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知ろう!出会おう!とうきょう子育て

地域で芽生えた先駆的な支援策や注目の取り組みを取り上げ、取材して紹介します。

ママたちが一歩踏み出して元気になれる、きっかけの場を

NPO法人 自由が丘ママの会(目黒区)

NPO法人 自由が丘ママの会 代表理事・宮城明子


プロフィール

NPO法人 自由が丘ママの会 代表理事・宮城明子
自身の子育て経験からママが外に出られる場所を作りたいと考え、2013年に自由が丘ママの会を設立。「オンリーワンのママでいよう!」というコンセプトのもと企画される取り組みは多数のママたちの共感を得て、登録会員は2,500人以上にのぼる。2014年の東京子育てメッセではゲストスピーカーとして登壇したほか、雑誌やテレビ等メディアにも多数出演。

自身の子育てから感じた、ママ特有の悩みと解決方法

自由が丘ママの会を立ち上げた経緯を教えてください。

経緯はいくつかあるのですが、私も含めてママたちが何か一歩を踏み出せるきっかけになるものを作りたいと思いました。というのも、私自身3人の子育てを自由が丘でしてきて、「ちょっと外に出たい」と思っても気軽に子連れで出かけられる場所が周辺にはなかったのがきっかけです。

ご自身の体験も設立の契機になっているのですね。

はい。子育てにはいろいろな段階があります。特に子供が小さいうちは、外出しづらい時期でもあります。そういうときに家にこもっていても、子供の泣き声がストレスになったり、家族や環境に不満が溜まったり、正直いいことがありません。私もそうだったので、どうしたら気分を変えられるかと考えたときに、少し外に出かけてみると、家に帰る頃にはモヤモヤがちょっと晴れていたのです。外出する理由は、「ただ出かけたい」でも、「子供の友達やママ友が欲しい」でも、「自分の趣味がしたい」でも何でもいいのですが、とにかく「外に出る」ということがママ特有の悩みを解消する一つの方法だと思い、3人目の子供が幼稚園のときにNPOを立ち上げました。

ママの「やってみたい」が実現できる場を生み出したい

具体的にどのような取り組みをされているのですか?

子供の日やハロウインといった季節のイベントやファミリーコンサート、知育リトミックや骨盤調整のレッスン、ママ向けの家計セミナーなどを定期的に開催しています。また、ほかの企業や団体とコラボレーションしたイベントや、地元自由が丘のお祭りなどにも、商店街の方から声をかけていただき毎年参加しています。

ママ向けのセミナーもお子さんと同伴できる。

「子連れでいいですか?」とよく聞かれるのですが、私たちの活動はすべて子連れで参加できます。さまざまな年齢のお子さんがいらっしゃいますが、2,3か月の赤ちゃんから3歳くらいまでのお子さんが特に多くいらっしゃいます。

子供と一緒に参加できる骨盤調整レッスン
子供と一緒に参加できる骨盤調整レッスンは、リピーターのママも多い。


今日(取材日)もたくさんのお子さんやママがいらっしゃいましたね。

実は、今日は少し規模が小さめのイベントです。普段は1,000〜2,000人が来場する大きなイベントも開催しています。毎年恒例のコンサートも300人のホールが満席になります。本当は来たいという方みなさんにいらしていただきたいのですが、会場の広さによっては今回のように人数に制限を設けることもあります。

イベント内容で工夫されていることはありますか?

親子で来やすい雰囲気が作れる内容を、スタッフ同士で相談しながら考えています。あと、「お金がかかるから」ということがママの外出できない理由にならないように、季節のイベントも参加費を200円にするなど、気軽に来てもらえるようにしています。無料にしないのは「参加しているんだ!」と感じてもらうためや、参加者へのお菓子代、当日スタッフへの謝礼に当てるためというのもあります。

ひなまつりイベント
取材日に行われたひなまつりイベントでは、生演奏のミニコンサートも。おなじみの童謡やアニメソングに、ママも子供も体を揺らしながら口ずさんでいた。


お子さんをおんぶしながら、働いているスタッフさんもいらっしゃいましたね。

実は、イベントスタッフとしてお手伝いくださる方は、メインスタッフのほかに自由が丘ママの会のメール会員から募集します。子供が一緒でも、参加したい人は参加して、働きたい人は働いて、それぞれのやりたいことを実現してもらいながらイベントを運営しています。「やりたい」という気持ちがあれば、何でもできると思います。
私たちの目標として、どんなことも「自分たちで生み出したい」ということがあります。こうした親子で参加できるイベントを企画することもそうですし、ママたちが働く場所ももっと自由に作り出していきたいですね。

ひなまつりイベントスタッフのみなさま
代表理事の宮城さん(中)をはじめ、ひなまつりイベントスタッフのみなさま。初参加初挑戦のママ、子連れのママ、どんなママでもスタッフとして働くことができる。


ママのキャリア支援もされているのですね。

例えば、周辺の企業から人材を求めているという声を聞けば、メールマガジンに流したり、周りのママたちへ伝えたりして、条件が合った場合は双方でやり取りしてもらうといったマッチングサポートなどをしています。一例だと、デザイナーを探していた某企業と、スキルを持ちながらも生活に合ったスタイルで働きたいと考えていたママとのマッチングが成立して正式にお仕事をされています。出社は週1回であとは在宅勤務というスタイルで、ママは希望に沿った働き方ができ、企業は必要な時にスポットで出社してくれることが助かると好評です。企業とママのニーズが合った働き方の提案も、さらに増やしていきたいと思っています。今の活動をしていると、「働きたい」というママの声をとても多く聞くのです。子供がいても働いて、自分のコーヒー代や欲しい本などちょっとしたものを買いたいなど、私も同じように感じていました。企業側としては、「休まれたらどうしよう」など先にリスクを考えてしまう部分もあるかと思いますが、まずは挑戦させていただきたいですし、「こんなニーズがあるよ」という企業からの情報もどんどんいただきたいですね。

すべては来てくださるママのために…ママ目線に立った活動で会員数は2,500人以上

利用されている方々からは、どんな感想が寄せられますか?

イベント中は来場者も多く、直接ご感想をいただく機会はあまりないのですが、自由が丘ママの会は利用者の方々がSNSや口コミで広めてくださっているんです。イベントに参加する前にメール会員になっていただくのですが、申込みフォームで伺う「知ったきっかけ」で一番多いのは、会員からの紹介です。そんな風にイベントを楽しんでくださったママが、ほかのママに「よかったよ」と伝えてくださって、ママ同士つながってどんどん広げていただけるのは本当に嬉しいことですね。最近では地域の保健師さんも、自由が丘ママの会を紹介してくださっているようです。

定期的に開催しているベビーから楽しめるリトミック
定期的に開催しているベビーから楽しめるリトミックは、知育要素をたっぷり取り入れた人気のレッスン。


ママの目線に立った取り組みが、多くのママから支持されているんですね。活動をする上で、大切にしていることは何ですか?

2019年1月現在の会員数は2,518名で、イベントには自由が丘周辺以外に神奈川や埼玉などからも参加される方が多くいらっしゃいます。ママであれば、どこにお住いの方でも登録できます。とにかく誰でも参加しやすいように、フラットな場にすることです。また、安心してきていただける場にしたいとも思っています。例えば、イベントへ出店希望される企業で運営側のママから見て「あれはちょっと…」という場合には、お断りすることもあります。すべては来てくださるママ、女性が安心して参加いただけるスペースにするということが基準です。

季節のイベントに登場するスタッフ考案のワークブース
季節のイベントに登場するスタッフ考案のワークブースは、毎回大好評。ひなまつりでは、手形と足型で作るひな人形を多くの親子が楽しんでいた。


活動を広げて、ありのままの自分らしさを大切にするママを応援したい

今もたくさんの活動をされていますが、今後の展望をお聞かせください。

私たちが今しているような活動を、もっといろいろな地域に広めていきたいですね。今までは「参加したい」というママを募って、2,500人以上と大変多くの方が会員になってくださいましたが、これからは「自分がやりたい」というママをどんどん巻き込んで行きたいです。いろいろな場所で、「どうやって運営しているの?」と聞かれるのですが、そういう方々にぜひノウハウなどをシェアしたいです。設立から6年経って、やっと経験もできてきたので少しはお役に立てるかなと思います。あとは、ママたちはさまざまな経験や目線があって、頭の中にいろんなアイデアを持っていると思うのです。そうしたアイデアを、「おもしろそう」「やってみよう!」と言ってくれる企業とコラボレーションがしてみたいです。ママたちは時間など制限がありますが、それぞれができることを分業化して働けるとしたら、本当に強いと思うんです。例えば、Aさんは午前中働いて、午後はBさんが働く、専門的なスキルはCさんといった感じで。でも、このようなやり方は企業とのお話になるとなかなか実現できないのが現状です。「ママだからボランティアでいいよね」というような誤認識もいまだにあります。そういった社会のママや女性に対する見方も、取り組みを通じて変えていきたいです。もちろん、できる範囲を分かった上で協賛してくださったり、ママのマンパワーに興味を持ってくださったりする企業もたくさんあります。そういってくださる企業が増えれば活動の土台ができるので、私たちのような活動をする団体ももっと広がっていくのではないかと思います。

まさにコンセプトである「オンリーワンのママ」自分らしさを大切にするママを応援する活動ですね。

オンリーワンのママになる! というコンセプトには、そのままのあなたでいいんだという思いがあります。子育ても仕事も頑張りすぎない、無理しない、ありのままの自分でいるために、外に出てモヤモヤを晴らせたり、趣味や仕事の情報を得たり、参加したあとに「これやってみようかな」と小さな変化があったり、そういうママが元気になれる場所を提供していきたいなと思います。ママが元気だと、子供や家庭もうまくいくと思うのです。また、「ママ」と名前はついていますが、気持ちとしてはママにこだわらず女性全体の目線でこれからも活動していきたいと思っています。


写真協力:自由が丘ママの会(一部写真除く)
https://j-mama.wixsite.com/j-mama