イベントレポート

平成25年度幼稚園・保育園職員合同研修<ステップアップ研修>

2013/07/29

平成25年度参加型グループ研修「子供の育ちを考える」<ステップアップ研修>

基本研修のレポートはこちら

過去3年間に実施した研修を受講した保育所・幼稚園等の職員を対象としたステップアップ研修が、2013年10月7日から2014年1月20日にかけて開催されました。全5回の総合テーマは「園内研修におけるファシリテーター養成講座」。
その第4回目にあたる「手法を保育に活かす ~“吹き出し”から環境構成論へ」の様子をレポートします。講師は、大妻女子大学 岡 健 先生です。

平成25年度幼稚園・保育園職員合同研修<ステップアップ研修>

Cap 平日の夕方、受講生のみなさんは職場の業務を終えてから駆けつけてくださいました。

前回までの振り返り~「子供から保育を始める」

講座は前回の振り返りから始まりました。前回取り上げた『お便り・連絡帳をもとに子供理解を深める』というテーマでも、基本となるのは「保育は子供を見ることから始めましょう」という考えです。岡先生からは「子供を見るということは子供を理解するために必要なこと。保育者には、その子の表情・行動・言葉を瞬時につなぎ合わせることが求められ、それを忘れないために日誌や記録に残すのです。それらの情報が蓄積されることで、保育者は子供を理解できます。裏を返せば、連絡帳のあるべき姿は“子供をよく見ないと書けない連絡帳”です」というお話がありました。

子供理解を深めるために可視化する~「吹き出し手法を保育にいかす」

子供理解を深めるための園内研修を行う際、保育者同士が「自分は今、(その子のことが)こうやって見えているんだ」と情報を共有し、必要に応じて修正する必要があります。そのとき、役立つのが「吹き出し」という手法。たとえば園内での子供の様子を写した写真に対し、保育者がそのとき想像した子供の気持ちを吹き出し(フセン)に記入して貼りつけます。そうすることで他の保育者と情報を共有できます。

平成25年度幼稚園・保育園職員合同研修<ステップアップ研修>

Cap 前回の宿題は「保育風景のマップ作成」でした。受講者は子供たちの遊びの場面を写真に撮り、園内や園庭などのマップに貼りつけ、各場面から推測される子供たちの感情を吹き出しで記入しました。

当日のグループワーク~「子供自身がどう育ちたいのか」

各グループ内で宿題のマップを発表しました。マップ作成者はマップの内容を説明し、それに対して他の参加者からは質問や感想が。マップを通して見えてくる保育環境や子供たちの様子、保育者の関わり方に皆さん興味津々、さまざまな意見が飛び交いました。
あるテーブルでは、岡先生が「なぜ、その吹き出しをつけたいと思ったの?」「どの表情からそう思ったの?」と発表者に問いかけがありました。たとえばファシリテーターがこのような問いかけをすることで、研修参加者は別の視点があることに気づき、子供理解がより深まります。

マップを検証することで、“子供が何を(どんな行動を)欲しているのか?”に気づくことができます。岡先生は「子供自身がどう育ちたいのか。に気づけば、その子の育ちに必要な遊び方・遊具が見えてくる」「遊具の選択とは“3才にこのおもちゃ”というのではなく、“こういうことが育ってきたら、このおもちゃ”という考え方が必要」と話します。

平成25年度幼稚園・保育園職員合同研修<ステップアップ研修>

各グループのテーブルを回りながら、岡先生がアドバイス。
「1枚だけの写真だと『かわいい~』で終わってしまいがち。その後その子はどうしたのかがわかる写真もあると、『この子はこれが楽しかったんだね』の気づきになる。たとえば子供が葉っぱで遊んでいるとき。葉っぱの触り方一つをとっても、いろいろな写真・連続写真を撮ると、何が楽しいのか?が見えてくる。子供は何を楽しんでいるのか? 手触り? 色? におい? 音? そこから葉っぱを使った活動のバリエーションに気づくよね」と岡先生。

まとめ

小学校以降の学び方とは異なり、やるべきことが決っていないのが保育の特徴。保育では、“子供自身がやりたい”と思っていることを解決するプロセスの中で育つことが重要になります。今回のマップ作成のように、子供の出合う資源を可視化することは、“子供自身がどう育ちたいのか(興味・関心)”を理解するうえで役立ちます。
最後に、岡先生は教材研究について触れ、「保育の現場では、保育者が『子供たちのこういうところを育てたいよね』と考えることを、子供自身に『(こういうところが)育ちたいな~』と思わせるための営みが大切。そのためには教材研究が必要」と、その重要性を説明されました。

~岡先生の言葉より~

「子供は目の前のことが楽しくてやっているわけであって、何かのためにやっているわけではありません。半面、“この活動・材料だと、ここまでしか楽しめない”という素材が持っている限界・可能性があります。だからこそ、保育者は遊びの素材のことをよく知る必要があります。知識があれば、『こんなことを楽しみたいなら、こんなものを使ったらもっと楽しめる・深められる』と、課題達成への体験を提供することができるからです」

受講生からの感想
  • マップを作る作業過程で、他の保育者(同僚)と自分との視点の違いに気づくことができた。
  • 吹き出しは熟考すればするほど、子供の純粋さから離れそうになる。また、0・1才児は吹き出しが難しいと感じた。
  • マップを検証し、子供には多角的な視点からの声かけが必要だと感じた。
  • マップ作りは、保育者同士が年齢・経験を問わず、同じ土台で意見を出し合えるきっかけになった。
  • 課題のマップ作りを園に持ち帰り、他の職員に目的(ねらいやゴールイメージ)を伝える難しさを実感した。