八王子市と府中市にある3つのスペースで幅広く子育てをサポート

NPO法人エンツリー(八王子市)

NPO法人エンツリー(八王子市)


プロフィール

理事長 吉田恭子(よしだ・きょうこ)
大学卒業後すぐに結婚。しかし第一子誕生までの8年間、第二子誕生まで6年間の不妊に悩まされました。母になれない日々、幸いにも授かった二人の子の命の重さ、それを胎内からはぐくんできた母親の思い等々、さまざまな思いや体験が、今の子育て支援、女性支援の活動の原点となっています。NPO法人エンツリー理事長、府中市市民活動センタープラッツ館長、2級FP技能士、創業アドバイザー。

ママが元気になる場所づくり、八王子市親子つどいの広場

八王子市と府中市で3つの施設を運営されていますが、はじめに、活動のきっかけとなった八王子市親子つどいの広場について紹介してください。

CacheCache
八王子市親子つどいの広場堀之内CacheCache(カシュカシュ)
https://blog.goo.ne.jp/cachecachehiroba


吉田さん:八王子市親子つどいの広場堀之内CacheCacheは、2007年、八王子市が受託団体を募集した広場です。エンツリーは当時、子育て支援の団体ではありませんでしたが、女性のエンパワメントをサポートする講座の運営などをする中で、女性がより輝くためには子育て支援が欠かせない、という思いを強く抱いていていたので、公募に手を挙げました。
CacheCacheは、京王相模原線京王堀之内駅徒歩3分の場所にあります。核家族が多く、いわゆる"孤育て"に陥りやすい地域ということもあって、エンツリーはこの広場を「ママの笑顔は子どもの笑顔」というコンセプトを掲げて応募しました。2008年から受託し、5年ごとに更新をして、今年で13年目。ワンオペ育児で朝から晩まで、子どものことで精いっぱいのママたちに、ほっとできる空間、時間を提供していると自負しています。

広場の様子広場の様子
広場の様子


八王子市の親子つどいの広場の近くで、コミュニティスペースも運営されていますね。

CUORE・堀之内
コミュニティスペース「CUORE・堀之内」
https://www.npo-entree.org/cuore-horinouchi/


吉田さん:コミュニティスペース「CUORE・堀之内」は、2012年に開設しました。エンツリーの講座の受講生や広場に来られるママたちから、例えば子育て後のために何かしてみたいと思っても、公共の施設だと制限もあり、なかなか使える場所がないんですという悩みを聞きました。そんな時、ご縁があって堀之内駅前に空いているスペースがあるとの紹介を受け、この場所だったら時間単位で貸せるし、親子で食べたり飲んだりしたいというママたちの夢を実現できると思い、自主的に運営を始めました。

CUORE・堀之内の様子


子育ての悩みを共有し、共に解決し、つながる場づくり

府中市の市民活動センター プラッツは、どのような経緯でスタートしたのですか。

府中市市民活動センタープラッツの様子府中市市民活動センタープラッツ
府中市市民活動センタープラッツ
http://www.fuchu-platz.jp/index.html


吉田さん:府中市市民活動センタープラッツは、私共の活動を知る方にご紹介をいただき、府中市文化振興財団とのJV(ジョイント・ベンチャー)で2017年から運営しています。府中市で劇場や博物館などの運営を担い、地元に根差した文化芸術活動を広げてきた府中文化振興財団と、多摩地域広域で行政との協働による講座やイベントを実施してきたエンツリーとが、それぞれの強みを生かして新しいセンターの運営に力を尽くすことになりました。エンツリーは市民活動に関わる講座やイベント、相談などのソフト部分を担当していますが、センター開設以来3年が過ぎ、昔からの歴史や文化があるまちで、やっと受け入れられている安心感を持てるようになりました。
センターには、キッズスペースが設置されています。子育て期というのは多くの方がたぶん人生で初めて地域での困りごとに直面する時期ですので、プラッツではここを新しい市民活動の生まれる可能性のあるスペースととらえました。例えば、子育てで困っているけど誰に相談していいかわからないとか、引っ越してきたばかりで地域のことがわからないとかそういった困りごとを抱えるのは自分だけではないこと(共有課題であることの認識)、できれば一人一人が動くことによって課題は解決されるかもしれないこと(当事者による課題解決の可能性)、それを実現するために人や組織とつながること(市民協働の実現)、そういったことを提案していける施設になっています。

プラッツキッズスペースの様子
プラッツキッズスペースの様子


ワンオペ育児のママたち、心が軽くなる出会いを大切に

具体的にママたちは、どのように利用されていますか。

吉田さん:まだ生後1か月を過ぎたばかりという赤ちゃんを連れたママが初めて広場に来た時のことです。まだ新生児といってもいいような赤ちゃんを見て、私たちが思わず「えー!ひと月ちょっと?」と声を上げたところ、周りにいた先輩ママたちが集まってきて、「ちっちゃーい」「かわいい」などと声をかけ、初めて来たママを迎え入れます。最初は不安そうだったママも、先輩ママたちからの歓迎の声に、表情がパッと明るくなりました。実は先輩ママたちも、つい3、4か月前は同じように不安そうな顔していたのですけどね。そう言うと「え~、そうでしたっけ」と先輩ママたちは苦笑い。ついこの間こんなに頼りなかった子が、今は寝返り打ったりしている、と我が子の成長のあかしを再確認していました。
広場では、月齢や年齢の違う子どもたちの様子を見ることができます。育児書だけではわからない、子どもたちの様子を実際に体感できるこの場所で過ごす時間が、ママやパパにとって大きな驚きであり、学びにもなっているようです。

休館中は【おげんきですかコール】でママをサポート

コロナ禍の影響は、いかがですか。

吉田さん:八王子市親子つどいの広場も、3月3日から6月7日までの間、休館となりました。その間、スタッフの間ではママやパパのストレスを心配する声もあり、交代で利用者さんにアウトリーチの電話相談【おげんきですかコール】をかけ続けました。電話を受けたママの多くが、「お話しできてホッとしました」と言ってくださり、やはり、つながりの大事さを改めて痛感しています。6月8日に開館してからは、お掃除や消毒を挟みながらの3回入れ替え制で感染拡大防止の処置をとりながら、今はまだ予約制人数制限を設けながら運営しています。
府中市のプラッツキッズスペースも5階の他のフリースペースと同様、3月2日から休館しています。有料施設は一部貸し出しを開始しましたが、こちらのキッズスペースはさほど広くないことや、スタッフの常駐が難しいことなどから6月24日現在まだ再開できていません。「子育てをキャリアに」というキャッチフレーズで始めた保育サポーター養成講座の修了生が見守りに入ってくれており、先輩ママとの交流が生まれつつあったところだったので、休館は残念ですが、再開後は、どんなつながりが生まれるのか楽しみです。感染防止に万全の注意を払いながら再開を目指したいと思っています。

「子育てをキャリアに」をキャッチに、ママの子育て支援からキャリア支援まで

開設から年月が経過し、子どもたちも成長して広場へ戻ってきますか。

吉田さん:そうですね。広場を卒業して小学生になった子どもたちが来たら、じゃあ次はボランティアとして来てねと伝え、再来時「ボランティア」の札をつけてもらい、他のお子さんと遊んでもらったりします。通りすがりに、窓から手を振ってくれる子どもたちもいます。

ママとも、子どもたちとも、関わる仕事ですね。

吉田さん:ママやパパは赤ちゃんの大切な命を育てるという重要な役割を果たしているんですよね。でも今はメンタル的にいろんなものを抱えて悩んでいるママが多いなと感じています。結婚や子育てのタイミングで仕事を辞めたり、短時間勤務にしたりすることは、これまであった自分の収入がなくなったり、減ってしまうため、それが自己肯定感を低くする原因の一つかなとも思っています。でもあなたが今やっていることは、大事な赤ちゃんと家族のかけがえのない命を守っていることだよ、それってすごいことだよねと話しますが、それでも自分は家にいて子どもとご飯を食べたり遊んだりするくらいしかしていないという方がいらっしゃいます。もっとママの子育てスキルをキャリアとして認めることが必要であると感じています。そこで、子育てスキルをキャリアとして活かす働きかけを、できるところから行っています。例えば、八王子で広場スタッフの「子育てアドバイザー」を採用していますが、スタッフ募集をする際に子育て経験のある方を優先することもそうですし、府中の施設で始めた「保育サポーター養成講座」もそのための取り組みです。

子育ては子どもの命を育む大変な仕事ですが、その大変さは必ず自分のスキルやキャリアになります。大変だったことも、楽しかったことや嬉しかったことも、あなたの身になり、人間力につながると思いますので、子育ての時間を本当に大事に、大変な思いを抱えながらも、大切に楽しみながら過ごしていってほしいなと思います。ちょっと大変だなとか、どうしようと思ったら、一人で抱え込まずに気軽に地域の子育て広場などに立ち寄っていただきたいなと思っています。

子育て支援施設に来られないとか、知らないという方も多く、そういう方々に向けてどうやって知らせていけるのか、来てもらえるのか、それらは支援者の共通の課題と思います。いろいろ試しながら、支援者同士でもみんなが共有できたらいいなと思っています。八王子の施設では広場同士がお互い連絡会をしたり、行政と一緒になってお祭りをしたりしています。ぜひ何かございましたら、お気軽にご声掛けください。

NPO法人エンツリー

文部科学省助成事業「女性のためのキャリアアップコーディネーター養成講座」の受講生で立ち上げたグループ。結婚・子育て後の女性の社会参加復帰を支援するために立ち上げ、2008年NPOの認証を取りました。
女性の社会参加のためには「ママ支援」「パパ支援」だけでなく地域での子育て支援や地域活性化も必要と、仕事範囲がどんどん広がり、「人・街・学びをつなぐコンシェルジェ」をキャッチフレーズとした活動をしています。

NPO法人エンツリー


NPO法人エンツリー
https://www.npo-entree.org/