イベントレポート

子育て応援とうきょう会議共催ステージ 「節電で変わるパパのライフスタイル」

2011/08/06 東京国際フォーラム

2011年8月6日(土)、東京国際フォーラムにおいて、「START!ワークライフバランス」というイベントが行われました。
「節電をきっかけに家族のつながりやライフスタイルを考えよう」という、タレント セイン・カミュ氏と(株)東レ経営研究所 渥美由喜氏によるトークショーの様子をレポートします。

タレント セイン・カミュ氏

1970年ニューヨーク州生まれ、フランス系アメリカ人。二男一女の父親。幼少期より日本をはじめとした世界各国で暮らした経験を持つタレント・俳優。著書に「ザ・イクメン」がある。

渥美由喜氏

東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長
多数の企業のワークライフバランス推進を支援している。自ら共働きの妻とともに5歳と1歳の育児に奮闘中(育児休業を2回取得)。子育て応援とうきょう会議委員。座右の銘は、「市民の三面性=家庭人、職業人、地域人」。著書に「イクメンで行こう」がある。

節電をきっかけに、家族のあり方を考える

節電をきっかけに、家族のあり方を考える

渥美:夏の節電対策で、従業員を早く帰らせる会社が増えています。今までは無尽蔵にエネルギーを使えると思っていたけれど、そうではないということにやっと気づいたという感じですね。もうひとつは、家族の絆が深まったとも言われているけれど、震災の時に「こんなに夫が頼りにならないと思わなかった」ということで離婚も増えているんですよね。家族のリスクマネジメントの面からも、お父さんは家庭や育児にもっと向き合うべきだと思います。

セイン:仕事と家庭のバランスって、どうすればうまく取れるものなのでしょうね。

渥美:家に帰ってやりたいことがあれば、早く帰ると思います。セインさん自身も、よく育児なさってますよね。

節電をきっかけに、家族のあり方を考える

セイン:休みの日はほとんど子どもの相手をしてます。子どもの相手をすると、ママの自由時間が増えますから。たくさんするときと、そうでないときがあって、ママから見てバランスが取れているのかはわかりませんが。ママには1時間でも2時間でも、息抜きが必要だと思います。

渥美:わが家は共働きなので、週末、私が子どもを連れて出かけると、妻の時間ができて、息抜きになるみたいです。妻は平日はとても多忙ですので、土日ぐらいはゆっくりとる時間を作ってあげたいと思ってます。料理や家事の最低限は、妻に仕込まれました。2回育休を取りましたが、家事や育児ってやってみると、「こんなにやることがあるんだ~」って気づいて、今では自然に体が動くようになりました。

セイン:帰ってきて「飯まだか?」を言ってはだめ。お父さんが自分で料理を作ってみると、手際が悪いんですよ。30分くらいで出来るのに、お父さんは1時間とか1時間半とか時間がかかることもありますね。渥美さんの得意料理は何ですか?

渥美:私は子どもが小さいので、ハンバーグですね。セインさんは本格的な料理を作っていらっしゃるんですよね。

セイン:チキンをニンニクとショウガで焼いたシンプルな料理です。ソースはタマネギやニンニクを炒めてトマトソースで煮込めばできます。バジルやオレガノを入れると、地中海っぽくなります。子どもは「めちゃおいしい!」って言ってくれますね。ソースはご飯につけたり、パスタにかけたりすると2~3通りに使えます。

子どもを通した、地域との関係も大切

子どもを通した、地域との関係も大切

渥美:セインさんは、自分のお子さんばかりじゃなく、ほかのお子さんにも目を配られているとか。お子さんが通っている学校で司会をしているんですよね?

セイン:クリスマス会や卒業式などで協力させていただいています。役に立つなら、どんどんやらせていただきたいと思っています。渥美さんも、お子さんの友だちの名前を全部覚えようとしているとか。

渥美:20年くらい前から近所の子ども会で活動していますから、4~5歳くらいの子どもから、小さい頃から来ていて今は手伝ってくれている中学生や高校生もいます。これまで地域社会では、女性がすごく大切な役割を担ってきたと思うんです。女性に加えて男性も地域社会で大きな役割を果たすことが大切だと思っています。イクメンブームとは、男性が単に家に帰ってくるだけではなく、地域社会にも帰ってくるという大きな意義があると思っています。私は、子ども会の活動を通じて、地域の子どもたちともよく遊びます。地域みんなが関わって、地域の子どもたちを育てるのは、とても大切ですね。

セイン:他人の子を叱れる大人が少ないように思います。私は悪いことをしたら他人の子も叱りますし、自分の子も叱って欲しい。昔は悪いことをしたら近所のおじさんにすごく叱られて、でもしばらくすると、またそのおじさんと仲良くしゃべってる……みたいな関係、いいですよね。地域の団結力も復活してくれるといいなと思います。

渥美:親子とかきょうだいの縦横だけの関係じゃなくて、近所のおじさんとかおばさんとか、ナナメの関係があると幸せですよね。

セイン:親には言えないことも、近所のおじさんやおばさんに相談できるといいですね。親子間のストレスのレベルを低めることにもなると思います。

渥美:私は地域の子が思春期を迎えてグレたりするようなときに相談に乗りたいと思っています。他人の子を叱るのって、その子のことを小さいときから知っていないと、なかなか難しいですから、近所のおじさんとして付き合っているということも、大事だなと感じています。

セイン:公園でうちの子に悪いことをしていた友達がいたのですが、よく聞いたら、うちの子も悪かったらしいんですよ。そこでうちの息子を含め、悪いことをした友だちもを呼んで叱りました。で、次の日はまた遊べるようになっていましたけど。子どもの世界はあるけれど、正しくない部分は、大人がある程度導いてあげる必要があると思います。

パパは、ほめられて育っていく

パパは、ほめられて育っていく

セイン:私はお父さんにしかできない子育て法というのがあると思うし、お母さんにしかできない子育て法もあると思ってます。自分なりに見つけることが大事だと思います。家の中で、お母さんが仕切っていることが多いと思うんですよ。お母さんに、聞くことは大事かなと思います。でも、お母さんにしてみると「そんなこと聞かなくてもわかるでしょ」っていうことになることもありますね。でもお母さんの導きで、お父さんのすべきことがわかったり、導かれることもあると思います。お母さんはうまくお父さんを転がしてあげて欲しいですね。

渥美:私も結構妻に叱られますけど、叱られながらも、ほめじょうずなところもあるんですよね。

セイン:お母さんが「お父さんが風呂掃除すると、気持ちよくって、子どもたちの目の輝きが違うのよ」とか言ってくれると、お父さん張り切ったりしますから。排水口のドロドロのところだって、掃除しますよ。仕事ばかりしていると、そのうち、家に帰っても居場所がなくなってたりしますからね。お父さんが頼られることで、家の中にお父さんの居場所が作られることもあると思います。

渥美:うちはポイント制なんですよ。「今日は洗濯物取り込んであるけど畳んでないから、やっておこう」それで25ポイントだなとか。ポイントはノルマじゃなくて、どちらかが子どもの迎えとかしなくてはならないときに、妻が正しいという字を書くんですよ。私の方がポイントが足りないと、「来週の送り迎えの2枠掛ける5日=10枠のうち、7枠あなたね」ということになったりします。男性って数字を示されると弱いですからね。やろうじゃないかって。

セイン:ポイント制は、わかりやすいかもしれませんね。

渥美:奥さんにほめられて、パパは育ちますね。今は、息子たちに男家事(だんかじ)を仕込んでいます。それには自分が楽しくやるのがコツですね。洗濯とか。口笛を吹いてやったり。「この白い粉を入れるとあら不思議…真っ白になるんだぞ…」なんて言って洗濯すると、「やらせて!」って。手伝ってもらって、洗濯が終わったときに、ちょっと大げさに「わあ、すごいきれいになってる。おまえは洗濯の天才だ!」ってほめちぎります。最近、親子でしていることはありますか?

セイン:うちは親子で太極拳やっているんですよ。朝早く起きて、家族でやると家族の団結力が深まったりして。休みの日だからってダラダラ寝ていると、10時とか11時になっちゃって、結局夜もずれ込んじゃいますからね。ラジオ体操がきっかけだったけれど、今は太極拳です。朝が、すがすがしいです。みんなで外に出れば、電気も使わずにエコ出来ますからね。

渥美:早寝早起きはいいですね。明日、海の釣り堀に行くつもりです。トムソーヤに、息子が、はまっているんですよ。ツリーハウスも作ろうと思ってます。妻には、「あなたがやりたいことを、息子に仕込んでいる」って言われていますけど。

セイン:自分がやりたいことを、子どもに仕込んでいるんですね。

渥美:夏休みは、気球に乗りに行ったり、イカダを作ったり……。やること満載です。あきませんね。子どもを言い訳にして、自分が楽しんでいます。

自分が楽しいことに、子どもを巻き込む

セイン:自分も楽しむことが大切ですよね。難しいことじゃなくたって、お金をかけなくてもいいですよね。夏休みの自由研究に「○○めぐり」っていうのもいいですよ。「井戸めぐり」で、井戸を探して子どもと一緒に探険したり。一緒に何か作るとか、木登りする、キャッチボールするだけでも、レスリングでもいいですよね。子どもと肉体的に触れ合うのは楽しい。昨日は8歳の息子と鬼ごっこをして、本気で転んじゃいました(笑)。
でも、本気で遊ぶことが大切だと思います。
息子に言われるひと言がうれしいです。「お父さんカッコイイね」って言われると、「こいつのお父さんでよかった」と思います。

渥美:おじいちゃんとの触れ合いも大事ですね。息子が「おじいちゃんすごい手品をしてくれるんだよ~」って。「おじいちゃん、スーパーマジシャンなんだ」って。何をしてくれるのかなと思ったら「口から歯を出したり入れたりできる……」(笑)。「おじいちゃんの歯が欲しい」ってあこがれてるみたいです。

セイン:みなさんにアドバイスを。

渥美:震災で大きく世の中が変わっています。育児や介護など、今まで女性が中心にするものという印象が強かったかもしれませんが、今こそ、男性もパートナーと一緒にやっていくといいと思います。

セイン:やっぱり夫婦のチームワークが大切ですね。お互い支え合いながらやっていけるような社会の仕組みも必要。そうするともっと日本や世界が平和になっていくと思います。

【イベントを終えて】

イベントを終えた後も、セインさんと渥美さんの会話は続きました。

節電をきっかけに、働き方や家族のライフスタイルを見直そう

節電をきっかけに、働き方や家族のライフスタイルを見直そう

渥美:この夏は節電の意識が高まっているから、企業も従業員を早く帰宅させるなど努力しているけれど、秋以降はまた、少しずつ元に戻っていく可能性もありますね。ただし、不夜城のように夜中まで煌々と電気が点いているオフィスは、近隣住民から冷ややかな目で見られ始めていることは確かです。
節電のために、平日休みにする企業もいくつか出始めました。平日休みにすることで、親子で空いている遊戯施設などへ出かけやすいということもありますね。

セイン:仕事を早く終わらせることばかり考えるよりも、会社に早く行くようにするといいのではないでしょうか。早起きして太極拳をするようになって、1日が長く感じ、達成感があるんですよ。朝早く起きると、夜は9時くらいになると疲れて眠くなりますから、すごく健康的ですよね。7時半とか8時から会社に行っても、朝涼しいし、電気代が多くかかるわけではないですから。 仕事を早く始めて、夕方早く帰って、5時とか6時くらいから家族と一緒にいられると、子どもたちが寝る9時頃までの時間は家族との密度が高くなって貴重です。一緒の食卓を囲んで、親子関係や夫婦関係がよくなると、仕事も充実してくる。仕事と生活のバランスがよりいっそう、良くなってくると思います。早起きは最初つらいですけれど、人間って、慣れていくものですね(笑)。
子どもたちが学校行ってから、お父さんが起きるという家庭もあったと思いますけれど、最近はお父さんも子どもたちと一緒に起きて、学校や保育園に送ったりという光景も見られるようになってきましたね。

渥美:この夏の節電って、大きな社会実験だったと思います。電気というエネルギー資源が「見える化」されましたから、節電せざるをえないですよね。消費電力を15%削減って最初聞いたときはハードルが高いって言われてましたが、実際の企業の取り組みでは25%削減とか30%とか削減できていて、「やればできる」っていう成功体験になったと思います。それによって業務の密度が濃くなって、むしろ効率が上がった企業も多かったと思います。

セイン:今まで使っていた電力がいかに無駄だったかということですよね。窓を開けて風通しよくして。夜は家族が1室に集まって……。夜の東京のネオンが減って、ちょっとほっとしています。

渥美:エネルギーの無駄が見えるようになりましたが、業務の見直しを進める中で、仕事の無駄も見えてきましたね。例えば、優先順位を考えるようになって、やらなくていいことはやらないという割り切りも生まれていると思います。

セイン:日本人は仕事優先の部分がすごくありましたね。今となっては、そこまで仕事優先にしなくてもいいんじゃないでしょうか。アメリカみたいに9-5時をきっちりとやって、その後は家に帰って家族と過ごすと充実する。少しずつ、そんな風にシフトしていくといいんじゃないのかな。仕事の延長の飲むつき合いとか、文化的なものもあるけれど、帰ることが当たり前になってくると、子どもたちまだ起きている時間、こんな風に過ごそうとかワクワク感があったり。まあ、煩わしがられることもありますけどね。それも存在感があるからこそで、いなかったらそれさえも感じてもらえませんから(笑)。