地域社会で子育てをしよう!さまざまな世代がシングルママの子育てを応援

あらかわシングルマザーサロン(荒川区)

あらかわシングルマザーサロン


プロフィール

中泉理奈(中央)さん
あらかわシングルマザーサポートネットワーク代表。荒川区 地域文化スポーツ部 生涯学習課 地域学習支援係/荒川コミュニティカレッジ事務局。自身の体験を元に勤務地である荒川区にシングルマザーのネットワークを立ち上げる。

園田さん(右)
コミュニティカレッジの受講をきっかけにサロンの立ち上げに参加。

大村さん(左)
子ども応援ネットワーク代表、子ども村:中高生のホッとステーションや冒険遊び場を主催するなど地域のさまざまな子育支援活動に携わっている。

自身の経験とたくさんの人の協力によって立ち上げた「シングルマザーサロン」

あらかわシングルマザーサロンの立ち上げの経緯を教えてください

中泉さん:私自身もシングルマザーなのですが、住まいのある埼玉で子育て支援をするNPO法人「彩の子ネットワーク」に出会いました。代表の鈴木さんに、私のことを気にかけていただき、話を聞いてもらったことが活動の原点にあります。それまで私は「シングルマザーだけれども、自分はそれほど大変じゃない」と思っていたんです。でも、いろいろな話を聞いてもらううちに、「自分は大変なんだ、頑張っているんだ」ということが分かって力がふと抜けて、涙が出ました。離婚に至るまで、それからシングルマザーになってからも、誰かに相談したり、話を聞いてもらったりすることがなかなかできなかったのです。
 「彩の子ネットワーク」では、「子育てサロン」に参加しました。そこでは3つの約束をみんなで思い、みんなで安心して話せる場所を作り、話をしたり、聴いたりたりする時間がありました。私は自身の子育て体験を「子育てサロン」や「お産のサロン」に参加しながら、その時の気持ちや状態を大事に思う機会を持つことができました。その経験から、シングルマザーの子育てのことを話したり、聴いたりする場所が欲しいと思い、活動仲間に相談し上尾市で「シングルマザーズサロン」を立ち上げたのが2011年の夏です。

中泉さん:私は、荒川区で生涯学習や社会教育、地域活動支援などの仕事をして約10年になります。荒川区にも以前はシングルマザーが集まって話をしたり、聴いたりする場所がなかったので、シングルマザーが集えるサロンをつくりたいと思いました。自分が住んでいるわけではないので、どうしたらいいかと考えていましたが、これまで仕事で関わった同僚や地域子育ての活動をしている皆さん、そして私が事務局をしている荒川コミュニティカレッジ生にも声をかけてみました。そして2016年に荒川区で「シングルマザーサポートネットワーク」を一緒に立ち上げることになったのです。当事者同士のつながりだけでなく、地域の子育てを大事にさまざまな団体・個人とゆるくつながって、シングルマザーのサポートができたらいいなと思い、みんなでこの名前を考えました。


立ち上げ当時から今現在も、さまざまな人たちが活動に関わっているのですね

中泉さん:コミュニティカレッジの受講生だった園田さんはもともと子供たちの貧困について関心があった方です。自分が子供を産んでみて、子供が幸せであるためには、まずお母さんが幸せでなければ、と考えてサロンの活動に参加しています。「子育てって楽しいイメージだったのに、やってみたらけっこうつらいぞ!ご主人がいなくて一人で子育てしていたらなおさら大変だろうなぁ」って。今は、お母さんたちとの連絡窓口やイベント参加の受付などもやっています。

このシングルマザーサポートネットワークを含めて、荒川区には、荒川ボランティアセンターを中心とした「あらかわ子ども応援ネットワーク」というものがあります。そのネットワークで、たくさんの人たちとつながっています。大村さんは、この地域の冒険遊び場などを立ち上げるなど、地域での子育てを大事にした活動をされているのを知っていたので、ぜひ一緒に、と声をかけさせていただきました。

他にも、フードバンク、「あらG」という地域のおじいちゃん・おばあちゃんたちが登録されている託児スタッフ、荒川おもちゃ図書館など、地域のさまざまな人たちの協力を得ながら、お母さんと子どもが安心して来られる場所を開いています。


あらかわ子ども応援ネットワーク
あらかわ子ども応援ネットワークでは、シングルマザーサポートネットワークのほか、学校・民間・行政のさまざなまな団体・組織がつながっています。妊娠出産から就学前の子供たちまでの成長を細やかに支援することができるのも、このネットワークがあるからこそ。


サロンのとなりは「おもちゃ図書館」
サロンのとなりは「おもちゃ図書館」。ボールプールのほか、たくさんのおもちゃがいっぱい!安心して託児することができます。


シングルマザーサポートネットワークの活動の一つとしてサロンを開催

あらかわシングルマザーサロンは、シングルマザーサポートネットワークの活動のひとつなのですね

中泉さん:はい。シングルマザーサポートネットワークでは、主に2つの活動をしています。
1つは、使わなくなった紙おむつや粉ミルクを集めて、必要な方に届ける活動です。サイズアウトした紙おむつや余ってしまった粉ミルクを、「ほかの子供たちの育ちの役に立てば」「自分も子育て中でボランティア活動は難しいけど何かできたら」と思ってくださる方たちから提供していただいています。いろんな事情のなかで生まれてくる赤ちゃんがいますが、みんなのあたたかい気持ちで赤ちゃんを迎えたいなと思っています。小さな「助け」とまではいかなくても、ちょっと困ったときに「助かったな」「あってよかった」みたいな小さな積み重ねで、人って頑張れると思うんです。
子育て支援課にも協力していただきながら、チラシを配布して、必要であればここ(社会福祉協議会:荒川区ボランティアセンター)に取りに来ていただいています。ママ本人に来ていただければ、ここを窓口としていろいろなネットワークともながるきっかけにもなります。

もう1つが、「あらかわシングルマザーサロン」です。荒川区社会福祉協議会のふれあいikikサロン事業のテーマ型サロンとして開催しています。荒川区でのサロンの運営方法や内容については、ふれあいikikサロンの担当者やサロン運営メンバーと相談して決めました。
お茶やお菓子をお出しして、和やかな雰囲気でスタートしています。事前申し込みの参加者がだいたいそろったな、というところで自己紹介やそれぞれ話したいことから始めますが、ここでは、埼玉の「子育てサロン」で安心した場をみんなでつくる3つの約束というの使用させてもらっています。「話したことへ否定や助言はしない。」「ここでの話は、この場所だけ。外には持ち出さない。」「話したくない時、聴いていたい時など遠慮なくパスして大丈夫」の3つです。サロンの開き方が違っていても、自分の話をする時には、緊張します。この約束があって、参加したみんなでみんなが安心して話をしたり聴いたりする場をつくることができるので大切にしています。


お菓子は地域の方が寄付してくださっています
(左)サロンではお茶やお菓子で和やかに。お菓子は地域の方が寄付してくださっています。また、フードバンクから提供されるお米などのお土産もあります。
(右)クリスマスランチ会は、サロン参加者、ボランティア、あらGみんなで交流します。


ここに来ることで、いろいろな人と関わることができるんですね

中泉さん:私もそうだったのですが、「私になにかあったらこの子はどうなるんだろう」「将来は?明日は?」と不安や心配なことがたくさんあると思うのです。少しの時間子供と離れて、自分の今の気持ちを感じたり、毎日の暮らしの中で気になること嬉しかったことなど話すことから、友達とは違った、一緒に子育てをする新しい関係ができるように感じます。
ここには、当事者じゃない人たちがたくさん関わっていることも大事だと思っています。地域のさまざまな年代の人たちがシングルマザーが集う場づくりが大切だと思って関わってくれています。みんな地元の人たちなので、ここを出て町のなかでも声をかけ合えるのもいいところです。
地域の人たちに、私のことや子供のことを気にかけてもらったり、「何かあったらいつでも連絡してね。」と言ってもらえるだけで、毎日の不安や心配が少し楽になるように感じます。本当に頼ることはなくても、いざとなったら声をかけられる場所があると思えるだけで違うんです。


地域のおじいちゃん、おばあちゃんが託児スタッフとして登録する「あらG」

サロンの活動も、「あらG」の協力によって成り立っています。
地域のおじいちゃん、おばあちゃんが託児スタッフとして登録する「あらG」。サロンの活動も、「あらG」の協力によって成り立っています。「あんまり手出し口出ししないで、安全を見守ることを第一に考えています。街なかで子どもやお母さんに声をかけてもらうとうれしいですよ」(あらG:Sさん)。「子どもは社会全体で見守るもの。小さいときに大人とたくさん関わることはとても大事だと思いますね」(あらG:Mさん)。


多世代がゆるやかにつながり、地域全体で子育てをサポート

これからはどんな活動をしていきたいですか?

中泉さん:これからも、ここに来る皆さんと一緒に相談しながらこの会をやっていきたいです。ただサロンを提供するのではなく、皆さんがどんなことをしたいか、どんな場がほしいか、それを一緒に考えていく場所にしたいです。ちょっとしたお出かけや自然と触れ合える外遊びなども、母子2人だけだと難しいときもあるので、みんなで一緒に企画したり参加したりできたらと思います。
子供たちが育って保育園や小学校に入り始めると、ママたちもそれぞれいろんな人とつながり、やっていける力もついてくる。でも、ちょっと一息つきに帰ってくる場所があるということも大切にしていきたいです。


いろいろと活動が広がっていきそうですね

中泉さん:はい。広がりということでいえば、ネットワークの一つである首都大学東京の看護学の分野で、育成期の家族の支援を研究されている木村千里先生という方がいらっしゃいます。木村先生は、シングルマザーたちの意見を聞いて、必要なサポートをかたちにしていく活動をされています。
例えば妊娠・出産・育児のための準備クラスですが、通常は平日に開催されることが多いんですよね。週末に行くと、今度はパパも加わって両親参加なので参加することができない。木村先生がシングルマザーの声を取り上げてくださり、シングルマザーのための妊娠・出産・育児準備クラスを開催しましょう、という動きが始まっています。どんなことがあったらうれしいか、助かるか、当事者の生の声からこういったことができるようになるのも大きいなと思っています。
支援する側、される側という考え方ではなくて、さまざまな世代や立場にある人が地域全体でお互いを助け合う。子育てもその中の一つです。多世代の人間関係の中で、みんなでシングルマザーをサポートする場にしていきたいと思います。


シングルマザーのための妊娠・出産・育児準備クラス
「シングルマザーのための妊娠・出産・育児準備クラス」リーフレット写真※掲載している一部の写真は過去のイベントのときのものです。


写真協力:あらかわシングルマザーサロン

http://singlemama.ftimes-arakawa.tokyo/