エレベーターの場所が一目でわかる!「ベビーメトロ」

東京地下鉄株式会社(台東区)

東京地下鉄株式会社


プロフィール


東京地下鉄株式会社(台東区)
〈右〉経営企画本部企業価値創造部 天野純一(あまの・じゅんいち)

富士通(株)に入社し、電子カルテ等の導入プロジェクトを担当。2007年に英国ノーサンブリア大学に留学し、BA(Hons)Fine Artを取得。2011年より東京地下鉄(株)に入社。ベンチャー企業とのオープンイノベーションや社内アイデアコンテストの運営を担当し、IT、デザインやアートの視点を取り入れながら活動をしている。

〈左〉経営企画本部ICT戦略部 横溝大樹(よこみぞ・だいき)
(株)富士通エフサスに入社し、システムエンジニアとして官公庁系システムの導入に携わる。その後、東京地下鉄(株)に入社し、社内システムの開発・運用業務に従事。
「ベビーメトロ」の企画提案を思い立ち、現在では社内システム企画業務とベビーメトロの運用・改善検討業務をおこなっている。

きっかけは大切な人の一言から

「ベビーメトロ」開発の経緯を教えてください。

天野さん:私が所属している企業価値創造部は、「メトロのたまご」という社内提案制度の事務局をしています。
「メトロのたまご」は、新規事業への挑戦をして企業の価値向上を目指していこうという制度です
2016年に中高生や妊娠中の方、シニア、受験生などを対象に、「地下鉄をわかりやすく快適にご利用いただけるようなアプリを作ろう」というテーマで募集をかけました。

横溝さん:この時に、私が「ベビーメトロ」を提案させていただいたのが始まりです。

横溝さんが「ベビーメトロ」を提案しようと思ったきっかけは何ですか?

横溝さん:当時、妊娠中の妻とたまたま地下鉄を利用する機会がありました。
妊婦だと階段の登り降りや、混雑した車内は辛かったりするので、移動に不便を感じていました。
いろんな案内表示やwebサイトの情報はありますが、妊娠中である妻の状況に合ったものはなかなかなくて、「わかりづらいよね・・・」と言われてしまいました。
私がメトロで働いているのにもかかわらず、身近にいる人が大変な思いをしている状況を見て、「何とかできないものか?」と思い、この企画を提案しました。

ベビーカー利用者に必要な情報を○△×で表示

ベビーメトロは具体的にはどんなサービスですか?

横溝さん:ベビーメトロは、エレベーターのルートをチェックできるWebサービスです。
「地上から駅のホームまでエレベーターのみで移動できるか?」「乗り換えするのにエレベーターが使えるか?」「オムツ替えスペースがエレベーターのみで移動できる場所にあるか?」という情報を○△×でチェックすることができます。
また、乗車位置案内も確認できます。何号車に乗れば出口に近いか、乗り換えしやすいかが、一目でわかるようになっています。

天野さん:利用シーンとしては、自宅からお出かけする際の利用を想定しています。
自宅の最寄り駅のことは皆さんよくご存じだと思います。
降車駅や乗換駅にエレベーターが有るのか、無いのかがわかっていれば、出かけるのに少し安心できるのでは?と思ったんです。
本来、エレベーターが全ての駅に整備されていれば良いのですが、地下という特性上、一部未整備の駅がございます。
もしエレベーターが無いことをお伝えできれば、違う駅をご利用いただくとか、抱っこひもを使うなど、別の選択肢をご検討いただくきっかけをご提供できるのでは、と考えました。

“有るサービス”についての情報はたくさんありますが、“無いサービス”の情報はあまりありません。

“無いサービス”の情報にも価値があるのではないかと思い、○△×で表示しています。


ベビーメトロ
ベビーカー利用者が知りたい情報が、一目でわかる。エレベーターやオムツ替えスペースが有れば○、無ければ×、設備は有るがエレベーターだけでは行けない場合は△で表示される。


天野さん:このような情報は東京メトロのホームページや乗換検索サービスでも探せばあるのですが、何タップもして深いところまで検索しないと出てきません。
ベビーカー利用者がもっとも知りたい情報を、最初に検索結果として表示させるようにしたのが、今回のサービスの特徴です。

最近は、エレベーターの位置もわかるように機能を追加しました。
Googleマップにはエレベーターの情報があまり表示されていません。
そのため、自分たちで歩き回ってエレベーターの座標を調べました。
そしてエレベーターの位置をタップすると、どの方面に出られるかわかるようにしました。

横溝さん:これまでは「地上までエレベーターで出られます」という情報のみでしたが、この情報を表示することで、どのエレベーターを利用すれば目的地に行きやすいのかがわかりやすくなりました。


ベビーメトロ
エレベーターのマークをタップすると、どの方面に出られるのかが確認できる。


ベビーメトロの利用者からはどんな感想が寄せられましたか?

横溝さん:「こういうのを待っていました!」という声はたくさん聞きました。
また「自分がベビーカーを使っていた時にもこのサービスが欲しかったな」といった声もありました。
この取り組みを評価してくださる方が多かったです。

ベビーメトロの利用者


天野さん:「このサービスは車椅子利用者にとっても便利かもしれないから、車椅子を使っている友人に教えてあげた」「荷物が多いコスプレイヤーの中で流行っている」など、ベビーカー利用者だけではなく、いろいろな人に知ってもらうこともできました。

横溝さんの奥様の評価はいかがでしたか?

横溝さん:「わかりやすくなった!」と言ってくれました。
特に最近アップデートしたオムツ替えスペースの情報が気に入ってくれて、メトロを利用する時はチェックしているようです。

少しでもメトロの利用者に寄り添いたい

ベビーメトロを運営する上で、大切にしていることはありますか?

横溝さん:少しでも子育て中の人のお出かけが便利になるように、お役に立てばいいなと思っています。

天野さん:このサービスを公開したときに車内の広告で出したメッセージが、「少しでもお役に立てれば幸いです」というものでした。
私たちの他にも開発に携わったメンバーがいるのですが、ユーザーの目線でサービスを作っていくというスタンスを、みんなで共有するようにしています。
例えば「この機能も入れてみようか」と提案があると、その機能が本当に必要なのか、かえってわかりにくくなるのではないか、というユーザーの視点を常に持って、サービスの取捨選択をするようにしています。


ベビーメトロの告知広告
ベビーメトロの告知広告。


今後はベビーメトロをどのように推進していく予定ですか?

天野さん:二つの大きな方針があります。一つ目は、もともとこのサービスを提供するきっかけとなった最初のターゲットである妊婦さんやベビーカー利用者に、エレベーターの情報だけではなくより有益な情報を伝え、サービスを豊かなものにしていくということです。
二つ目は、このサービスを車椅子の人やシニアなど、もっと幅広く利用していただけるように横展開していくことです。
あとは、最近は毎月新しいエレベーターができている状況なので、そのような情報をなるべく早くキャッチアップしてベビーメトロに反映できるようにしていきたいです。

みんなが東京でいきいきと生活できるように

ベビーメトロ以外にも、子育て支援を進めていますか?

天野さん:今年、コワークングスペース「room EXPLACE」を門前仲町と東陽町に開設しました。
コワーキングスペースの隣に託児スペースがあり、専門スタッフに子供を預けて仕事をすることができます。
子どもを育てながらご自宅でお仕事をしているフリーランスの人や、育休から仕事復帰する前にウォームアップしたい人などに利用されています。


room EXPLACE 東陽町のキッズルーム
room EXPLACE 東陽町のキッズルーム。


天野さん:弊社には「東京に集う人、住む人がいきいきとした生活を送れるように」というビジョンがあり、そのための施策を今後も考えていきたいと思います。
“少しでもお役に立てれば”という気持ちで、今、進み始めたところです。

※「ベビーメトロ」はアプリではありません。スマホで利用する時はベビーメトロのトップページをホーム画面にブックマークしてください。(利用料:無料)

写真協力:東京地下鉄株式会社(一部写真除く)