イベントレポート

行政と子供・子育てNPOのためのリクエスト講座「事業評価とその指標作りを学ぶ」が開催されました!

2011/05/13 東京都健康プラザハイジア4階ウェルネスエイジ 研修室

平成23年5月13日(金曜日)東京都健康プラザハイジアにて、国立保健医療科学院の福島富士子先生による「事業評価とその指標作りを学ぶ」講座が開催されました。これは、昨年度、「行政と子供・子育てNPOのための協働フォーラム」第3分科会で同様のミニレクチャーを開いたのがきっかけ。参加者から「もっと深くじっくり学びたい」という声が多数寄せられたのを受け、子育て応援とうきょう会議による勉強会第一弾のリクエスト講座として企画されたものです。
都内の子ども・子育てNPO活動をしているリーダーやスタッフ、子育て支援に関わる自治体関係者など、25団体47名の方が参加されました。

はじめに、講師である福島富士子先生より、地域活動における評価の実態、目的、考え方などについてお話がありました。その後、実際どのようなステップで評価を行うかを、福島先生のレクチャーに従って、参加者それぞれが自らの活動をワークシートに書き込むという実践形式で進められました。

[講義]『活動を振り返り、見直すために 〜評価しよう〜』(講師:福島富士子先生のお話)

はじめに(評価を学ぶ講座が生まれた背景)

はじめに(評価を学ぶ講座が生まれた背景)

団体としてさまざまな支援活動を行っている中で、自分たちの活動を評価する指標作りが難しいという現状があります。そのため、事業評価の仕方や指標作りを学ぶ機会として、このような講座を設けました。学校では1年かけて学ぶ内容で、自治体などの勉強会でも最低2日間は必要となる内容です。今回は、2時間半という限られた時間なので、ポイントを抑えてお教えしたいと思います。

近年、自治体などでも、さまざまな地域活動に関して、住民の方々に理解していただくために、行政評価が大切だと言われてきています。人と人との関わりの中での地域活動を数値にして現すことは、難しいのが現状。私もこの10年、試行錯誤しながら取り組んで来ました。

今日紹介する方法は、フォーマットに沿って進めますが、フォーマットも完成形ではありません。自分たちのニーズに合わせて、やりやすいように形を変えて、実施していただければと思います。

活動や事業改善のために評価は重要

例えば、地域活動の事業の目標として「お母さんが笑顔になる」ということを掲げても、数値で示すのは難しいですね。

親や子どもの満足度が上がることを目的とする場合、もちろん団体としての支援活動もプラスに働くと思われますが、それに加えて、各個人の様々な要素(家族や環境、周囲の人間関係など)がからみあうことによって、親子が笑顔になっていくこともあります。つまり、団体の活動の単独の効果を、評価しにくいということです。

また、対象者や目標が子どもたちの成長で流動的に変わることもあります。乳児期を対象とした活動の効果が、思春期になってようやく現れることもあるわけです。支援活動の効果が見えるまでが長期間になることも多く、これまで地域活動への評価は、ほとんど実施されてきませんでした。

でも、「マイナスな言葉しか出なかったお母さんに、ポジティブな言葉の数が増えてきた」ということでも大きな評価です。そのような事象を大事にし、できれば数値化できると、活動の効果が見えやすくなります。

では、なぜ評価が必要なのでしょうか。

評価は、活動の効果を立証したり、活動自体の見直しや改善を図る、あるいは活動のプロセスを見直す機会となります。「評価は、活動後に行うもの」と思われがちですが、決してそうではありません。評価プログラムは、活動の目的や方向性、施策や事業の実施計画なども含んでいますから、事業計画の段階から取り組むことで、団体の活動に対して、客観的に整理できる内容となっています。

活動や事業改善のために評価は重要

評価を行うことで自分たちの力がつく

評価を行うことで自分たちの力がつく

皆さんは子育て支援に関わるさまざまな活動をされていますが、まず、全体を見渡すことが大切です。地域の中にいて、自分たちの活動はどこのポジションで何をやっているか、現在の位置を知っておきましょう。

3月に大震災があって、東北へ支援に行きたいという団体がたくさんあります。でも、熱い想いだけで、全体の中のどの位置で活動しようとしているのかをわからないまま、被災地へ飛び込んでも、受け手の方々のニーズに合っていないこともあるのです。

それは普段の活動の中でも同じこと。熱い想いで活動していても、実は相手にちゃんと届いていなくて、自己満足で終わってしまっているということが起こりがちなのです。そうならないためにも現状を振り返り、活動のポジションを確認することが大切。そのために、「評価」が必要です。

自分たちの活動が多岐にわたっている場合、その優先順位を考えることも大切です。活動の目的を他の人に伝えるときに、数字だとわかりやすいこともあります。

日頃から、数値目標を意識すること、活動の結果や効率を意識し、多面的・実践的に効果を評価することについても、この指標作りの中でやっていきたいと考えています。

評価するのは誰か?評価の主体は誰か?

活動の評価をする人には、行政の担当者の方や他分野の方、受け手側の住民や当事者、第三者評価委員会内のメンバーなどがあります。今回は活動を実践してきた人が、自分たちでその活動を評価するということになります。

評価の主体は、「活動の対象者」。つまり受け手の立場である当事者です。

皆さんの場合は、子育て中のお母さんや子ども、家族ということが多いでしょう。その方々がどう思うか、どう感じるかという気持ちを含み、さらには第三者からの評価を加味して、総合的に評価してみましょう。

評価の視点は、単なる効率や効果ということだけではなく、活動していくうえで、当事者(受け手)の感じるQOL(Quality of Life/充実感、満足感)を含んだ評価であることがポイントになります。

では、実際にご自分の活動を評価する演習を行いましょう。

[演習]ワークシートにて自らの活動評価を実習

福島先生のお話を受け、参加者は「自分たちの活動を自らで評価する」実践的な学習に取り組みました。配布されたワークシートの記入欄に、自分の活動に照らし合わせて情報を整理し、文章化して書き込んでいきました。先生は各テーブルをまわり、参加者の書き込みに対して、丁寧にアドバイスをしてくださいました。

第1ステップ活動の位置づけ(様式1)

ダウンロード:► 様式► 記入例

「まず、活動の位置づけとして、「誰がどうなること」を目的にしているかを明確にし、簡潔に文章化します。『誰が』の主語は、あくまでも活動の対象者です。自分たちがどうしたいかは目標であって、目的ではありません。ここを間違えやすいので注意しましょう。 さらに、その目的を達成するために実施する、さまざまな施策や事業に関して、それぞれの目標、活動の対象、テーマを整理して言葉で表現していきます。」(福島先生)

第2ステップ関連図を書く(様式2)

ダウンロード:► 様式► 記入例

「次に、当事者と自分たちの活動の関連図を作ります。先ほど明確にした"当事者"を中心に置いて、その人と関わるグループ、組織、団体など、自分たちも含めて、思いつくままに明記し、それぞれ当事者との関係性を線で結んでみます。当事者が子育て中のお母さんなら、その方たちの視点に立ち、イメージを働かせないと具体的に書けないでしょう。 このように関係図を書くことで、地域全体の中で、自分たちの活動がどのポジションにあり、当事者や地域の人たちとどう連携しているのか、客観的に見ることができます。」(福島先生)

第3ステップ活動計画表を書く(様式3)

ダウンロード:► 様式► 記入例

「個々の施策や事業に関して、評価まで含んだ実施計画表を作ります。実施計画の中身を先に書きたくなるのですが、最初に書いた目的に対する裏返しとして、結果評価を先に考えるようにします。実施計画として、目標、事前の準備、実施の内容、事後まで一連のプロセスで成り立つ活動として具体的に考えて、表に書き込んでいきます。」(福島先生)

企画~実施~結果それぞれに評価する

地域活動の評価には、「企画評価」「実施評価」「結果評価」という、3つの側面があります。それらを総合して最終的に評価するわけです。企画評価は、活動する側の皆さんの視点で書きますが、実施評価と結果評価は事業の対象者、参加者といった視点になります。

企画評価では、企画全体が適切だったか、地域の特性にあっていたか、目標設定や実施計画は適切だったかを評価します。さらに、評価計画が的確に立てられていたか、評価の方法や指標は適切だったか、「評価の企画」自体に対しても評価します。

実施評価としては、計画と実際の展開は一致していたか、実施の経過や内容、方法が適切だったか、事業の参加者数や目標の達成度はどうか、さらに事後の対象者の反応はどうだったかを評価します。実施する側と参加者側、双方からの視点が入ってきます。

結果評価は、はじめに立てた目標の達成度を評価します。実施の前と後で、対象者が知識を獲得できたり理解度が高まったか、態度や行動がどう変化したか、あるいはその周囲の人への波及効果についても評価します。

企画~実施~結果それぞれに評価する

最後に

この方法が完全というわけではなく、他の評価のやり方もあるかと思います。評価は皆さんの活動をじっくり振り返ることにも役立ちます。各団体に持ち帰り、ぜひみなさんで活動の評価をしてみる機会を設けていただければと思います。本日はありがとうございました。

福島富士子先生

国立保健医療科学院 公衆衛生看護部 ケアシステム開発室長
横浜国立大学大学院 環境情報学府 博士課程後期 単位満期取得

<非常勤講師>

日本女子大学、群馬大学大学院、慈恵医科大学大学院、東京医科歯科大学大学院、日本思春期学会理事、日本母子看護学会副会長、日本世代間交流学会理事

<専門分野>

地域母子保健、活動の評価、地域ケアシステム論

当日参加者の感想
  • 自分のしていることを振り返る事ができて良かった。つい主体者を忘れ支援している立場からの評価をしてしまいがち。評価の仕方は難しさもあるが、対象者目線の評価の重要性を感じた。
  • 新しい物事を進める時、常に『誰が』の部分を自分自身にあてはめていたが、目標の主語を変えるというのが新しい発想だと感じた。
  • 自分達の活動について、目標・目的が曖昧であることに気づいた。関連図を書くことで立ち位置が分かり、改めて地域の人たちと連携していくことの必要性を感じた。
  • 評価は事後のものだと思っていたが、事業計画時からポイントをおさえてやる必要があるというのは大きな学びだった。今企画している事業について、さっそくメンバーで評価してみたい。
  • つねに『対象(誰のために)』と意識すること、できるだけ目標を細かく具体的にすること、第三者にも伝えられるような評価指標とすることなど、要点が理解できて大いに参考になった。