)大学生がやるべきこと
大学生がやるべきこと

『長期的なキャリアビジョンを描ける個人になる』

そのために様々なことへの挑戦や視野を広げることが必要であり、それにより自分の価値観に基づいた生き方を描くことができます。また、就職活動でもキャリアビジョンを持って行動することで、将来のWLBの実現につながります。

(2)社会に出てからやるべきこと

『キャリアビジョンを描きながら行動する!「やるときはやる」』

そのために、多様な価値観を理解し、互いに支援し合える関係を築き、企業がWLBの実現に取組む意義を正しく理解・行動し、自らも周りに働きかけることが必要です。このことから、大学生の時に描いていたキャリアビジョンを実現でき、今後キャリアビジョンを変更しようとするときにも、柔軟に対応することができます。

(3)社会への提言

『個人の働き方を理解し、支援する』

そのために、社会全体が、「個人及び企業がWLBの実現に取組む意義」を正しく理解すること、個人のニーズや状況によって働き方を変えることができる環境を作ることが必要です。このことから、個人が主体的にキャリアビジョンを描くことができ、その実現に向けて積極的に行動できるようになり、WLBが実現し、いきいきと働くことのできる社会になります。

◆調査発表に携わった法政大学キャリアデザイン学部学生の皆さん

岩瀬悠希さん、海老澤梨奈さん、金聖裕さん、小松洋介さん、柴田貴実さん、鈴木麻子さん、竹島彩さん、田澤沙織さん、友廣礼子さん、中原香苗さん、野田奈央さん、久松勇士さん、山川友美さん、吉井恵楠さん

発表に使用したスライドはこちら ► スライド・資料 [PDF]