• ツイッター
  • フェイスブック

これが子育て最前線これが子育て最前線

知ろう!出会おう!とうきょう子育て

地域で芽生えた先駆的な支援策や注目の取り組みを取り上げ、取材して紹介します。

子供に文化的な活動を!

きたく子ども劇場(北区)

きたく子ども劇場(北区)


プロフィール

事務局長・津田ますひろ(右)
きたく子ども劇場の事務局に関わって34年。昨年より20年ぶりに事務局長に。

運営委員長・星浩子(左)
きたく子ども劇場に関わって28年。運営委員長としては10年目になる。

子供の健全な成長に芸術鑑賞を

「きたく子ども劇場」立ち上げの経緯を教えてください。

津田さん:「子ども劇場」が次々と立ち上がった時代があり、お互いまねながら各地域に広がっていったと言われています。子ども劇場は現在では日本全国にありますが、「きたく子ども劇場」自体は立ち上げから46年になります。当時、北区で子育てをしていたお母さんたちが何人かで立ち上げたそうです。46年も続いているので、何度も次の世代にバトンタッチして現在に至っています。会員の子どもたちが成長し、親になって再びこの活動に関わるという人もいます。

きたく子ども劇場は、当初から舞台芸術を鑑賞する会員制の組織としてスタートしました。子供のための舞台がまだ珍しかった時代に、自分たちの子供の成長のために芸術鑑賞をさせたいという思いがあったのだと思います。

きたく子ども劇場の目的は何でしょうか?

津田さん:きたく子ども劇場の目的は、子供の健全な成長です。自主性・創造性・友情を育み、自分で考えて自分の力で社会をつくって生きていける子供たちを育てたいという思いで活動をしています。そのためには舞台芸術の鑑賞や遊びなど、文化的な活動が大切だと思います。

プロフェッショナルな舞台を鑑賞できる

舞台鑑賞活動についてお聞かせください。

津田さん:舞台鑑賞はプロによる演劇、人形劇、コンサートなどを年に12回ほど開催しています。対象の年齢は幅広く、0歳から18歳までですが、大人も鑑賞できます。

鑑賞する舞台はどのように選んでいるのですか?

津田さん:どんな舞台を鑑賞するかは会員全員で決めます。会員は現在700人ほどいますが、どんな舞台を見たいか全員にアンケートを取り、その中から絞っていき決定します。

この活動の特色は何でしょうか?

津田さん:ただ舞台を鑑賞するだけではないという点です。鑑賞会は、会員で企画するところから始まります。そして役割を分担して受付を担当したり、ロビーでお店を出したり、遊ぶコーナーを作ったりします。鑑賞会全体を、子供も大人もみんなで作り上げていくのです。きたく子ども劇場は3世帯以上から成るサークルで構成されていて、サークル単位で主体的に活動を担当しています。

最近では幼児〜低学年向けに人形劇の「はれときどきぶた」を、高学年〜大人対象に演劇「未来」を鑑賞しました。これらの舞台も会員で決定し、みんなで鑑賞会を作り上げました。

2019年7月公園の「The☆七夕」
2019年7月公園の「The☆七夕」。「100人の獅子舞い」の稽古風景。子供たちが前座で出演した。


自由に楽しく“遊ぶ”活動も

舞台鑑賞以外にも、さまざまな遊びの活動をされていますよね。

津田さん:活動の一つは「子どもまつり」です。広い公園で子供たちが銀行やお店などを作って、まちにしていくという活動です。毎年子供も大人も300人ほどが集まります。お店は子供が主体となって作り、大人はサポートに回ります。子どもまつりの当日は、子供たちはどこに行って何をしても良いということになっています。気に入ったお店があればずっとそこで働くこともできるし、いろんなところに行っていろんな仕事をしても良いのです。

2019年の子どもまつりの地図
2019年の子どもまつりの地図。食べ物屋さんから職安、警察などいろんな職種を自由に体験できる。


星さん:働くとお給料をもらえ、そのお給料でお買い物をすることができます。子供というのは本当におもしろくて、ずっと働いてお金を貯める子もいるし、ちょっと働いたらそのお金ですぐにお買い物をする子もいて、いろいろです。この日は、子供たちが自由に働いて、自由に遊ぶ日なんです。

イラスト入り説明図
まずは職安で仕事を紹介してもらい、働いてお金をもらう。


星さん:また広い公園を借りて、子供も大人もみんなで遊ぶお祭りもあります。チャンバラや壁破り(大人たちの壁を子供たちが突破していく遊び)、チームに分かれてダンボールで城を作り、それを壊すゲームなどをして遊びます。とにかく高いお城を作るチーム、ダンボールを積むだけのチームなど、作るお城の形がさまざまで興味深いです。自分の城を守りながら相手の城を壊すのですが、水ボールで攻撃したりして、みんなびしょ濡れになりながら遊んでいます。

多くの活動を通して、きたく子ども劇場の会員からはどのような反応がありましたか?

津田さん:鑑賞会では受付も子供たちが担当しますが、「今日は会員じゃない人もいっぱい来るから、どういう風に受付で挨拶しようか?」と自分たちで考えていることがありました。子供たちを見ていると、“鑑賞会を自分たちでつくっていく”という喜びを感じます。ただ鑑賞したり参加したりするだけではなく、自分のアイディアや思いつきが実現していくのが楽しいようです。

長くきたく子ども劇場の会員でいる人は、子供が成長とともに変わっていく様子がわかります。例えば劇場に入ることすら嫌がった子が、興味を示して見るようになったことや、全然活発ではなかった子が、積極的に仕事をやりたいと言ったりします。

星さん:その子の親だけではなくて、ほかの大人でも「あの子変わったよね」と感じることができます。きたく子ども劇場の活動は親子だけではなく、みんなに関われるのが良いのかなと思います。

今後の課題は何でしょうか?

津田さん:子供自身が積極的に参加していくという活動をもっと広げたいです。次回も、中学生が担当するステージあり、ミュージシャンとの事前の打ち合わせや準備を自分たちでしてもらいます。これまでは大人がやっていた部分を、子供たちが担当していくのです。子供が主体的に作り上げられる機会を、保障していきたいと思います。

2020年のスケジュールは?

津田さん:2月には「夜明けの落語」を鑑賞します。落語家による、子供向けのワークショップもあります。3月には「わたしとわたし、ぼくとぼく」というLGBTがテーマの児童劇があります。他にもさまざまな企画がありますが、どれも子供たちと一緒に楽しく作り上げて行きたいと思います。

2020年前半のスケジュール
2020年前半のスケジュール。鑑賞会や遊びなど、楽しい企画が盛りだくさん!


写真提供:きたく子ども劇場(一部写真を除く)