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知ろう!出会おう!とうきょう子育て

地域で芽生えた先駆的な支援策や注目の取り組みを取り上げ、取材して紹介します。

だれでも・いつでも・どんな理由でも利用できる保育サービス

キッズスペース ルピナス(北区)

株式会社Lupinus 代表取締役・中村智子


プロフィール

株式会社Lupinus 代表取締役・中村智子
預けたいときに預かってもらえる保育の必要性を認識し、2017年にキッズスペース ルピナスを立ち上げる。子育て世代のさまざまなニーズに対応し、いつでもどんな理由でも利用できる保育サービスを提供している。

預けたい時に預かってもらえる保育サービスが必要

キッズスペース ルピナス立ち上げの経緯を教えてください。

私の長男がまだ0歳の時に転職活動で履歴書を書こうと思ったのですが、子供がそばにいるとパソコンを広げることすらできませんでした。そういった時に少しの間だけ子供を預かってもらえて自分がやりたいことができる保育サービスがあれば使いたいと思いましたが、ベビーシッターを雇うことには抵抗がありました。当時、長男は認可保育園に通っていたのですが、認可保育園に預けるには就労が絶対条件ですので、それ以外の理由でも預かってもらえるところが必要なのではないかと感じました。
普段は家で子育てをしている専業主婦の人や育休中の人は、用事があっても預かってもらえるところがなかなかありません。そういった人たちがちょっと子供を預けることができて、近くで勉強や読書など親自身が自分のために時間を使える場所がある保育ルームをつくりたいと思ったのが、立ち上げのきっかけです。
また場所は駅近であることが重要でした。最初に長男を預けていた保育園は、駅からバスで10分、さらにバス停から10分近くかかる場所にありました。長男は大きい方で、毎日抱っこして通うのがとてもハードでした。そういった経験もあり、駅から近い保育ルームにすることで利用者の負担を減らしたいと考えました。


一人一人に合わせたフレキシブルな保育を提供

ルピナスでは月極め保育のほか一時保育もしていますよね。ほかの保育園との違いはどのような点でしょうか。

ルピナスの一時保育は平日・土日祝日ともに預かりがあります。土日祝日は事前予約が必要ですが、平日は定員に余裕があれば当日の預かりも受け付けています。お弁当とおやつを持ち込みにしているので、当日の予約でも臨機応変に対応することができるのです。さらに9:00-17:00の間であれば何時からでも預かることができます。例えば習い事に行きたいからという理由で、15:00-17:00の間だけ預かることも可能です。
またweb予約ができることもルピナスならではのサービスです。以前ホテルのフロントで働いていたことがあり、ホテルの予約システムを保育サービスに応用できるのではないかと思いつきました。通常の保育園は忙しくて電話が繋がりにくいこともありますが、ルピナスでは24時間365日、webで予約が可能です。時間が空いたときや、電車の中からでも予約の申し込みから確定までできるので、忙しい人にもとても便利なシステムです。


どのような人がルピナスを利用しているのでしょうか?

パートや病院に行く時など、用事がある時に利用している人が多いですが、「買い物に行きたい」「いつも我慢してくれている上の子の相手をしてあげたい」「旦那さんと2人で出かけたい」など預ける理由はさまざまです。子供が生まれるとやりたいことを諦めてしまうことが多いですが、諦める必要はありません。保育を利用すればやりたかった習い事や資格取得の勉強などの時間も取れるようになります。

ルピナスの保育室
ルピナスの保育室。子供らしい優しい色使いが印象的だ。


保育料が良心的ですね。

土日祝日は1時間1,512円、平日は1,296円です。ちょっと預けたいときに自分のお財布からいくら出せるかな?と考えたときに、この価格なら預けてもいいと思える料金設定にしました。

公的な補助を受けていないようですが、どうしてでしょうか?

公的な補助を受けると、預けるときにどうしても制約が増えてしまうのであえて受けていません。だからこそいろいろな家庭のニーズに応えることができ、時間・理由・住んでいる場所を問わずに保育が提供できるのです。これまでも都外のお子様、小学生、普段認可保育園に通っているお子様などが利用されたこともありました。

利用者からはどのような反応がありましたか

ある女の子のお母さんは子供とふたりきりで過ごすのがストレスで、大人と会話したい・外で働きたいと言って預けに来ました。その後接客の仕事に就いて、とても楽しんでいるようです。最初に来たときよりも、お母さん自身がすごく元気になりました。
初めて預けに来た時は精神的に疲れていたお母さんたちは、保育の利用を始めるとだんだん元気になっていきます。最初は預けることに抵抗があっても何回か預けるうちに「子供を預けてもいんだ」「自分の時間を持ってもいいんだ」と思えるようになり心にゆとりが持てるようです。
保育を利用するメリットは母親にあるだけではありません。子供が親としか接する機会がなかったのが、他の子と関わりが持てるようになったと喜んでいた人もいました。

保育中のお散歩の様子
保育中のお散歩の様子。子供同士で関わり合いが持てるのも保育サービスを利用するメリット。


保育以外にも、子育て世代のニーズを満たすさまざまなサービスを展開

コワーキングスペースについて教えてください。

コワーキングスペースは、子供を預けながら仕事ができるスペースです。保育室の隣に部屋があり、そこにデスクを用意しています。子供からは親は見えないようにし、親は子供の様子を見ながら作業ができるよう配慮してあります。このサービスはフリーランスで仕事している人や、資格を取るために勉強したい人などが利用することが多いです。家が遠い人は、子供を預けて帰宅してから作業をするよりも、預けてそのままコワーキングスペースで作業をすれば時間の節約にもつながります。またコワーキングスペースなら、仕事中に授乳することも可能です。そういった子育て中のさまざまなニーズに応えられるスペースになっています。

保育室の隣にあるコワーキングスペース
保育室の隣にあるコワーキングスペース。大きなデスクが設置してあるので、会議などにも利用できる。


保育室とコワーキングスペース
保育室とコワーキングスペースは棚で仕切っていて、棚の隙間から親が保育室の様子をうかがえるように工夫してある。


宿題塾とはどのようなサービスですか。

宿題塾は、保育時間が終わった後に小学生を預かるサービスです。小学校の学童の預かりはだいたい18時までですが、その時間までにお迎えが間に合わない親もいます。その場合は明るい時間帯に子供にルピナスまで来てもらい、宿題をしながら親の迎えを待つことができます。このサービスはまだ始動していませんが、問い合わせもありますので利用者は増えていくのではないかと思います。早番・遅番の仕事がある人など、ご家庭の事情に合わせて利用してもらいたいです。


親が元気に子育てできるようにサポートしていきたい

どのような思いで日々運営していますか。

困った時に、いつでも頼れるような場所でありたいと思っています。仕方のないことではありますが通常の保育園だとルールが多いので、なかなか自分が預かってもらいたい時に必要なだけ預けるというのは難しいです。ルピナスの利用者にも必要最低限のルールは守っていただいていますが、それ以外のことではなるべく柔軟に、できるだけ親の立場になって運営するように心がけています。

今後はどのように活動を展開していきたいですか。

フルタイムでお仕事をしている人は認可の保育園を利用できますが、ルピナスではそういった公共の保育を利用することができない人を対象に保育サービスを提供していきたいです。1人で子育てをしていると、忙しくて考える余裕もありません。「休みたいから」「1人でゆっくりお茶が飲みたいから」という時に利用してもらえば、少しだけ子供と離れることができます。施設側も子供の状況を把握することができますし、親自身もゆとりが持てるようになるのではないかと思います。そうすることで、育児うつやネグレクトなどの問題を事前に防げるのではないでしょうか。
利用しているお母さんたちの中には、子供の送迎の時に私と話すことで心が軽くなる人もいるようです。母親の心が健康であれば、家庭がうまくいくように思います。これからもお母さんたちが安心して一息つけるように保育を提供していきたいです。


写真協力:株式会社Lupinus(一部写真除く)
http://lupinus-kids.com/